山川草一郎ブログ

保守系無党派・山川草一郎の時事評論です。主に日本外交論、二大政党制論、メディア論などを扱ってます。

取材者のジレンマ

2005年08月31日 | メディア論
ちょっと昔の缶コーヒーのCMにこんなのがあった。雑談の中で日本の首相や自分の上司のふがいなさに不満を漏らし、「ガツンと言ってやれよ、ガツンと」と威勢よく憂さを晴らすサラリーマンが、ふと気付くとクリントン大統領や格闘家ボブ・サップの前に立っていて、ゴクッとコーヒーを飲む…。 自民党がメルマガやブログの主宰者を招いて懇談を開いた。この話題について語っているブログを回ってみて感じたのは、「素人であるブ . . . 本文を読む

「参加型」の時代

2005年08月29日 | 政局ウォッチ
郵政民営化法案を自民党内の多数決で国会に提出し、その法案が参院で否決されるや衆院解散に踏み切った小泉純一郎首相。その政治手法に対して「民主主義を壊す暴挙」と声高に批判する人たちがいる。確かに全会一致が原則だった自民党総務会の慣例には反しているし、党内の混乱をきっかけに議会を解散した判断には「危うさ」が付きまとう。 一方で、党総務会の全会一致原則が、赤坂や銀座での連日連夜の根回し、裏工作という自民 . . . 本文を読む

テレビ朝日の記者クラブ批判

2005年08月27日 | メディア論
「朝まで生テレビ」を朝まで見ていたら、テレビの政治報道と記者クラブの問題について批判的に取り上げられていた。この手の話になると現役の報道関係者は口をつぐむから、そもそも批判的な意見しか聞こえてこないのだが、「まったく同感だ」と思うものもあれば、中には「ちょっと待ってよ」と言いたくなるものもある。 「同感だな」と思うのは、テレビカメラの前で行われる首相インタビューでの記者の突っ込みの甘さだ。何より . . . 本文を読む

自民党「ブロガー懇」の小さな一歩

2005年08月25日 | メディア論
「自民党:メルマガ、ブログ発信者と懇談 武部幹事長」(毎日新聞)・・・自民党の武部勤幹事長が25日夜、メールマガジンやブログで情報発信している人たち約30人と「懇談」した、というニュース。招待されたのは、おなじみGripBlogさんのほか、【ミナログ】製造業社長の逆襲さんなど(※1)。安倍晋三幹事長代理も出席予定の懇談なのに、自民党幹部が「取材拒否」中のはずのA新聞社に所属するブロガーにも声かけし . . . 本文を読む

政権評価を二分する「直感力」

2005年08月23日 | 政局ウォッチ
朝食を摂りながら斜めに観ていた22日朝のフジテレビ情報番組が、思いのほか面白かった。30日公示の衆院選で亀井静香元建設相の地元選挙区から出馬する堀江貴文ライブドア社長が、司会者やゲストのピーコ氏らから袋叩きにあっていたのだ。 堀江氏いわく・・・小泉政権になってから、スピードは遅いながらもイイ感じに改革が進んでるな、と思っていたら参院で郵政民営化法案が否決されちゃった。ここで改革を止めたら、日本経 . . . 本文を読む

決断できる国家になれるか

2005年08月14日 | 政局ウォッチ
あす8月15日は終戦記念日。新聞テレビでも60年前に終ったあの戦争について考える特集が目に付く。そんな中、本日付朝日新聞は「なぜ戦争を続けたか」と題する社説で、戦争終結を決断できなかった理由を「指導層のふがいなさ」に求めている。 終戦工作開始を進言した参謀を更迭した東條首相、その東條を政変で総辞職に追い込んだ宮中重臣らも、しかしながら自宅で密談を重ねるだけで「互いの腹の探り合いに終始した」。 . . . 本文を読む

「独裁者」が勝負に出るとき

2005年08月13日 | 政局ウォッチ
「猫だまし解散だ」と、コラムニストの天野祐吉さんがテレビで言っていた。力士が見合った相撲の立会いで、組む直前に相手の目の前で手を叩いて驚かす。ひるんだすきに自分の得意技に持ち込んで勝ってしまう。小泉首相のトリッキーな解散劇を皮肉まじりに讃えた言葉だ。 サプライズ解散という表現もあるらしい。「まさかそこまでは…」という政界の常識を覆した演出に、メディアは目くらましをされた。そんな批判も聞こえてくる . . . 本文を読む

ジャーナリズムは独占されていない

2005年08月12日 | メディア論
「ジャーナリズムはもともと社会改良運動だったはず」という湯川鶴章氏の問題提起が気になっている。「社会運動家の言論活動だったジャーナリズムを20世紀にメディア企業が独占した」との問題意識に立って、しかしながら「21世紀にはジャーナリズムが再び社会改良運動と1つになっていく」という予測。すなわち「参加型ジャーナリズム」論である。 私が気になるのは、「20世紀にメディア企業が独占した」という部分だ。こ . . . 本文を読む

文章の質と言論の質

2005年08月09日 | メディア論
湯川鶴章氏の目指す「参加型ジャーナリズム」とは何なのか。つかんだと思ったら、手の平からこぼれ落ちて逃げてしまう陽炎(かげろう)のようなこの概念に、多くのブロガーが戸惑いや懸念を表明している。 前回、前々回のエントリーで、私は参加型ジャーナリズムとは結局、ジャーナリズムそのものではなく、一種の社会改良運動なのではないかと論じた。これに対し、湯川氏は「ご指摘の通り、わたしはジャーナリズムが . . . 本文を読む

「トロイの木馬」は平等を目指す

2005年08月07日 | メディア論
前エントリー「2つの市民ジャーナリズム論」 に関して、辛口批評で知られる松岡美樹氏がブログ「すちゃらかな日常」で言及されている。光栄なことなので少し便乗したいと思う。と言っても、私のエントリーに関する記述は以下の部分だけである。 ちなみに『山川草一郎ジャーナル』さんもエントリー「2つの市民ジャーナリズム論」の中で、湯川さんのコンセプトはジャーナリズムそのものではなく「一種の社会改良運動だ」と分 . . . 本文を読む

2つの市民ジャーナリズム論

2005年08月05日 | メディア論
ネットジャーナリズムに関する議論をリードしてきた2つの有力ブログの間に、微妙な距離が生じている。各分野の専門家による良質の議論空間を期待する「ブログ時評」に対し、「ネットは新聞を殺すのか」は、言論のエリート支配打破のためには質にこだわる必要はないという立場のようだ。 社会が高度化すれば、同時に各分野の専門化が進む。世界全体を把握しようとする教養主義は廃れ、ゼネラリストに代わってテクノクラートが社 . . . 本文を読む

郵政解散こそ「憲政の常道」

2005年08月03日 | 政局ウォッチ
毎日新聞政治部の古賀攻記者が3日付朝刊「記者の目」で興味深い論を展開している。参院で郵政民営化法案が否決されたからといって衆院を解散するのは「お門違い」で、「リセットすべきは自民党だ」という主張だ。 「一見合理的に思えるこの解散戦略も、二院制の意義という観点で考えるとおかしい」と古賀氏は言う。「一方の院の選挙で示された『民意』を、もう一方の院は半ば自動的に受け入れるべきだとの考え方が根底にあるた . . . 本文を読む

4割の岩盤

2005年08月03日 | 政局ウォッチ
民主党・桜井充議員 「郵政民営化は米国の意向を受けての改革ではないか」 小泉純一郎首相 「それはね、桜井さんね、思い過ごし」 2日の参院郵政特別委員会で、こんなやりとりがあったという。首相にしてみれば「バカなこと聞くなよ」という思いだろうが、「郵政民営化は米国の陰謀」という説は、首相が思っている以上に世間で広く信じられている。 なぜ信じられているかと言えば、米国の要求事項と小泉内閣の市場開放 . . . 本文を読む