山川草一郎ブログ

保守系無党派・山川草一郎の時事評論です。主に日本外交論、二大政党制論、メディア論などを扱ってます。

「小泉落選」のシミュレーション

2003年09月16日 | 政局ウォッチ
各種報道によると、明日の自民党総裁選で小泉純一郎首相(総裁)が再選されることは間違いないようだ。

「2,3位連合」の可能性がささやかれていた頃、小泉氏の周辺は盛んに「再選されなかったら衆院を解散する」とけん制し、首相自身もその可能性を否定しなかった。

他陣営は、この挑発に「議会制民主主義を否定するものだ」と猛反発した。しかし、調べてみると、政権党の党首が党首選で落選した場合、内閣総理大臣の職務も辞任しなければいけない、という規定はないようだ。ならば、総裁選で再選されなかった小泉氏が、内閣総理大臣にとどまることは法律上、可能ということか。

とはいえ、その場合も、新しく自民党総裁に就任した人物が、小泉首相を首班とする内閣と対立することは必至。議会内の最大政党を敵に回した内閣は、政権運営で苦境に立たされることになる。

いや、それ以前に、自民党の新総裁は内閣不信任決議案を国会に提出するだろう。衆議院で過半数を超す最大党が提出するのだから、不信任案が可決するのは間違いない。

仮に森派、山崎派、小里派など「親小泉勢力」が造反しても、野党が内閣を信任することがない以上、不信任案は可決されてしまうのだ。

このケースでは、小泉首相の対応として(1)憲法69条に基づき内閣総辞職か、衆院を解散する。(2)野党の一部と手を組み、議会内多数を形成して不信任案可決を未然に防ぐ(つまり政界再編)――の2つの選択肢がある。

(1)の場合、小泉首相が総辞職を選ぶ理由はなく、まず間違いなく解散総選挙となろう。これは「議会制民主主義を否定するもの」でも何でもなく、純粋に憲法規定に従ったものだ。

ただし、首相が自民党の了解を得ずに衆院を解散した場合、首相を支持する有権者の票が自民党に流れたのでは再び自民党を最大党にしてしまうので無意味だ。このため首相は総選挙に際して、自身を支持する国会議員を組織化して小泉支持票の受け皿とする必要がある。

小泉支持議員は、自民党以外に野党にも存在するので、結果として(2)と同じく政界再編が行われることになる。

自民党総裁の椅子が、自民党議員と自民党員による信託であるのに対し、内閣総理大臣の椅子(=政党の党首として闘った衆議院選挙で最大議席を得ること)は国民有権者からの信託である。どちらが、より重い職責であるかは明らかだ。

そう考えると、自民党総裁でなくなった小泉氏が、もし「それでも国民の多くは自分を支持している」と考えるのなら、首相の座に居座ったまま衆議院を解散することは、何ら不法な行為ではない。

小泉氏が自民党総裁に再選されるか否かは、明日の投票結果を見なければ分からない。

「自民党のゴルバチョフ」で終わるか、「日本の李登輝」として戦後史を画す実績を残すのか。党員ではないが、日本国民の一人として「小泉総裁」の運命を注視したいと思う。(了)


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