「しょせん新聞記者なんてペンを持った暴力団やからな」。中堅に差し掛かった記者が自嘲気味にそう話すのを聞いたことがある。法的権限があるわけでもない。自らの行動の根拠とするのは「国民の知る権利」という名の「仁義」だけ。そうした心意気を表現したかったのだろうが、私の耳には暴力団対策法の施行で追い詰められ、がけっぷちに立たされたアウトローの嘆きと同じ響きがした。
ヤクザの起源を遡るとどこにたどり着くのだ . . . 本文を読む
相変わらず経済には疎いのだが、29日付毎日新聞に掲載された玉置和宏論説委員のコラム「学者とメディアの責任」には潔さを感じた。インテリは間違う。そのことを改めて肝に銘じるためにも、この10年の経済政策をめぐる「学者とメディアの責任」は一度総括しておく必要があるかも知れない。
「小泉構造改革で唯一の勝利は公共事業をしなくともいくらでも景気は回復するということを身をもって示したことにある。これは4年の . . . 本文を読む
「マスコミが取材に来たけど断ったよ」―。白昼の無差別殺人事件で社員を亡くした会社の幹部は、眉間にシワを寄せながらそう語った。「何か非常識なことを言われたんですか」と聞くと「いや別に」という答え。「他人の不幸を聞き回って何が楽しいか」。事件関係者にはマスコミの報道姿勢以前に、事件取材そのものに本能的な拒絶反応を示す人が多い。
事件を取材する側(社会部記者や地方支局の若手記者)はそうした拒絶反応に接 . . . 本文を読む
JR福知山線の列車脱線事故から25日で1カ月が経過する。亡くなった方々のご冥福を改めてお祈りしたい。事故直後から連休明けまで続いた洪水のような関連ニュースも、ようやく落ち着きをみせつつある。記者会見でJR西日本幹部を怒鳴りつけた記者に批判が集まった頃から、一連の過剰とも言える報道にもようやくブレーキがかかった気がする。JR西日本の陥った過ちと、大きな事件で飛ばしすぎる日本マスコミの体質は、どこか重 . . . 本文を読む
終戦の年に生まれた赤ん坊が還暦を迎えた今年。日本国内はヨン様ブームに沸き、日韓関係が未来志向で動き始めたと思った矢先に、日本の加害責任を追及する声がにわかに盛り上がった。日本は一体いつまで謝り続けなければならないのか?―多くの日本国民が戸惑ったはずだ。進歩派のニュースキャスター氏にいわせれば、その答えは「いつまでも」ということになるらしい。
戦後60年。同じ敗戦国であるドイツが隣国の許しを得たの . . . 本文を読む
大学時代、法学部で政治学を専攻した。我が母校では、政治学というのは数ある社会科学系学問の中で最も人気のない部類に属していた。学生の人気がない理由は単純で、有利な就職口がないからだ。
医者を目指すなら医学部、法曹界を目指す人は法学部、ビジネスマンになるなら経済学(経営学)部と、将来の目標をイメージしやすい学問は人気を集めやすい。それに比べて、こと文学と政治学に関しては、小説家か政治家になる以外に役 . . . 本文を読む
軍事評論家の田岡俊次氏が朝日新聞社の雑誌「AERA」で、中国での反日デモの背後に日中分断を目論む米国の意図がある、との説を披露していた。経済的にますます存在感を強める中国が、同じアジアの経済大国・日本と手を携えることは米国にとって脅威であり、知識人の中には日中分断の必要性を公言する者もいる、といった内容だ。
そのような考えを持つ米国人がいるだろうことは容易に想像できるし、日本人であるわたしの目か . . . 本文を読む