山川草一郎ブログ

保守系無党派・山川草一郎の時事評論です。主に日本外交論、二大政党制論、メディア論などを扱ってます。

憲法は集団的自衛権を禁じているか

2004年08月27日 | 日本の外交
25日付共同通信などによると、民主党の岡田克也代表は、党代表選に向けた政策公約「2015年、日本復活ビジョン」を発表し、現行憲法下での武力行使などをめぐる党内論議を進め、「集団安全保障基本法案」を来年の通常国会に提出する意向を表明した。小沢一郎前代表代行の持論である「国連待機部隊」構想も検討するという。 「安全保障基本法の制定」は、旧自由党の政策でもあり、小沢構想に一目置きつつも「国連待機部隊だ . . . 本文を読む

イラク元人質女性の「ノブレス・オブリージュ」

2004年08月25日 | 社会時評
イラクで一時、武装勢力の人質になった人達が少しずつ語り始めている。一時的に批判を集めた彼らだが、ほとぼりが冷めたのか、今では当時の「自己責任」批判に対する反論の方が、各メディアで大きく扱われる傾向にあるようだ。 私は「人質になった本人の行動と、その家族の言動とは分けて考えるべき」との前提から、(家族でなく)人質本人に対する「自己責任」批判は間違っていると考え、ここでもそう主張した(「イラク『人質 . . . 本文を読む

「皇紀2600年」世代

2004年08月24日 | 社会時評
1999年11月、東京・千代田の皇居前広場を会場に、天皇即位10周年の記念式典が行われた。若者に人気のロックバンドや、アイドルたちが出演し、二重橋上に姿を現した天皇・皇后両陛下に万歳三唱を捧げる様子がテレビや新聞などで報じられたので、ご記憶の方々も多いことと思う。 この式典については、陛下ご自身が、現下の経済情勢に鑑みて華美な式典を固辞されたにもかかわらず、当時の森喜朗文相のリーダーシップで実現 . . . 本文を読む

民主政の上に何を掲げるか

2004年08月21日 | 政治のかたち
「民主主義」という政治理念は存在するのか?それは日本独自の訳語ではないか?―そんなことを考えたことはないだろうか。「~主義」の接尾語である「―ism」が、民主主義の原語であるデモクラシー(democracy)にはないからだ。デモクラシーとは本来、「民主主義」という思想概念というよりは、「民主政」という政治体制を指す言葉として理解すべきではないのだろうか。 米国の2大政党は「共和党」と「民主党」だ . . . 本文を読む

罪深き毒舌家・福沢諭吉

2004年08月20日 | 社会時評
街の書店にあふれる福沢諭吉に関する賛否両論の本を見るたびに、福沢とは本当に罪深い人だなと思う。何しろ日本の近代化を導いた思想家であることは誰もが認めるところなのに、同時に辛らつな毒舌家でもあったのだから致し方ない。奔放な物言いで当時の民衆を魅了した毒舌タレント、評論家としての福沢は、現代で言えば、ビートたけしのような存在だったのだろう。 政治学者の丸山真男は、戦時中に福沢の著作に触れ、日本人の内 . . . 本文を読む

小沢氏VS岡田氏 対立の背景にあるもの

2004年08月17日 | 政局ウォッチ
民主党内で小沢一郎氏が、岡田克也代表の無投票再選に「待った」をかけている。直接のきっかけは、岡田氏が米国で行った「改憲で武力行使を容認」発言にあるようだ。このため、今回の騒動は一見、外交・安全保障政策をめぐる対立のようにも見えるのだが、両者間の根本的な認識ギャップは結局、「政権を作るのは選挙か、政局か」という同党内の路線対立を反映したものと考えることもできる。 「衆院選挙で過半数の議席を得て政権 . . . 本文を読む

映画『華氏911』を観て

2004年08月16日 | メディア論
マイケル・ムーア監督の問題作『華氏911』をようやく観た。正直、ちまたに流布する安っぽい陰謀説を取り上げ、意図的なカットつなぎで権力者を揶揄した不愉快な映画だろうと先入観を持っていたのだが、(演出論はさておき)主張と論理展開は案外、冷静かつフェアーなものだった。 映画や音楽といった大衆文化は、人間の感情に直接訴えかけるものだ。その強大な力の前には、時に正論はかき消されてしまいがちである。(体制側 . . . 本文を読む

「改革」から「安保」へ? ―続・小沢一郎の動く日

2004年08月11日 | 政局ウォッチ
民主党の岡田克也代表が先の訪米で表明した「改憲による武力行使容認」の方針に、同党保守派の重鎮である小沢一郎氏が噛み付いた。新潟県連からの水害視察要請を断られた腹いせだとか、9月の党代表選に向けた布石だとか、様々な推測が飛び交っているが、私は小沢氏の言動について、同党の外交・安全保障政策一本化に向けた執念の裏返しと見ている。 ★政界再編か「国連」でまとまるか 核武装論を公言してはばからない右派 . . . 本文を読む

侵略の罪は世襲すべきか?

2004年08月09日 | 日本の外交
中国で開催されたサッカーアジア杯で、一部中国人観衆の「反日」態度が問題になった。日中戦争の記憶や小泉首相の靖国参拝が背景にあるとの指摘もあるが、無関係とは言えないまでも、あまり無理に関連付けて考えるべきではないだろう。 問題を起こす中国人は、自らを正当化するために様々な理由を挙げるだろうが、基本的には、サッカー観戦という興奮状態で感情を発奮させているだけ。彼らが「大国」と認識している日本は、憂さ . . . 本文を読む

金正日は「脱北」を望んでる?

2004年08月08日 | 日本の外交
中国と韓国の間で「歴史問題」が再燃している。7日付各紙によると、韓国史を紹介した中国外務省ホームページが、朝鮮古代王朝の記述から「高句麗」を除外したことに韓国側が抗議、これを受けて中国側が大韓民国建国以前の韓国史をすべて削除したことで、対立が激化しているという。高句麗は、朝鮮半島北部から中国東北部に及んだ古代王朝。古代史をめぐる中韓の対立から、北朝鮮を巻き込んだ東アジアの「変化の兆候」が見え隠れす . . . 本文を読む

キャスターの涙と日本の「孤立主義」

2004年08月06日 | 日本の外交
「2大政党制というのはそういうことですか!護憲は共産党と社民党だけですか!」―。3日夜のテレビ朝日系「報道ステーション」で、キャスターの古舘伊知郎氏が、生出演した岡田克也民主党代表に涙目で詰め寄っていた。岡田氏と関係の深いイオン(ジャスコ)がスポンサーを務める同番組では、これまで民主党に好意的なトーンの報道が多かった。それだけに興奮したキャスターの民主党批判に、岡田氏も明らかに戸惑っているように見 . . . 本文を読む

イギリス伝統外交の危機

2004年08月05日 | 日本の外交
米国の単独行動主義に対する国際社会の批判が高まっている。確かにイラク戦争とその後の情勢を見る限り、米国の行動は誉められた行為ではない。各国の市民レベルでブッシュ政権を非難する世論が盛り上がるのも無理のない話だ。日本でも事情は同じようである。 ただし、市民レベルでの反戦運動と「日本国政府が、米国に対しどのような態度を取るべきか」という議論は、区別して考える必要がありそうだ。と言うのも、一国の外交方 . . . 本文を読む

岡田訪米団の成果

2004年08月02日 | 政局ウォッチ
岡田克也代表をはじめとする民主党訪米団が帰国した。大統領選イヤーのお祭り騒ぎや米国要人との会談。21世紀の日本の国造りを模索する民主党にとって、このたびの訪米は、米欧視察でデモクラッシーなるものを学んだ明治政府使節団の経験を追体験する旅だったに違いない。 日本が満州政策をめぐって国際的に孤立していた1932年、米国大統領選で共和党現職フーバーが民主党F.ルーズベルト候補に破れた。当時、日本国内で . . . 本文を読む