山川草一郎ブログ

保守系無党派・山川草一郎の時事評論です。主に日本外交論、二大政党制論、メディア論などを扱ってます。

小泉自民は保守政党か?

2006年03月06日 | 政治のかたち
「改革一辺倒の小泉首相率いる自民党は、もはや保守政党とはいえない」――。郵政政局の頃から一部で囁かれ始めたこんな言説が、広く一般に流布されるようになったのは、皇室典範改正の動きが本格化した昨年暮れ頃からだろうか。 秋篠宮家の慶事で典範改正は見送られ、保守派の政権批判もひとまず沈静化した感があるが、火種はくすぶったままだ。この間、「皇室の問題を政争の具にしてはならない」と過度の対立を諌める議論も聞 . . . 本文を読む

「防衛省」にも、敢えて異論

2005年12月12日 | 政治のかたち
自民党が「防衛庁を省に昇格させる法案」を次期通常国会に提出すべく準備中だという。巷では「防衛庁が防衛省に昇格したからといって、実質は大きく変わらない」「法案提出の手続き簡素化や自衛官の士気向上が期待できる」など、省昇格を容認する意見が多く聞かれるようだ。 現在の防衛庁は内閣府の外局という位置付けで、防衛政策の主任大臣は、あくまで内閣府の主任たる総理大臣なのだという。だから防衛庁は独自に国会に法案 . . . 本文を読む

新進党から学ぶこと

2005年12月04日 | 政治のかたち
9月の衆院選で歴史的大敗を喫した民主党が、足腰の弱さを指摘されている地方組織のテコ入れに動き出したようだ。同党に近い関係者から聞いた話では、2007年の統一地方選に向け、各地方で非自民勢力を総結集した「地域政党」を結成し、反転攻勢の礎石にしたい考えだという。 中央政界と異なり、地方政界では民主党はまだまだ弱小勢力だ。都道府県議会では自民党系会派が数十人規模なのに対し、民主党系は2,3人という例も . . . 本文を読む

和のファシズム~自民党50年と新憲法案~

2005年11月23日 | 政治のかたち
自由民主党が結党50周年を祝う党大会を開催したという。9月の衆院選での大勝も記憶に新しい中でのセレモニー。ご同慶の至りである。小泉チルドレンを前面に出し、報道での露出効果、公告効果を周到に計算した演出は、「立党50周年大会」というより「小泉新党結党大会」と表現した方が適切と思えるほどだ。(自社さ政権時に制定した、あのマークもそろそろ変更していいのではないか。瑣末なことだが) 大会に合わせて公表さ . . . 本文を読む

「自衛軍」明記に、敢えて異論

2005年11月14日 | 政治のかたち
自民党が10月に公表した新憲法草案に「自衛軍の保持」が盛り込まれた。「前項の目的(戦争放棄)を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とする現行9条第2項の改訂部分である。自衛のための戦力保持を明文化する考え方には賛成なのだが、その戦力を裏付ける実力行使部隊の名称を、果たして憲法に書き込む必要はあるものだろうか。 自民党内の議論の過程では、「防衛軍」「国防軍」を主張する声もあったが . . . 本文を読む

民主政の上に何を掲げるか

2004年08月21日 | 政治のかたち
「民主主義」という政治理念は存在するのか?それは日本独自の訳語ではないか?―そんなことを考えたことはないだろうか。「~主義」の接尾語である「―ism」が、民主主義の原語であるデモクラシー(democracy)にはないからだ。デモクラシーとは本来、「民主主義」という思想概念というよりは、「民主政」という政治体制を指す言葉として理解すべきではないのだろうか。 米国の2大政党は「共和党」と「民主党」だ . . . 本文を読む

2大政党化とメディア

2004年07月25日 | 政治のかたち
先の参院選では、自民党によるメディア批判が際立った。公式抗議では安倍幹事長が中心的役割を果たしているようだったが、小泉首相も街頭演説で「一部の反米マスコミが―」といった表現で噛み付いた。 政権党が選挙中にマスコミ批判を打ち出すことは、それ自体、55年体制下ではあり得なかったことで、それだけ自民党が弱体化した(言いかえれば、磐石の「体制」から、下野もあり得る普通の「政党」に変質した)証左だろう。 . . . 本文を読む

「首相を選ぶ議会」と「法案審議の議会」―衆参機能の分離・逆転構想

2004年07月15日 | 政治のかたち
参議院の不要論がいわれるようになって久しい。衆議院の「カーボンコピー」と揶揄されながらも、政局に大きな影響を持つ参議院。衆院選への比例代表制度の導入で、両者の性格分けはより曖昧になっている。衆院との関係見直しも含めた抜本的国会改造について考えてみた―。 ★衆参の性格は逆転すべき まず、両院の性格だが、現在は「参議院は個人中心」「衆議院は政党中心」が建前だ。しかし、実際には参院の政党化が進む一方 . . . 本文を読む

政調事務局の独立シンクタンク化

2004年07月15日 | 政治のかたち
日本の政治構造を根本的に変えるには、人事制度の刷新が必要である。より具体的には、政権交代と同時に官庁幹部が入れ替わるよう、関係法令を改正すべきだ。「官僚政治の一掃」を説く民主党は、そうした方針を選挙で前面に打ち出し、国民有権者に訴えるべきではないか。 政治主導の姿勢を目に見える形でアピールするため、党内に置かれている政策調査会の事務局を、「民主マニフェスト研究所」などのNPO法人の形で独立させ . . . 本文を読む

近代産業社会における指導者像

2004年07月15日 | 政治のかたち
有能な指導者の必要条件は、哲学と時代認識、それに狡賢さである。さらに詳しく言うならば「日本国の現状を歴史の中に位置付け、将来への道を描き出せる才能」と「それを現実社会の欲求に結び付けて実行する大胆さ」ということになるだろうか。 一般に、特定の組織や地域、業界の利益を代表する政治家は批判の対象にされがちだが、近代議会が納税者の代弁業務から始まったという歴史的事実(=衆院議員が代議士と呼ばれる所以) . . . 本文を読む

政治思想と2大政党

2004年07月09日 | 政治のかたち
今後、日本の政治に2大政党制が根付くとして、その主体は日本社会の大きな2つの思想的潮流を代表していなくてはならない。 いわゆる「55年体制」の時代は、自民党と社会党が2大政党として認知されていた。しかしながら、この2党は、思想として一応は「保守」と「革新」を標榜していたものの、実態は「経営者」(産業資本と農家)を代表する自民党と、「労働者」を代弁する社会党との階級対立、労使交渉の域を出なかった。 . . . 本文を読む

政治による「都合」の調整

2004年05月19日 | 政治のかたち
長年、日本の国会議員は、あらゆる「都合」の調整を図ることが任務とされてきた。官庁の都合、業界の都合、選挙区の都合、そして国家国民の都合などである。 官庁の都合でつくられた政策(予算案・法律案・条約案など)を、選挙区や業界、国家国民の都合で作り直し、官庁に実行させるのが、日本における政治(=国会)の役割だったのだ。 この政策製造プロセスでは、政党や政治家は理論上、①省益という「官庁」の都合を代弁 . . . 本文を読む