谷川岳のトレランコースとして馬蹄形1周コースが有名です。こちらは土合駅を起点として白毛門、朝日岳、清水峠、蓬峠、谷川岳と展望360度の稜線を1周するものです。このコースは今までに3回めぐっていますので、今回は、地図を眺めながら、他に1日で廻れるトレランコースはないものかと考えました。条件は以下の通りです。
1.1周してスタート地点に戻ってこられること(車利用なので)
2.全行程で30km程度あること
3.できればエスケイプルートがあること
そこで見出したのが、今回のコースです。それは、土樽駅の上流にある100台停められる駐車場を起点に茂倉新道を登り、茂倉岳、一の倉岳、谷川岳と進み、そこから西に向かって万太郎山、仙ノ倉山、平標山に至り、最後は平標新道を下り土樽駅前を経て駐車場に戻るというコース設定です。以下の地図の黄色の矢印がそのコースです。
注:この地図は昭文社の山と高原の地図ではありません。土樽駅前にあった看板の地図です。上が南になります。この地図は新潟県側から谷川連峰を眺めるかたちで描かれています。
馬蹄1周コースが26kmですので、このコースなら30kmはありそうです。いざとなったら万太郎山から吾策新道経由で土樽に戻ることもできます。早朝発でこの周回ルートに行ってくることにしました。以下はこのルート紹介を兼ねたその時の記録です。
8月11日(日) 天候:晴れ~曇り
行程:土樽100台駐車場スタート5:37~矢場ノ頭6:55~茂倉岳7:55~一ノ倉岳8:13~オキノ耳8:45~トマノ耳9:00~肩の小屋9:05~万太郎山11:00~仙ノ倉山13:00~平標山13:39~つり橋(実際は普通の橋)16:01~土樽100台駐車場ゴール17:22
地図上でP100台と記載されている駐車場です。何も標識はありません。人気コースで100台分埋まってしまっていたらどうしようとの私の思いは杞憂に終わりました。先客さんは1台のみ。もし1台も停まってなかったらとても不安になっていたでしょう。
はじめは結構な急坂です。雨のあとだと滑りそう。ルートはしっかりしてます。
出会う人は全くいません。
上部では檜の巨木もありました。徐々に空が開けてきます。
茂倉岳方面。矢場の頭から一度少しだけ下ります。
低木のみでずっと展望はよいです。
気持ち良い笹原が続きます。
茂倉岳避難小屋が見えてきました。
寝袋、マットが吊るしてあり、本当に緊急時に心強い避難小屋です。登山者に対する思いやりが伝わってきます。これを見ただけで温かい気持ちになりました。
茂倉岳山頂(7:55)。雲の中に入ってしまいました。
茂倉岳~一の倉岳間は左手にお花畑が広がります。幅の広い穏やかな稜線歩きです。
一ノ倉岳山頂(8:13)。山頂というより広場って感じです。ここで一晩過ごされたかたが3名いらっしゃいました。昔は無料だった肩の小屋が有料になっていたので、ここまで来てテントと小屋(シェルター)に分かれて泊まったそうです。
避難小屋(シェルター)の中も楽しそうです。失礼して1枚撮らせていただきました。
これから進む谷川岳方面。雲が流れ天気はめまぐるしく変わります。やはり国境の山です。
多くの人が歩くためか、足場となる岩がすべすべになっていて滑り易いです。
一ノ倉沢を中心にこの山域で700名以上の方が命を落としています。いつもここを通過するときは自然に対する畏怖を感じざるを得ません。
オキノ耳(8:45)
トマノ耳からオキノ耳を眺めたところ(9:00)。
トマノ耳のすぐ下に肩の小屋が見えます。
肩の小屋前(9:06)。子供も含め多くの登山者がいます。本日一番の賑やかさ。
肩の小屋から西へと進路をとります。万太郎山まで6.5kmとの表示。
右はオジカ沢の頭。左は俎嵓(まないたぐら)山稜でこちらは枝尾根で道はありません。万太郎山はオジカ沢の頭の後ろに隠れてしまっているようです。
大障子ノ頭(大障子避難小屋付近にて)
万太郎山手前の分岐(10:58)。進行方向から振り返って写してます。左に行くと吾策新道。まだ時間はあるし、雷鳴も聞こえないのでエスケイプなしでこのまま西に進みます。
万太郎山1954M(11:03)。肩の小屋以降、久々に人に会いました。そのくらい人の少ないルートです。でも道はしっかりしています。
万太郎山の先はしばらく穏やかなトレイル。
越路避難小屋(11:29)振り返ったところ。このあと結構下ります。
毛渡乗越1568M(11:37)
エビス大黒ノ頭手前。足元はふかふかだし、登りもゆるやかなので、自然と小走りしたくなります。
進みが順調だと自分撮りの余裕も生まれます。途中、水場はないので今日はゼリー系も含めて3200mlくらいの飲料を持ちました。肩の小屋で購入は可能です。以前に、馬蹄一周のとき、肩の小屋のミネラルウォーターのペットボトルは売り切れで、2Lの調理用のボトルから分けていただいたことがあります。
深い岩の切れ目。
仙ノ倉山手前の急登。荷物が重いとしんどそうです。
仙ノ倉山到着(13:00)。平標山方面からの女性と出会いました。
天気が良いと元橋(苗場スキー場方面)からここまで来る人が多いようです。
途中で出会った方が、「仙ノ倉から先は道も良くなり、まさにハイウェーだよ」と教えてくれましたが、本当でした。快適な木道やフラットな一直線のトレイルが続きます。
感激の風景。
今回のコースで3回、ヘビに会いました。みな尾根上です。はじめなぜこんな厳しい尾根上に生息しているのかと不思議でした。でも途中でカエルも多いことに気づきました。おそらく道から見えないところに池(池塘:ちとう)があり、カエルが産卵でき繁殖⇒カエルを餌にするヘビも繁殖という連鎖ができているのでしょう。
誰もいないのがもったいない。中腹に木製のテラスがあります。
平標山(1984M)13:39 お弁当をひろげている数人の方がいました。霧でなければ展望はよさそうです。
平標山からは北に進路をとり、平標新道に進みました。上部には草原が広がります。
草原のあとは、樹林帯にはいります。笹が刈ってあるので道は明瞭です。笹の伸びているときだと道を見失いやすいかもしれません。
道はかなり急な下りです。また道が斜めに傾いていることが多く、かなり歩きづらいです。途中で出会った人は、上部の草原で西センノ沢を登り最後藪こぎをしてきた男女2人連れと、徒渉点でそこまで仙の倉谷沿いに渓谷を登ってきた夫婦の合わせて4人のみでした。つまり普通の山道を行く登山者とは一人も出会わなかったことになります。マイナールートであることに納得です。
徒渉点(15:10)。このすぐ先にもう1つ徒渉点があります。
沢で靴洗い+クーリング
徒渉点を過ぎてすでに麓(ふもと)に着いた気分でいたら大間違いでした。この杉林は一番まともだった箇所で、この先、ロープで斜面を下ったり、苔むして滑る石の上を何度も歩いたりしました。上部以上に足場は悪かったです。
やっと林道にでました(16:00)
この後の林道がまた長かった!
上越線。レンガに歴史を感じます。遺産の風格あり。いえいえ今も現役です。
ここを右折して土樽駅方面に向かいます。
高速道路に沿ったこの道も長かった。
駅入口を過ぎ、しばらく行くと再び上越線の線路です。左手の階段をあがるとすぐ目の前に国境のトンネル(清水トンネル)があります。
この標識に従って右折して橋を渡ります。夜、はじめてここにきて駐車場までいくのは、わかりにくくてかなり難しいと思います。
100台駐車場に帰還(17:22)
岩の湯(温泉)に寄っていきました。
このコース、人が少ないことが良くわかりました。出会う人が少ない分、出合った際にお互い自然とお話がしたくなります。却って多くの人とあいさつ以上の言葉が交わせるルートでした。
静かに大展望を堪能したい人向けのコースです。クマ鈴は必携です。谷川岳以降徒渉点まで水場はありません。笹が刈られていないときは歩きにくく、しかも道が不明瞭な可能性があります。