共産、自民の共闘が再度実るか、民主が雪辱を果たせるか。
2月4日投開票の陸前高田市長選は、現職・中里長門に新人の民主前県議・吉田昭彦が挑む。
自民党が共産党員の中里を支持し、市議会で多数を握る民主党市議らが吉田を推す異例な構図だ。
再選を目指し無所属で出馬する中里は、共産党員の首長だ。
陣営には市議会の自民党系会派・市民クラブと共産党の市議7人が名を連ね、協力して選挙戦に臨む。
一方、新人の吉田は民主党を離党し無所属で出馬するが、同市出身の黄川田徹、達増拓也、県議選陸に立候補予定の菅原一敏ら民主党との連携を前面に打ち出す。 これを、黄川田支持の市議会会派清和会と新星会の市議14人が支持する。
吉田陣営は中里陣営の自共共闘を激しく批判。
中里陣営は、野党である民主の影響力に疑問を投げかけ、逆に国政与党との連携を強調する。
03市長選は中里が、自由党の支持を受け5選を目指した菅野俊吾を約12百差で破った。
=見解=(1月29日)
自共共闘、政権防衛の為には、反民主党で自民とも共闘する。
中里市長は、なかなかの戦略家である。
国政の共産党にも、これくらいの柔軟性が欲しいところ。
民主は、黄川田衆院議員の出身地とあって、負けられないところ。
前回、現職を落選させているだけに必勝体制で臨むだろうが、現職の壁は厚いと見る。
両陣営が「国」「県」とのパイプを主張する異様な構図。
残存するパイの増加論が分配の公平性を求める機運を上回っているのだろうか?
=中盤情勢=
(岩手日報)
【竹駒】1157 中里が優位
【高田】6319 中里が浸透 吉田は急速に追い上げ
【広田】3365 中里が支持を広げる 吉田は食い込みを許す
【気仙】2982 吉田が優位に立つ
【米崎】2494 吉田は中里の食い込みを許す
【矢作】1659 両者拮抗
【横田】1271 両者拮抗
【小友】1812 両者拮抗 (数字は有権者数)
=開票結果=
有権者は可能な限りの自助努力で第1次産業の振興などを訴えた中里市政の継続を選択した。
中里は共産党籍を持つ全国4人の市長の1人にとどまることになった。
中里は前回選挙の最大の争点となったタラソテラピー(海洋療法)施設の建設中止や農林水産業の振興、市政の継続を訴えた。
前回と同様、共産党籍のままでの立候補で、自民党系市議が支援。
民主党県議を辞して臨んだ吉田は、自身の後援会と地元選出の黄川田徹衆院議員後援会、菅野俊吾元市長の支持者との共闘体制で組織型選挙を展開。
国や県の施策にのった事業推進などを公約に掲げたが、浸透できなかった。
中里の最大の勝因は公約の着実な実現である。
国の三位一体改革で交付税や補助金が削減される中、市長給与、交際費を減らし、各種補助金の見直しも図って行財政改革を断行。
ひねり出した財源で第3子の保育料無料化をはじめとした市独自の福祉の充実などに振り充て、半額補助による市道補修で新しい市民参加型行政も導入した。
思想信条をことさら表に出すことはなく、教条主義にとらわれもしない。
支援した自民党には入党を誘った人もいたという。
吉田氏には女性主役のグリーンツーリズムなどを訴えた。
当選 中里長門 99 無・現 =共 =自
落選 吉田昭彦 73 無・新 =民 (百)
(投票率83%)
=見解=
地方分権を掲げる民主党が、国や県との関係を押し出してはならない。