山川草一郎ブログ

保守系無党派・山川草一郎の時事評論です。主に日本外交論、二大政党制論、メディア論などを扱ってます。

「西郷」と「大久保」 ―政治家・小沢一郎の2つの顔

2004年05月24日 | 政局ウォッチ
映画「ラストサムライ」に登場する反政府軍の棟梁カツモト(渡辺謙)は、武士としての名誉を守るため、彼を尊敬する仲間とともに近代装備の新政府軍に突入し、戦死する。 日本人好みの壮絶な死の美学に、政治家・小沢一郎の人生観が重なって見えた。彼には多くの憂国の士をひき付けるカリスマ的魅力があるが、それはどこからとなく漂う「滅びの美学」の臭いに負うところが多い。 自民党を割り、細川政権を樹立して壊し、新進 . . . 本文を読む

政権をつくるのは「選挙」か「政局」か

2004年05月19日 | 政局ウォッチ
本日付の読売新聞が、民主党代表への就任を辞退した小沢一郎氏に関して興味深い解説記事を掲載している。今回の民主党の迷走劇について、年金未納問題をテコに一気に政局の流動化を狙った「政局政治家」小沢一郎の「読み違い」が原因だったと総括したものだ。 確かに、小沢氏には「政権は政局から生まれる」という、ある種の信念がある。「政局が混乱して困るのは政府与党であって、野党は得することこそあれ、困ることは何もな . . . 本文を読む

官邸は誰と戦っているのか?

2004年05月19日 | 政局ウォッチ
朝刊各紙によると、小泉純一郎首相の北朝鮮再訪問に関し、首相官邸筋が日本テレビの同行取材を拒否する意向を伝えてきたとのこと。 一部報道によると、この「官邸筋」とは、首相秘書官の飯島勲氏のことで、政府が検討している北朝鮮への食料支援の総量について、日テレが報道したことを問題にしているという。 飯島氏は日テレに対し「情報源を教えろ」「日テレの代わりに雑誌社を同行させる」などとも言っているとか。同氏は . . . 本文を読む

政治による「都合」の調整

2004年05月19日 | 政治のかたち
長年、日本の国会議員は、あらゆる「都合」の調整を図ることが任務とされてきた。官庁の都合、業界の都合、選挙区の都合、そして国家国民の都合などである。 官庁の都合でつくられた政策(予算案・法律案・条約案など)を、選挙区や業界、国家国民の都合で作り直し、官庁に実行させるのが、日本における政治(=国会)の役割だったのだ。 この政策製造プロセスでは、政党や政治家は理論上、①省益という「官庁」の都合を代弁 . . . 本文を読む

「徹底抗戦」か「修正協議」か―55年体制後の野党の在り方

2004年05月14日 | 政局ウォッチ
国民やマスコミは、55年体制の崩壊後、国会での野党の役割に対する基本認識が未整理な状態にある。年金改正法案をめぐる混乱を見ていて、そう思った。 政府与党の提出した法律案が、まったく話にならない欠陥法案であった場合、野党の対応としては①対案を出す②修正を求める―の2つのパターンが考えられる。大前提として、国会内で過半数を持たない少数派を「野党」と呼ぶわけであるから、その意味で①対案は、採決で否決さ . . . 本文を読む

ハイエナ・ジャーナリズム

2004年05月13日 | メディア論
年金未納問題の発覚を受けての、菅直人民主党代表に対するテレビのバッシングは異常だった。すべて目を通したわけではないが、特にひどかったキャスターは古館伊知郎、みのもんた、田原総一朗、田丸美寿々の各氏だろうか。釈明しようとする菅氏の発言をさえぎって「そんなことは聞いていない」「辞めるの、辞めないの」と迫る姿は、死肉に群がるハイエナのようだった。 これらのジャーナリスト(?)には、どうも「辞任発言」を . . . 本文を読む

イラク「人質」への非難・中傷は間違っている

2004年05月09日 | 社会時評
イラクの人質事件について、メディア上での議論がかなり混乱している気がしている。人質になった本人の行動と、その家族の言動とは区別して考える必要があるのではないか。 「自己責任」という言葉を人質になった本人に対して投げかけても、彼らも実際、何と答えていいか分らないのではないか。彼らだって、イラクに行くことの危険は承知の上で行ったのだろう。 むしろ、彼らにしてみれば、イラクで突然、武装グループに理由 . . . 本文を読む

菅氏は致命的ミスを犯した

2004年05月09日 | 政局ウォッチ
年金滞納の責任を取って福田康夫官房長官が辞任した。歴代最長記録を更新し「我が世の春」を謳歌した矢先の辞任劇だ。一寸先は闇の政界だが、年金問題が内閣の大番頭の辞任にまで発展するとは正直、考えていなかった。 そもそも、年金改革法案の提出責任者である内閣メンバーに対し「過去の納付状況を公表せよ」と求めた民主党の姿勢は当然だった。これに対し「個人情報だ」と拒み続けた福田氏には、これまで記者の追及を「恫喝 . . . 本文を読む

調査報道とリークジャーナリズム

2004年05月08日 | メディア論
「調査報道」と呼ばれる取材スタイルが、ジャーナリズムの王道と賞賛されるようになったのは、いつの頃からだろうか。日本で調査報道の栄光が話題にのぼるとき、必ずと言っていいほど引き合いに出されるのが、米紙ワシントンポストの「ウォーターゲート事件」だ。 ボブ・ウッドワードら2人の若手記者が、米民主党本部で起きた些細な侵入事件をきっかけに、それが共和党の大物による盗聴工作であった事実を付きとめ、最後は現役 . . . 本文を読む