劇団夢桟敷 ☆2018.6〜山南ノート5

熊本アングラ万華鏡〜演劇とプライベートの徒然

熊日連載⑦「わたしを語る」(14)(15)

2020-05-03 01:57:47 | 2020-2022 日記

熊日連載「わたしを語る」は折り返し地点になった。
地元熊本での人が登場すると、電話やメールで関係者との長話になる。反響の大きさに驚く。

山本徹夫(造形作家、通称てっちゃん)は、本来ならば山鹿の酒蔵ギャラリーで5月連休中は作品展の筈だったが、新コロナの影響で延期になってしまった。発表の場を失ってしまったことは残念だ。
記事では1992年の釜山ビエンナーレ展に同行したことを書いた。2人が並んで歩いているとその格好を見られて笑われた。私は坊主頭、彼は超長髪、日本人のイメージと違い過ぎると言うのだ。通訳の人も日本語が可笑しいと訳すのに苦労していた。酒が入ると通訳無しでも現地の人とは言葉が通じる。不思議な経験だった。
彼は作品で語る。私は踊っていた。…生身の人間同士では壁は抜ける。ハグをすれば国境を越える。笑われよう。
インドネシア バリ島でも同様だった。バリヒンズー教の習慣でお酒は飲まない。しかし、ケチャ、バロンダンス、ガムランの音楽で観光では見れない葬式行事に接して、トランス状態に陥っていくのには驚かされた。神々の島と言うけれど、宗教と生活が密着して芸能が伝承されていることは大いなる発見であった。酔った。

2000-2003、中学校での3年間の演劇部コーチを依頼されての経験は教育現場が抱えている問題を意識するようになった。登校拒否、不登校、引きこもりの生徒さんたちがいることは知っていたが、それが現実として身につまされる思いだった。イジメ問題然り、根の深さを知る。
演劇トレーニングや発表会に向けての稽古では生徒たちも目標をもってくれていたので無難に進めることはできた。…しかし、部活とは違う場所で“不良中学生”のレッテルを貼られている“問題生徒”との接触は頓珍漢だった。
演劇部顧問の副島先生はそういう生徒さんとのコミュニケーション担当もしており、私に向かって「タバコ頂戴。」と言った生徒に「この人はアングラだよ。」と言い始めて「アングラの恐ろしい話を聞け。」と言われた。…さて、どうしよう?
私は口に灯油を含みろうそくの炎に吹きかけた。火吹き男を演じると生徒も先生も笑い転げてしまった。…これがアングラだ!とうそぶいた。
それから問題の中学生から「親分」と挨拶されるようになる。
私が学校の先生だったら学校崩壊になるかも知れない。何の対処にもならない。
4年前に先生が亡くなられて、改めて貴重な経験を与えてくれたと今でも思い続ける。
当時の生徒さんたちとも時々顔を合わせることがある。大人になっていた。