山川草一郎ブログ

保守系無党派・山川草一郎の時事評論です。主に日本外交論、二大政党制論、メディア論などを扱ってます。

映画「太陽」について

2006年08月22日 | 社会時評
終戦前後の昭和天皇の苦悩を描いたロシア映画「太陽」(アレクサンドル・ソクーロフ監督)を観た。前評判では「あ、そう」を連発するイッセー尾形の怪演ぶりが話題になっており、かなりのキワモノ映画かと思って観たのだけれど、これがなかなかどうして力作だった。(本エントリーには、映画の結末に触れる部分があります) . . . 本文を読む

メディアは堀江氏を持ち上げたか?

2006年01月27日 | 社会時評
「批判は甘んじて受けるが、小泉改革のせいだと言われるのは心外だ。メディアこそ、あれほど時代の寵児(ちょうじ)と持ち上げていたじゃないか」――。衆院予算委員会でライブドア事件との関係を追及された小泉純一郎首相は、そう言い返したという。 野党からの批判に対する反論としては的外れだが、マスコミの責任追及をかわす手としては、かなり有効だと思う。メディアの側もそこを突かれると分が悪かろう。 新聞テレビに . . . 本文を読む

「ホリエモン逮捕」の居心地の悪さ

2006年01月24日 | 社会時評
「なんだかすっきりしない」と、毎日新聞の磯野彰彦さんが書いている。ライブドアの堀江貴文社長が逮捕された。容疑は証券取引法違反。テレビ各社は空撮で東京拘置所への被疑者護送をライブ中継した。最近は「マスコミ最後の良心」とさえ思える磯野さんも、ここのところの報道に違和感をお持ちのようだ。  まず、検察OBがテレビに出て、事件の構図をいろいろと解説してくれるのだが、なんだかヘンだ。昔はそんなことはしなか . . . 本文を読む

「堀江論」の総括

2006年01月22日 | 社会時評
東京地検特捜部の強制捜査着手以来、マスコミのライブドア叩きはすさまじいものがある。一方、解説報道を通じて捜索の容疑も漠然とながら見えてきた。偽計取引。風説の流布。微妙な気もするが、確かに違法なのかもしれない。 私個人は堀江貴文ライブドア社長を道徳的に持ち上げたことはないが、「参加型の時代」というエントリーで、無数の個人に株を持ってもらう手法を、無党派主導の政治の在り方と重ね合わせ、やや肯定的に取 . . . 本文を読む

東京地検のライブドア「極秘」捜査 

2006年01月18日 | 社会時評
インターネット関連大手の「ライブドア」(堀江貴文社長)に対して、東京地検特捜部が強制捜査に乗り出した。ライブドアPJニュースは、捜索開始直後に堀江社長に取材した際の様子を次のように伝えている。 ライブドアの堀江貴文社長は同日深夜、PJニュースの取材に対し「捜査は午後4時ごろのNHKのニュースを聞いて知った。午後6時40分ごろ捜査令状を見せられ、メーンのパソコン一台と関連書類を押収された」と語った . . . 本文を読む

「砂」になった日本社会

2005年12月24日 | 社会時評
「粘土だったものが砂になってしまった」と、何かのインタビューで中曽根康弘元首相が言っていた。日本社会が有機的に結合した「粘土」から、つかみどころのない「砂」に変質したため、郵政解散で風を起こし、砂を巻き上げた小泉首相が勝ってしまった。そんな内容だったと記憶している。 日本社会の「砂質化」は10年、20年かけてゆっくりと進行してきたが、2005年は「砂になった日本社会」が特に印象付けられた年だった . . . 本文を読む

ロイヤルファミリーはもう要らない

2005年12月12日 | 社会時評
皇室典範の改正問題が現実味を帯びつつある。天皇家の問題を社会問題として騒々しく扱うことには気が引けるし、大きな時代の流れは変えられないとも思うのだが、それでも私個人の意見は意見として書き残しておきたいと思う。 まず立場を明らかにしておきたい。私は、女性天皇を認めることには賛成だが、女系天皇を認めることには反対である。女系の創出は、皇統の断絶のみならず、「新しい王室」の創設を意味する。21世紀の現 . . . 本文を読む

語りはじめた弁護士

2005年12月05日 | 社会時評
広島での女児殺害事件で、逮捕されたペルー人容疑者の弁護人が記者に囲まれ、インタビューに応じている風景を何度かテレビで観た。少し前なら弁護士はマスコミの取材を受けなかっただろう。守秘義務があるため、法廷の外でペラペラ喋ることをよしとしない空気が、日本の法曹界にはあったからだ。 一方、マスコミはマスコミで、警察発表を鵜呑みにして「容疑者は容疑を認めている」などと報じて平気だった。まあ、警察に拘束され . . . 本文を読む

2つの不幸な対面

2005年07月25日 | 社会時評
『ぷちナショナリズム症候群―若者たちのニッポン主義』(2002年,中公新書ラクレ)などの著作で知られる精神科医の香山リカ氏が、地方紙向けの論考記事で靖国問題について次のように書いている。 昨今は、日本の人々の気質に「感情優位主義」あるいは「涙優位主義」とも言うべき要素が加わっているようにも思う。北朝鮮の拉致問題と同様、この靖国問題を議論するのが難しいのは、そこに「子や親を思う家族」の存在が見える . . . 本文を読む

靖国神社は「死を要求する装置」か

2005年07月19日 | 社会時評
共同通信社「CH-K」編集部が運営しているブログ「署名で書く記者の『ニュース日記』」で、編集委員の小池新氏が2回にわたって靖国問題を取り上げている。靖国神社とは「国が個人に犠牲を求める壮大なシステムの『最終装置』」であり、そもそも戦死者を国家が慰霊するような施設は、たとえ靖国に代わる国立墓地であろうと要らない、という意見のようだ。 小池氏の主張には無理があると思う。たとえば彼は、民主党の西村眞悟 . . . 本文を読む

「遊び」を認めない時代

2005年07月03日 | 社会時評
あそび【遊び】 1 遊ぶこと。「―に興じる」 5 機械などで、急激な力の及ぶのを防ぐため、部品の結合にゆとりをもたすこと。「ハンドルの―」 (大辞泉) 宮城県警の犯罪捜査報償費の適正執行に確信が持てないとして、浅野史郎知事が今年度の報償費予算の支出を禁じた。執行停止されたのは、情報提供者や捜査協力者への謝礼に使う(とされる)一般捜査費と、尾行や張り込みの経費に充てる捜査諸雑費の2費目。今年 . . . 本文を読む

「新たな靖国」をつくってはどうか

2005年06月18日 | 社会時評
靖国問題で新たな展開があるのかどうか。報道によると、小泉純一郎首相は17日夜、新たな戦没者追悼施設の建設について「わだかまりなく追悼できる施設を検討してもいい」と表明した。一方で「靖国神社がなくなるわけじゃない」とも語り、新施設完成後の靖国参拝継続にも含みを残したようだ。とりあえずは週明けの日韓首脳会談に向け、歩み寄る姿勢をみせたというところか。 靖国参拝をめぐっては、日本遺族会が11日に「英霊 . . . 本文を読む

「天皇の喪失」と公務員の堕落

2004年09月06日 | 社会時評
公務員の不祥事がメディアを賑わすようになって久しい。90年代の大蔵不祥事に始まり、外務省機密費流用事件、相次ぐ検察・警察の不正経理事件・・・。政治家の専売特許だったスキャンダルは、今や高級官僚たちの代名詞となりつつあるようだ。いや、高級官僚だけではない。警察官や公立学校教員の破廉恥な犯罪も後を絶たないし、最近では社会保険庁職員による年金流用や個人情報の覗き見などが問題になった。こうした傾向の背景に . . . 本文を読む

イラク元人質女性の「ノブレス・オブリージュ」

2004年08月25日 | 社会時評
イラクで一時、武装勢力の人質になった人達が少しずつ語り始めている。一時的に批判を集めた彼らだが、ほとぼりが冷めたのか、今では当時の「自己責任」批判に対する反論の方が、各メディアで大きく扱われる傾向にあるようだ。 私は「人質になった本人の行動と、その家族の言動とは分けて考えるべき」との前提から、(家族でなく)人質本人に対する「自己責任」批判は間違っていると考え、ここでもそう主張した(「イラク『人質 . . . 本文を読む

「皇紀2600年」世代

2004年08月24日 | 社会時評
1999年11月、東京・千代田の皇居前広場を会場に、天皇即位10周年の記念式典が行われた。若者に人気のロックバンドや、アイドルたちが出演し、二重橋上に姿を現した天皇・皇后両陛下に万歳三唱を捧げる様子がテレビや新聞などで報じられたので、ご記憶の方々も多いことと思う。 この式典については、陛下ご自身が、現下の経済情勢に鑑みて華美な式典を固辞されたにもかかわらず、当時の森喜朗文相のリーダーシップで実現 . . . 本文を読む