劇団夢桟敷 ☆2018.6〜山南ノート5

熊本アングラ万華鏡〜演劇とプライベートの徒然

週刊月曜日 第38号

2023-03-21 20:00:10 | 週刊月曜日
劇団夢桟敷「週刊月曜日」
〈第38号 2023.3.21発行〉
https://yumesajiki.jimdofree.com/
ワークショップ活動報告と次回公演ご案内。
尚、劇団夢桟敷は今年6月15日で44年になります。
こだわり続ける演劇の魅力と時代の移ろい。
生き残り時間をかけて「演劇と関わることの面白さ、時代表現の可能性」を現場から発信していきましょう。
劇団は演劇現場であり続けます。



【水俣プロジェクト3.20ワークショップ報告】
時)3月20日(月)19:00-21:00
場)熊本市中央区黒髪地域コミュニティーセンター
参加者5名。(少数精鋭ワークショップとなる、ナンチャッテ。精鋭に笑う。)

久しぶりの演劇ワークショップ、というより劇団としての稽古や打ち合わせ「今回の水俣プロジェクト検討」劇団の活動再起動案に時間が費やされる。
ところで、演劇基礎トレーニングでびっくりする。予想通り心身柔軟さが退化していた。笑える硬さ。山南の息の荒さはうるさいが、夢現は息を殺して老化を隠す。
高齢者は腰にくると参加者は言う。何が来るかと問えば「ナニガシ」で通用してしまう。言葉が出なくて「アレ」の代名詞が頻繁に出る。
「アレ」や「ナニガシ」とは年齢不明の役者であり続けることの「変身」か。変身術には限界がない。
尚、劇団の高齢化に伴い若い層の取り込み受け皿を作ることも必要になってきた。新陳代謝はどこの分野でも課題でありましょう。
カネ儲け以上の豊かさは社会や人間たちと尊徳なしで関われることが演劇や表現分野にはありまあす。
ナマの人間たちとの関わりが分断対立、連帯協調として繰り返されます。良い意味での集団の宿命は高め合い深め合うこともあり、ぶつかり稽古あっての成長か?アウフヘーベン(止揚)か?新しい発見もあります。
世の理不尽、何とぶつかっていくか?
水俣プロジェクトでは大きなテーマを避けることができないことを知りました。
若い柔軟さと諦めない硬い芯がなければ公害の原点に向き合えないのだ。

以下、ワークショップのテーマである水俣プロジェクト。
※水俣病をテーマにした問題演劇(芝居)とMovie制作プランニングについて。

①「苦海からの呼び声(仮題)」夢現ひとり芝居ー。
〈脚本・出演/夢現こと坂本真里〉
 劇的志向◎アングラ劇
 「少女都市からの呼び声」唐十郎
 「ノック」(訪問市街劇)寺山修司
 「苦海浄土」石牟礼道子
 水俣、不知火海ロケハンから見えた「劇的なるものを巡って」
以上の複眼タイトルによる視点をガラガラと混ぜてポンと生み出せるか?
作術劇をガラガラポンと名付ける。演劇の化学反応とも呼ぶべきリアリズムか?現実批判か?
水俣病の公害原論を幻視力を行使して見せられないものか。
医療や行政、裁判による認定のまやかしを告発することも大切だが、演劇で何が表現できるかに挑戦しよう。
舞台は「怨旗(ルサンチマン)」と「赤い曼珠沙華(彼岸花)」
ワークショップで直感として浮かび上がる。…苦海からの呼び声。

2023年11月17日(金)・18日(土)
熊本市国際交流会館
公演日時会場が決まりました。問題演劇の「問題」を公開できるのは公演当日になるでしょう。
公演に向けて公開ワークショップとしての制作過程や展示などもお知らせすることになりますのでご注目ください。

②「不知火幻視行」Movie制作準備の準備。
Movie制作は時間をかけることになりました。それは「水俣」の現在を切り取る時間の映像が多くの方々のご協力をいただくために費やされます。
水俣の取材と現地での偶然の出会いなど、シナリオ通りではないハプニングを構成した記録の映像を試みたいからです。
ドラマ・物語とドキュメンタリーのガラガラポンに挑む。物語の解体と構築は現実社会の矛盾を突き刺す刃になるだろうか?感情は爆発する。
学術的な水俣病研究(医学や社会構造)からの解明についてはその筋より学べます。これは大切なことです。しかし、水俣病には被害と加害の複雑な関係が入り乱れ、悲しくもその心の在りどころには非人間的なヒダがうごめいていることが見えます。
言い換えれば、恐ろしい権力欲が垣間見られると思ったからです。欲望は自然を破壊するバケモノにもなる。
割り切れないモノとは?何の問題でも共通する豊かさ=利益への幻想があると思うのです。それを邪魔するものへの差別や偏見。
邪魔とはある立場の人間たちには都合が悪いモノにあるのでしょう。
「不知火幻視行」Movieでは声なき声を集めてみたい。
そのためにもオーロラに龍やキツネ、魚や貝に姿を代えて、毒を喰らって体に異常をきたし亡くなられた方々の「火」を追いましょう。(山南)

週刊月曜日 第37号

2023-03-14 17:50:34 | 週刊月曜日
劇団夢桟敷「週刊月曜日」
〈第37号 2023.3.14発行〉
https://yumesajiki.jimdofree.com/

【水俣プロジェクトworkshopご案内】
「苦海からの呼び声」
時)3月20日(月)19:00-21:00
場)熊本市中央区黒髪地域コミュニティーセンター(熊本市中央区子飼本町15-20)
問)要予約少人数👉0904581 5190
yumesajiki@ybb.ne.jp

※水俣病をテーマにした問題演劇(芝居)
 方向性と現実課題について。
【プログラム】
①劇団夢桟敷「水俣プロジェクト」概要
 discussion 水俣病と向き合うために
「苦海」坂本真里Commentary
②水俣病事件と不知火幻視行
 劇的志向◎アングラ劇・「少女都市からの呼び声」唐十郎/訪問市街劇「ノック」寺山修司/苦海浄土」石牟礼道子
 水俣、不知火海ロケハンから見えた「劇的なるものを巡って」
Movie製作プランと今後の予定。

(注)時間が足りなくなるワークショップです。課題を見つけて〈つづき〉が前提になります。


転載メモ〈水俣病事件略年表〉
(2016.1.7 第14期水俣学講義 井上佳子)

1953年
水俣市の海岸部でネコ踊り病多発
1956年
水俣病公式確認(5月1日) 熊本大学研究班、病気の原因が水俣湾の魚介類に含まれる重金属と結論(11月3日) 伝染病報道
1957年
「水俣奇病罹災者互助会」結成 熊本県、厚生省に漁獲禁止措置の可否を照会 国の答えは否。
1958年
厚生省「水俣病の原因はセレン、タリウム、マンガン。出所はチッソが 疑われる」と発表
チッソ、排水路を反対側に変更
1959年
不知火海沿岸漁民チッソに投石
見舞金契約(12月30日)成人10万円 子供3万円 1962年(昭和37) 安賃闘争(3年間続く)
患者審査会 16人を胎児性水俣病と認定
1963年
熊本大学研究班「水俣病の原因はメチル水銀化合物で、水俣湾の貝、チ
ッソのスラッジから抽出」と公式発表
1965年
新潟で第二の水俣病患者確認(6月12日) 1967年
新潟水俣病患者家族13人が昭和電工に補償を求め提訴
1968年
アセチレン法アセトアルデヒド製造設備を停止
政府見解(病気の原因をチッソの廃液と断定、公害病に認定)
1969年
水俣病第一次訴訟 112人の原告がチッソに補償を求め提訴
1973年
第一次訴訟判決 (3月20日)「第三水俣病」報道 (5月22日)
1975年
熊本県議会議員の「ニセ患者発言」
1978年
チッソ株式の上場廃止
1980年
水俣病第三次訴訟提訴
1982年
関西訴訟 東京、京都、福岡でも提訴 1987年
第三次訴訟判決 裁判所が初めて国県の行政責任を認める
1995年
政府が未認定患者の救済策を決定 主な患者団体救済策を受諾
1万1537人に260万円の一時金と医療手帳など 2004年(平成16) 関西訴訟最高裁判決
2007年
新たな裁判の提訴
2009年
水俣病被害者救済特別措置法成立
2012年
特措法による「救済」申請受付締め切り(7月31日) 2013(平成25) 溝口訴訟最高裁判決で原告勝訴
熊本で「水銀に関する水俣条約」採択(10 月)
2014年
水俣病第二世代訴訟一審判決で、熊本地裁は原告8人のうち3人を 水俣病と認めたが、5 人は棄却した。