山川草一郎ブログ

保守系無党派・山川草一郎の時事評論です。主に日本外交論、二大政党制論、メディア論などを扱ってます。

既存メディアの現状を考える(2) 記者クラブ神話 

2005年03月27日 | メディア論
既存の産業ジャーナリズムの在り方に対して、インターネットに限らず、世間で強い批判を浴びているのが「記者クラブ制度」だろう。ただ、そうした批判の中には事実誤認に基づくものや、誇張されたものが少なからず含まれている気がする。 メディアリテラシー(情報を主体的に読み解く能力)の発達に伴い、国民がメディアを批判的な目で見る習慣がついたことは歓迎すべきことだが、こと雑誌などに流布する「記者クラブ神話」に関 . . . 本文を読む

既存メディアの現状を考える(1) 新聞記者の大衆化

2005年03月26日 | メディア論
ライブドアに対する既存メディアの拒絶反応。それに対するネットユーザーを中心とした一般読者からの冷ややかな視線・・・。今回のニッポン放送騒動で明らかになった問題点とは何か。ネットに渦巻くメディア批判の虚と実を整理しつつ、袋小路に迷い込んだ産業ジャーナリズムの現状を3回シリーズで考える。 最近のメディア批判の中で最も深刻と思われるのが「知的水準への疑問」だろう。たとえば東谷暁氏の『日本経済新聞は信 . . . 本文を読む

古い感覚と新しい芽

2005年03月24日 | メディア論
共同通信社CH-K編集部が開設している「署名で書く記者の『ニュース日記』」というブログがある。かつて堀江貴文ライブドア社長の私生活を批判し、インターネット上で激しい議論の応酬を巻き起こした「有名ブログ」である。このブログで最近、堀江批判で名を馳せた編集長氏が「マスコミを勧めない理由」と題する記事を投稿し、再び波紋を広げている。 「知り合いの大学3年生」の会社訪問を受けた編集長氏が、「正直言って、 . . . 本文を読む

ライブドアの代理復讐―「弱肉」が応援する「強食」

2005年03月23日 | メディア論
テレビ朝日系「報道ステーション」が行ったニッポン放送買収劇に関する世論調査によると、これまでライブドアを支持してきた「団塊世代」が、同社から急速に離れ始めているそうだ。学園紛争で挫折したこの世代が、かつての自分たちと同じ「反逆児」のイメージを堀江貴文社長に重ね合わせてきたのは理解できるが、ここに来て距離をとり始めたのは何故だろうか。 番組ではコメンテーターの朝日新聞記者が「団塊世代は、自分たちを . . . 本文を読む

ネット時代の新聞批判について

2005年03月21日 | メディア論
ここのところのライブドア騒動に関連して、インターネット時代の読者が、新聞社の報道に対して抱いている不満が多く語られるようになった。その中には「判断は自分でするから、報道機関は判断材料としての客観的事実だけを伝えてくれ」という主張も、よく見かける。成熟した市民社会にとっては当然の要求だろう。この機会にメディアの在り方について改めて考えてみたい。 よく考えれば、読者に基本情報を伝え、それを基に家庭や . . . 本文を読む

資本家のジャーナリズム論

2005年03月20日 | メディア論
「メディアの将来像」という記事の中で、ライブドアの堀江貴文社長のジャーナリズム観について、毎日新聞のインタビューを引用しながら批判的に取り上げた。しかし、その堀江氏がけさの「サンデープロジェクト」(テレビ朝日・ABC系列)で「調査報道が必要ない、なんて言っていない」と釈明していたので、アンフェアにならないようにご紹介しておきたい。 メモをとっていたわけではないので一言一句再現はできないが、堀江氏 . . . 本文を読む

韓国「過剰反応」の心理を読み解く

2005年03月18日 | 日本の外交
島根県議会が「竹島の日」条例を可決したことに、韓国の官民が猛反発している。わたしは、いわゆる右翼や民族派ナショナリストの類には属さないと自負しているが、それでも韓国側の反応は異常だと思う。おそらく、ごく一般の日本国民が同じ感情を抱いているのではないだろうか。 「植民地化は合意の上だった」などの閣僚の失言に韓国政府が抗議してくることは過去にもあったし、その憤りは理解できた。しかし、一地方議会の、何 . . . 本文を読む

ブロガーが首相に質問する日

2005年03月16日 | メディア論
8日付の毎日新聞(電子版)によると、米国では最近、ブロガーと呼ばれる市民記者がホワイトハウスで行われる大統領報道官の定例記者会見への参加を許可されたという。一般に、米国で起きた事象は5-10年後に日本でも起きるとされる。主催権が(政府でなく)記者クラブ側にある日本の官房長官会見では難しいのかも知れないが、既に外国メディアや雑誌記者に開放している民主党代表の定例会見などは、ブロガーの参加も可能ではな . . . 本文を読む

金正日と朴正煕

2005年03月08日 | 日本の外交
金正日氏が北朝鮮内で孤立しているのではないか、というこれまでの推測を捨てようと思う。専門家から見れば「何を今さら」と思われるかも知れないが、少なくとも彼が現状打開を望んでいて、守旧派の軍部との間で板ばさみになっているという“好意的”解釈には、自信を持てなくなった。 北朝鮮は独裁国である。この、極めてオーソドックスな―それゆえに異論を差し挟みたくなる―定説に、私は敢えて立ち戻ることにした。この国に . . . 本文を読む

メディアの将来像

2005年03月06日 | メディア論
かつてメディア研究に関わった者として、ライブドアの堀江貴文社長が語るメディア将来像には説得力を感じる部分もある。放送や新聞はネットとの融合により、今はまだ想像もできないような可能性を開くことができるだろう。下山進氏の著作『勝負の分かれ目』(講談社)を読めば、堀江氏が見据える将来像がうっすらとながら見えてくる。それは「ユーザーとユーザーをつなぐ媒体こそがメディアである」という、ある種の思想に裏付けら . . . 本文を読む