山川草一郎ブログ

保守系無党派・山川草一郎の時事評論です。主に日本外交論、二大政党制論、メディア論などを扱ってます。

「それでも小泉」の痩せ我慢 ―米大統領選と日本の政局

2004年07月30日 | 政局ウォッチ
米国東部ボストンでの民主党大会は、ジョン・ケリー氏を大統領候補に正式指名し、盛り上がりを見せている。選挙イヤーのお祭り騒ぎは、米国政治の魅力の一つだが、華やかな米大統領選挙が日本の国内政局に与える影響も、無関係そうに見えて意外と大きい。 1993年8月に発足した細川連立政権。55年の保守合同以来の政権交代を国民の多くが歓迎した背景には、実は前年の米国大統領選があった。この選挙で民主党のビル・クリ . . . 本文を読む

ライブドアとマードック ―球界再編騒動に思うこと

2004年07月29日 | 社会時評
このところ、テレビは球界再編の話題で持ちきりである。球団売却で2リーグ制維持か、球団合併による1リーグ制移行か―。そのどちらにも反対論が根強いから、野球ファンの扱いは難しい。いずれにしても、今のままではパ・リーグの経営は成り立たないことだけは間違いなさそうだ。 ここまでのゴタゴタで批判の対象となったのは、読売ジャイアンツのオーナーで読売新聞会長の渡邉恒雄氏だ。どうやら1リーグ制への移行は渡邉オー . . . 本文を読む

長谷川宏『丸山真男をどう読むか』をどう読むか

2004年07月28日 | メディア論
黒沢明監督の代表作「七人の侍」(1954年東宝)が公開されたころ、一般大衆からの熱烈な支持の一方で、一部の評論家からは「百姓に対する視線が高圧的」といった趣旨の批判があったという。 映画「七人の侍」は、野武士の襲撃から収穫を守るため、農民がボディーガードとして雇った侍たちの物語である。雇われた侍も、敵役の野武士も、「戦国」という時代が生んだ鬼っ子であることに変わりなく、野武士の死体から鎧や刀を剥 . . . 本文を読む

愛国心とは「私的」なもの

2004年07月26日 | 社会時評
東京都などで公立学校での国旗掲揚、国歌斉唱方針に従わない教員が処分され、社会問題になっている。処分に反発し、国旗国歌の強制を拒む人々がいる一方で、「公立校での国旗国歌尊重は当然」と異を唱える人も多い。 正直に言って、私は教育現場における国旗国歌の問題にはあまり関心がない。学校に国旗を掲げ、生徒に国歌を歌わせることが、愛国心を「教育」することになるとは思えないからだ。それは所詮、「皇紀2600年」 . . . 本文を読む

2大政党化とメディア

2004年07月25日 | 政治のかたち
先の参院選では、自民党によるメディア批判が際立った。公式抗議では安倍幹事長が中心的役割を果たしているようだったが、小泉首相も街頭演説で「一部の反米マスコミが―」といった表現で噛み付いた。 政権党が選挙中にマスコミ批判を打ち出すことは、それ自体、55年体制下ではあり得なかったことで、それだけ自民党が弱体化した(言いかえれば、磐石の「体制」から、下野もあり得る普通の「政党」に変質した)証左だろう。 . . . 本文を読む

永住外国人の参政権について

2004年07月25日 | 社会時評
民主党の岡田克也代表は今年5月、韓国の羅鍾一駐日大使と会談し、永住外国人の参政権を獲得に向け「さらなる取り組みを約束した」(民主党公式HP)という。こうした発言に対し、インターネット上では、参政権付与に反対し、岡田氏や民主党を「売国奴」などと非難する言説が散見されるようだ。外国籍者の政治参加は認められるべきだろうか。 現行の公職選挙法は、投票資格を有する選挙権者について「日本国民たる年齢満20年 . . . 本文を読む

「ガリベン岡田」は「ツッパリ小泉」に勝てるか

2004年07月24日 | 政局ウォッチ
日曜朝のフジテレビの番組で、中曽根康弘元首相が「人生いろいろ」発言を撤回しない小泉純一郎首相を「ツッパリっ子」にたとえて、持論である「大統領型首相から議院内閣的総理への転身」を助言していた。中曽根氏は返す刀で、民主党の岡田克也代表についても「ガリ勉の優等生」と皮肉った。 「ツッパリ」と「ガリ勉」―。先の参院選では「ガリ勉」に軍配が上がったが、日本人の本当の好みは果たしてどちらだろうか。 確かに . . . 本文を読む

ナショナリズムを考える

2004年07月23日 | 社会時評
人間はこの世に産まれてから物心がつく頃まで、およそ「親」という絶対権力の支配のもとにあり、そのことに疑問を抱くことなく成長する。「物心がつく」とは自分自身を社会の中の客観的存在として認識することで、「自我を得る」と言い換えることも可能だろう。 自我を得る過程(「思春期」とも呼ばれる)では、自己と他人との比較から生じる「劣等感」を克服しながら、誇りの持てる自分像を探し続ける。それは同時に、長く絶対 . . . 本文を読む

小説 細川連立学校

2004年07月23日 | 政局ウォッチ
オカダ・カツヤ君は、8つの学校を統合した細川連立「非自民小学校」の1期生である。思えば10年前にこの学校を卒業した同窓生たちは、多くが離ればなれになってしまった。 ある者はオカダ君と一緒に私立「新進中学校」に進学したが、この学校は一部バンカラ生徒の校内暴力で廃校に追い込まれた。また、ある者は1955年創立の名門「自社中学校」に進んだが、学習環境が劣悪で、良識派の生徒たちは自主退学し、出来たばかり . . . 本文を読む

拝啓小泉首相殿

2004年07月23日 | 政局ウォッチ
9月に予定される内閣改造・党役員人事が、今後2年の「後期小泉政権」の行く末を占う意味で注目されているようです。内閣に党の実力者を入れて「挙党態勢」をつくるか、それとも若手を登用して「サプライズ効果」を狙うか―。 参院選で傷を負った小泉さんは、中曽根元首相や森喜朗前首相らの進言を受け入れて挙党態勢に傾くであろう、というのが大方の予測。「小泉首相は勝負に出る」と見る評論家もいますが、少数派のようです . . . 本文を読む

小泉首相は「火を噴くパジェロ」

2004年07月19日 | 政局ウォッチ
参院選の応援演説で、田中真紀子前外相が小泉首相のことを「とんでもない欠陥商品でしたので、回収させていただきます」と皮肉り、聴衆の笑いを誘っていた。正に言い得て妙である。政治家としての資質はさておき、田中氏は実に才能に恵まれた評論家だと思う。 その欠陥商品を作り出した自民党というメーカーも、もはや耐用年数を過ぎてしまったようだ。10年来の長期低落傾向に歯止めがかからず、様々な「負け組企業」と経営統 . . . 本文を読む

「日米英3国同盟」論

2004年07月18日 | 日本の外交
「日本を守るために米国が日米安保条約で協力してくれている。米軍が日本と一緒に戦って、米軍が攻撃されたときに(自衛隊が)米軍と共同行動できない、集団的自衛権を行使できないというのはおかしい。そういう点も憲法ではっきりしていくことが大事だ」―。 参院選最中の6月27日、小泉首相はNHKの討論番組で憲法改正による集団的自衛権の明記をぶち上げた。自衛隊のイラク多国籍軍参加とあいまって波紋を呼んだが、その . . . 本文を読む

「首相を選ぶ議会」と「法案審議の議会」―衆参機能の分離・逆転構想

2004年07月15日 | 政治のかたち
参議院の不要論がいわれるようになって久しい。衆議院の「カーボンコピー」と揶揄されながらも、政局に大きな影響を持つ参議院。衆院選への比例代表制度の導入で、両者の性格分けはより曖昧になっている。衆院との関係見直しも含めた抜本的国会改造について考えてみた―。 ★衆参の性格は逆転すべき まず、両院の性格だが、現在は「参議院は個人中心」「衆議院は政党中心」が建前だ。しかし、実際には参院の政党化が進む一方 . . . 本文を読む

政調事務局の独立シンクタンク化

2004年07月15日 | 政治のかたち
日本の政治構造を根本的に変えるには、人事制度の刷新が必要である。より具体的には、政権交代と同時に官庁幹部が入れ替わるよう、関係法令を改正すべきだ。「官僚政治の一掃」を説く民主党は、そうした方針を選挙で前面に打ち出し、国民有権者に訴えるべきではないか。 政治主導の姿勢を目に見える形でアピールするため、党内に置かれている政策調査会の事務局を、「民主マニフェスト研究所」などのNPO法人の形で独立させ . . . 本文を読む

対米追随と「駐留なき日米同盟」論

2004年07月15日 | 日本の外交
少し前の産経新聞に、対米追随外交を批判する榊原英資氏の論評が掲載されていた。小泉外交への批判としては教科書的な、スタンダードな意見だった。民主党議員からも「対米従属」批判をよく聞く。おそらく「もっと自主的な外交を」との主張は、国民一般の受けもいいと思われる。しかし、敢えて私は、現政権の「対米従属」路線を支持したいと思う。 ★現実的選択肢としての「ドル・ペッグ外交」 小泉氏がブッシュ政権と親密 . . . 本文を読む