山川草一郎ブログ

保守系無党派・山川草一郎の時事評論です。主に日本外交論、二大政党制論、メディア論などを扱ってます。

政界ポジショントーク

2006年01月27日 | 政局ウォッチ
ポジション・トーク」という言葉がある。「株式先物の買持ち・売持ち等のポジションを持っている影響力のある市場関係者が、自分に有利な相場展開を図るために世論誘導を企てること」を指すらしい。

ライブドア事件に絡んで、ホリエモン応援問題が自民党内の政争に火をつけている。靖国問題などで舌好調の外交評論家・加藤紘一氏の執行部批判にも、何やらポジショントークな雰囲気が漂う。党総務会では武部幹事長とつばぜり合いを演じたようだ。

加藤氏
「カネですべてが片付くという考えの持ち主を応援したのはいかがなものか。反省すべき点は反省すべきだ」

武部氏
「加藤先生はカネ、カネとおっしゃるが、先生が一番政治とカネの問題で苦労されたんじゃないでしょうか」


武部氏はもともと山崎派で、2000年の「加藤の乱」では加藤、山崎両氏と行動を共にし、処分を受けているはずだ。その加藤の乱で、首相の座から引きずり下ろされそうになったのが森喜朗氏。今回は武部氏にお説教をたれている。

「間違ったことを人のせいにしたら同罪になるだけの話だ。謙虚に非は非と認め、どうリカバリーしていくかが大事だと、常に彼(武部氏)に注意していたつもりだ」


加藤氏と森氏が組んで、武部氏批判。思惑は別でも、昨日の敵は今日の友か。森氏の説教内容は実にまともなのだけど、彼が言うと笑えてしまうのは何故だろう。

内紛を始めた自民党の醜態に、民主党も追及姿勢を強めている。「ホリエモンを広告塔に利用した小泉首相の責任は重い」とか「ホリエモンは小泉改革が生んだ『勝ち組』の象徴だ」とか、久々に威勢がいいのである。

さすがに自民党側も黙ってはいられないとみえて、「民主党も岡田前代表が堀江氏に出馬要請しているじゃないか」(武部幹事長)と逆襲。これに岡田氏が「堀江氏の求めに応じて面会した。考えが異なることが明らかになったので出馬要請はしていない」と抗議して、泥沼の言い争いが続いている。

面会を申し入れたのが岡田氏だろうが、堀江氏だろうが、国民から見ればどうでもいいことだ。民主党側にも当時、堀江氏に出馬を打診する用意があったことは知られている。結果的に堀江氏が小泉自民党を選んだのであって、選ばれた自民党と、選ばれなかった民主党の違いは「運の良し悪し」でしかない。

ホリエモンという華やかな「ヒルズ族」の出現と失墜は「弱肉強食の格差社会」をつくり出した小泉改革の「影」の部分だという。「影」があるなら「光」もあるはずだ。民主党は「小泉改革なるものはまやかしで、改革は何一つ進んでいない」と言い続けてきたと思うのだが…。

日経平均株価はきょう、1万6000円台を回復した。

〔了〕


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5 コメント

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Unknown (妙訝)
2006-02-01 18:23:16
>国民から見ればどうでもいいことだ

岡田氏との面会を記者に問われた堀江氏の態度は、「あ”ぁ?!」って感じで露骨に苛立っていたので、民主側の言う堀江氏を袖にしたというような表現は間違っていないように私は感じてます。

何処の局放送だったか覚えてませんが、彼の台詞は「会ってネェよ!」と吐き捨てるよだったのをしかと覚えています。
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ごもっとも (山川草一郎)
2006-02-02 13:46:53
想像するに、堀江氏は自民、民主の両方に接触していたのでしょう。堀江氏の商売から言って「市場開放」「規制緩和」「小さい政府」を唱える新自由主義政党に、共感を抱くのは当然で、小渕~森政権までは民主党がそうした主張を掲げていました。



小泉首相が登場して「構造改革」を唱え、民主党はお株を奪われてしまったけれども、道路公団民営化などで妥協を繰り返した小泉氏への支持は低落。再び民主党が「本当の改革派」として復権しました。



もし民主党が先の衆院選で政権を取れると踏んだら、堀江氏は民主党を選んだかもしれない。ところが、郵政民営化を争点とした突然の衆院解散で情勢は一変しました。堀江氏は「どうせ出るなら、一番注目を集める形で出たい」と思うようになったのでしょう。さまざまな情報を総合すると…



(1)堀江氏はまず自民党の武部幹事長に接触。武部氏は「政治家には徳というものが必要だ。我が党の公認候補として選挙に出るならライブドアの社長職を辞めてほしい」と主張したが、「株主に責任を持てない」と拒否する堀江氏と平行線をたどり、物別れに終わった。



(2)堀江氏は次に民主党の岡田代表と会食し、「民主党は郵政民営化法案に賛成すべきだった。どうせ国民は法案の中身は分からないのだから」などと持論を披露。岡田氏は「我が党の候補にふさわしくない」と判断し、用意してあった2つの選挙区からの出馬案を堀江氏に提示せずに、会談は決裂した。



(3)堀江氏は再び自民党に接触し、武部幹事長に「公認も推薦もいらない。郵政民営化に賛成する無所属候補という形で立候補したい」と打診し、自民党側も受け入れた。



…あるいは(1)の前に、民主党サイドから堀江氏に対して内々に出馬意思の確認があったのかもしれません。こういうプロセスなら、堀江氏が不調に終わった岡田氏との会談を「なかったこと」にした気持ちは分かります。



結果として自民党は、劣勢だった堀江氏の選挙に深入りしすぎました。だから応援した武部氏や竹中氏が党内で結果責任を問われるのは仕方がない。でも、民主党がそのことをもって自民党批判しているのを、国民は案外、しらけた目で見ていると思うのです。堀江氏を自民党と取り合った経緯を、有権者はよく見てますから。

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首相の言い分も紹介。 (山川草一郎)
2006-02-02 23:35:35
小泉純一郎首相は1日午後の参院予算委員会で、構造改革に伴う経済格差拡大への批判が強まっていることに関し、「わたしは格差が出ることは悪いこととは思っていない」と答弁した。その上で「ようやく今、光が見えてきた」と景気回復の成果を強調する一方、「光が見え出すと影のことを言う(人がいる)。影に対し、どうやって手当てをしていくかが大事だ」と述べ、経済的弱者にも配慮する姿勢を示した。自民党の市川一朗氏が「改革一本やりでいいのか」とただしたのに対し、答えた。 

(時事通信) - 2月1日21時1分更新

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Unknown (妙訝)
2006-02-03 04:17:10
(2)に関して。

堀江氏は岡田氏に「袖の下」を用意していたから、岡田氏が怒ったのだ…とのウサワも当時有ったけれど、その辺りは?
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うぅむ (山川草一郎)
2006-02-03 08:32:43
堀江氏は「自民党を買収する」と豪語したともいわれますから、岡田氏にそういった趣旨のことを口走った可能性は否定できませんね。そうした露悪趣味というか、偽悪趣味は、愛と正義の民主党とは相容れないでしょう。
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