山川草一郎ブログ

保守系無党派・山川草一郎の時事評論です。主に日本外交論、二大政党制論、メディア論などを扱ってます。

身も蓋もない弁明

2006年05月16日 | メディア論
「身も蓋もない弁明」というものが世の中にはある。「それを言っちゃおしめーよ」というか。いや、そういうことを言う人は概して正直者だったりするし、個別の事情も察してはいるのだが・・・。それでもなあと、思うのだ。 というのも最近、インタビューでの発言が問題になった現役の職業記者や元記者が、「いや、あれは相手の本音を聞き出すためのテクニックでね」といった趣旨の弁明をしているのを、相次いで目にしたからだ。 . . . 本文を読む

アジアのニュースは誰が伝えるか

2006年03月07日 | メディア論
小泉首相のツルの一声でNHK改革の主要テーマに急浮上した「海外向け放送の強化」。そのための財源確保策に「広告の解禁」が挙がり、民放から反対論が相次ぐなど波紋が広がっている。 日米貿易摩擦の頃にも、日本の対外情報発信力の弱さが議論された時期があった。当時はバブルで日本の情報価値が高騰したけれど、欧米系のテレビ局や通信社によって世界に伝えられる日本像が不当に歪曲されている、と国会でも指摘された。 . . . 本文を読む

ワイヤ・サービス・メンタリティ

2006年02月06日 | メディア論
愛読しているブログ「ネットは新聞を殺すのか」が、「本を書きます」という筆者の言葉を残して長い沈黙に入っている。「参加型ジャーナリズム」の方向性を模索して来られた湯川鶴章氏(時事通信社編集委員)が、その集大成としてまとめるであろう著作が、今から待ち遠しい。 その湯川氏は、執筆中の原稿をブログに順次連載するという珍しい手法をとっているのだが、「参加型ジャーナリズムへの期待」と題するエントリーに興味深 . . . 本文を読む

ジャーナリストはプレーヤーであるべきか

2005年12月12日 | メディア論
読売新聞社の渡邉恒雄会長が回想録「わが人生記」(中公新書ラクレ)を出版した。といってもここで話題にしたいのは、この本そのものでなく、11日付日経新聞朝刊に掲載された芹川洋一編集局次長の書評についてである。芹川氏はこう書いている。 本書を通じて浮かび上がってくるのは「時代のプレーヤー」としてのナベツネ像である。共産党時代も政治記者としても、球団経営にあたっても、観客席でプレーをみているだけではおさ . . . 本文を読む

近頃の政治記者

2005年11月12日 | メディア論
自民党圧勝に終った9月の衆院選については、各種メディアでさまざまな評価・分析がなされている。中でも多いのが、自民党は広報戦略、メディア対策で民主党を引き離したというような分析だ。 私個人は、今回の自民大勝は、「小泉おろし」の動きに対する国民の反発を正確に読み取った首相が、逆境を逆手に取ってうっちゃりを決めた結果だとみているが、それはそれとして、自民党が選挙戦でメディア戦略を重視していたことも事実 . . . 本文を読む

朝日新聞に会見を要求しよう

2005年09月07日 | メディア論
実にもっともな意見だと思う。朝日新聞の記事捏造事件をきっかけに新聞社の体質を厳しく批判したGripBlogのエントリーのことである。記事捏造が発覚したのに「どうして朝日新聞は記者会見しないのだろう」という素朴な疑問。そこからさらに発展して「マスコミ各社にも記者クラブが必要では?」という問題提起。いずれも同感である。 正直に言うと、GripBlogの筆者が書く批判的意見には共感できないことが多い。 . . . 本文を読む

取材者のジレンマ

2005年08月31日 | メディア論
ちょっと昔の缶コーヒーのCMにこんなのがあった。雑談の中で日本の首相や自分の上司のふがいなさに不満を漏らし、「ガツンと言ってやれよ、ガツンと」と威勢よく憂さを晴らすサラリーマンが、ふと気付くとクリントン大統領や格闘家ボブ・サップの前に立っていて、ゴクッとコーヒーを飲む…。 自民党がメルマガやブログの主宰者を招いて懇談を開いた。この話題について語っているブログを回ってみて感じたのは、「素人であるブ . . . 本文を読む

テレビ朝日の記者クラブ批判

2005年08月27日 | メディア論
「朝まで生テレビ」を朝まで見ていたら、テレビの政治報道と記者クラブの問題について批判的に取り上げられていた。この手の話になると現役の報道関係者は口をつぐむから、そもそも批判的な意見しか聞こえてこないのだが、「まったく同感だ」と思うものもあれば、中には「ちょっと待ってよ」と言いたくなるものもある。 「同感だな」と思うのは、テレビカメラの前で行われる首相インタビューでの記者の突っ込みの甘さだ。何より . . . 本文を読む

自民党「ブロガー懇」の小さな一歩

2005年08月25日 | メディア論
「自民党:メルマガ、ブログ発信者と懇談 武部幹事長」(毎日新聞)・・・自民党の武部勤幹事長が25日夜、メールマガジンやブログで情報発信している人たち約30人と「懇談」した、というニュース。招待されたのは、おなじみGripBlogさんのほか、【ミナログ】製造業社長の逆襲さんなど(※1)。安倍晋三幹事長代理も出席予定の懇談なのに、自民党幹部が「取材拒否」中のはずのA新聞社に所属するブロガーにも声かけし . . . 本文を読む

ジャーナリズムは独占されていない

2005年08月12日 | メディア論
「ジャーナリズムはもともと社会改良運動だったはず」という湯川鶴章氏の問題提起が気になっている。「社会運動家の言論活動だったジャーナリズムを20世紀にメディア企業が独占した」との問題意識に立って、しかしながら「21世紀にはジャーナリズムが再び社会改良運動と1つになっていく」という予測。すなわち「参加型ジャーナリズム」論である。 私が気になるのは、「20世紀にメディア企業が独占した」という部分だ。こ . . . 本文を読む

文章の質と言論の質

2005年08月09日 | メディア論
湯川鶴章氏の目指す「参加型ジャーナリズム」とは何なのか。つかんだと思ったら、手の平からこぼれ落ちて逃げてしまう陽炎(かげろう)のようなこの概念に、多くのブロガーが戸惑いや懸念を表明している。 前回、前々回のエントリーで、私は参加型ジャーナリズムとは結局、ジャーナリズムそのものではなく、一種の社会改良運動なのではないかと論じた。これに対し、湯川氏は「ご指摘の通り、わたしはジャーナリズムが . . . 本文を読む

「トロイの木馬」は平等を目指す

2005年08月07日 | メディア論
前エントリー「2つの市民ジャーナリズム論」 に関して、辛口批評で知られる松岡美樹氏がブログ「すちゃらかな日常」で言及されている。光栄なことなので少し便乗したいと思う。と言っても、私のエントリーに関する記述は以下の部分だけである。 ちなみに『山川草一郎ジャーナル』さんもエントリー「2つの市民ジャーナリズム論」の中で、湯川さんのコンセプトはジャーナリズムそのものではなく「一種の社会改良運動だ」と分 . . . 本文を読む

2つの市民ジャーナリズム論

2005年08月05日 | メディア論
ネットジャーナリズムに関する議論をリードしてきた2つの有力ブログの間に、微妙な距離が生じている。各分野の専門家による良質の議論空間を期待する「ブログ時評」に対し、「ネットは新聞を殺すのか」は、言論のエリート支配打破のためには質にこだわる必要はないという立場のようだ。 社会が高度化すれば、同時に各分野の専門化が進む。世界全体を把握しようとする教養主義は廃れ、ゼネラリストに代わってテクノクラートが社 . . . 本文を読む

「日本ジャーナリスト機構」設立構想

2005年07月26日 | メディア論
更新が再開された高田昌幸氏のブログ「ニュースの現場で考えること」が、記者クラブ問題に関して興味深い提言を行っている。「記者クラブは加入制限を撤廃、もしくは大幅に緩和して、原則誰でも出入りできるようにすべきだ」という主張は以前から一貫しているが、記者クラブに代わる組織について具体的に言及している点が目新しい。いわば「日本ジャーナリスト機構」設立の提案である。 たぶん、一番良いのは、正社員や派遣社員 . . . 本文を読む

記者クラブ問題 解決への優先順位

2005年07月11日 | メディア論
主宰者が自ら取材するブログとして何度か紹介してきた「GripBlog」から距離を置くことにした。その取材姿勢に共感するあまり、少し深入りしすぎたのが一番の理由だが、記者クラブ問題に対する考え方の違いが明確になったことも大きい。詳しい経緯は7月1日付の記事とコメント欄のやりとりで確認して頂きたい。 記者クラブ制度が日本のメディアの在り方を歪めている、という問題意識は共通だと想像するのだが、どうやら . . . 本文を読む