29 日米関係 -206- 《戦後》Ⅺ 占領期(1945-52)-40-
■まとめと考察 ⑶ 極東国際軍事裁判(東京裁判) 3/3 ~考察と評価~
1 「本文の主語」の選び方
●わが国の教科書として、主語を、日本人である「軍人や政治家」としている。 → 〇 育鵬社、自由社、清水書院。
●主語を、GHQ(など)としている。 → △ 東京書籍、教育出版、日本文教、学び舎 /帝国書院。
※1 一般的な歴史書ならば、どちらでもかまわないと思うが、義務教育の教科書の最重要の目的は〝わが国を支える国民” を育成するためのもの。「旧敵」の視点で描くのは不適切。
※2 帝国書院は、主語を略しているが、述語が「…裁きました」となっているので、論理的には「裁判所」ということになる。
2 「裁判の死刑判決」の描き方
●死刑になった日本人がいた史実を、きちんと描いている。 → 〇 育鵬社。
●A・B・C級戦犯の死刑について、まったく描いていない。 → ✖ 6社:東京書籍、帝国書院、教育出版、日本文教、清水書院、学び舎。
●B・C級戦犯の死刑について、まったく描いていない。 → ✖ 自由社。
※同じ有罪でも、死刑と懲役刑は〝似て非なる物”・・・同列に扱うことはできない。死刑は、全人的否定・抹殺である。《大東亜戦争(太平洋戦争)終戦後における「戦犯」の死刑の史実は、国民に周知すべきことだろう。
3 「法廷の状況」および「裁判の問題点」の描き方
●被告および弁護団の主張も描いている。 → 〇 育鵬社、自由社。
●被告および弁護団の主張を、まったく描いていない。 → ✖ 6社:東京書籍、帝国書院、教育出版、日本文教、清水書院、学び舎。
※上記6社の記述は、〝一般的な裁判の描き方”としてもありえない、異常(不公平)な記述。まして、〝日本の戦後世界を規定してしまった最重要裁判”における日本側の主張や、世界的な批判をまったく無視していることは、きわめて異常なこと。この件だけでも、日本の義務教育教科書としては、完全な失格と断定できる。
~次回から、⑷国連・冷戦~
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《著者:松永正紀 教育評論家 /h22年度 唐津市・玄海町:小中学校校長会長》
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