楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

酒屋の店内。

2009-08-09 13:21:42 | Weblog
昼から店内で飲める酒屋を旅先まで持ってきた「雲のうえ」で探した。戸畑駅から少し歩いたところにある「はらぐち酒店」ならば手料理もあるらしいから何かつまみながら昼酒を始めようと暑い中を住所だけを頼りに辿り着いたが、店の立ち飲みコーナーには「お休みします」の文字が見えた。ならばと、駅の反対側にある酒店を目指した。冷えた酒を思い浮かべて暑さをしのぐ。
住宅地の路地に古い酒店が見えた。整然と片付けられた店内はひんやりとした空気が漂う。見回すと主人らしき人が出てきたので酒を飲みたい旨を伝えると、夕方からしか出していないと言う。「昼間に酒を出すと長居されるからかなわない」らしい。
主人は話好きのようだ。最近のロケで頻繁に店が使われたことから近所の話まで次から次へと話題が出てくる。そろそろ酒が出ても良い時間では、とそわそわしながら話に耳を傾けた。すると、力を込めて「80近くになったけれども、この歳になって、飲み友達がいる自分は幸せだ」と我々を諭すように語った。「この歳になれば分かると思うけれど、そういうことは稀なのだ」。結局、酒は飲めないまま店を出たけれど、満足した気持ちになった。若戸大橋を眺める戸畑の渡し船の中で、老年の飲み友達のことを考えた。
対岸の若松からディーゼルカーに乗って折尾で降りた。駅から少し歩いた場所にある「宮原酒店」に入る。昼下がりに年齢を超えた人たちが酒を片手に思いつくままに話をしている集会場のような空間。そんな話のできる場があること、飲み友達がいることの大切さを店内の男性が語り始めたことに驚く。歳を重ねて辿り着く先は同じなのかもしれない。気付けばすっかり話の輪の中に入っていた。漸く飲める冷たいビールに喜んでいると、男性からビールが1本届いた。軒先の強い日差しを眺めながら、幸せな気分でコップにビールを注いだ。