毎日が山のこと

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野呂川から間ノ岳・北岳へ(2017年7月31日~8月2日)

2022-09-02 20:30:59 | 山日記

山仲間のM氏から誘われて出かけた間ノ岳と北岳の縦走のことを記録しておきたい。

私は、若い頃に職場の仲間と白根三山を縦走している。

その時は広河原から入って奈良田におりた。

しかし、初日は強い雨になってしまったので、八本歯のコルから北岳稜線小屋に直行して北岳の山頂を踏みそびれている。

だから喜んで参加させてもらった。

コースは野呂川から両股小屋泊まり。2日目は仙塩尾根経由で間ノ岳へ登り北岳山荘泊まり。

3日目に北岳山頂をこえて広河原に降る計画だ。

広河原から北沢峠行きのバスにのり、野呂川出会いで下車。

ここから林道を2時間20分あるいて両股小屋へと向う。

バスは満員だったが、出会いで降りたのはわれわれ3人だけだった。

降りる時バスの運転士さんが、最近小屋まであいだでクマが出没しているから気をつけるようにいわれた。

「脅かさないでよ」といったら、「いやいやほんとだから」と返された。

12時45分、両股小屋にむかって出発。クマが出ないことを願いつつ一方で出会ってみたいとも思う。

立派な林道をゆっくりと奥へとむかった。

見通しがいいのでクマが出ても遠いうちに気がつくだろう。

谷底から見上げる山の大きさに南アルプスの奥深くを歩いていることを実感する。

奥になって山が迫ってくると野呂川の流れが少しづつ近づいてきた。

すきとおった綺麗な流れが、ところによって青みがかってうつくしい。

下流部と違ってこのあたりでは流れもそれほど急ではないし、谷底も少し広がっている。

道が白い綿毛でおおわれていた。柳絮と呼ばれる柳の種を含んだ穂綿だ。

15時5分、予定通り両股小屋に到着。こじんまりとしたかわいい小屋だ。

着くなり、管理人さんが「クマに会いませんでしたか」といった。

つい先日も小屋のすぐそばにあらわれたそうだ。いや無事でなにより。

まずは小屋の前のベンチで山奥の空気をあじわった。

急なはしごをのぼった2階が寝室。真ん中開いている出入口を囲むように寝るように作られていた。

さて第2日。8月1日だ。

小屋を5時15分ころに出発。まずは仙塩尾根の野呂川乗越へと登る。

この日は、私はからだが重くて調子がでなかった。

最後尾を遅れ気味に登っていった。

45分ほどで300m登り、乗越に到着。標高は2315m。樹林の中の狭い尾根で見通しはない。

深い樹林の仙塩尾根を南へ、三峰岳(みぶだけ)をめざして登り始める。

長い長い見通しのない尾根道を黙々と歩く。あいかわらず調子がでない。

2時間半ほど歩くと樹林帯を抜けてようやく視界が開けてきた。

伊那谷側の展望。遠くにうっすらと中央アルプスの連なりが見えていた。

このあたりから高山の花々が姿を見せ始めて、写真もたくさん撮ったが、記録写真的に撮ったものばかりなので割愛する。

すでに森林限界をこえていて、野呂川の谷を見下ろせるポイントがあった。

奥に見えているのは甲斐駒ヶ岳だろう。

ミヤマダイコンソウ。

前方には塩見岳。私はまだ登っていない。そしてその奥には荒川三山の悪沢岳。

北を振り返ると仙丈ヶ岳がずっしりと存在感を示していた。

三峰岳への最後の登り。右へ向かえば熊ノ平小屋を経て塩見岳へ向かう。

9時50分、2999mの三峰岳山頂に到着。

少し時間をとった休憩。休んでいると岩陰からオコジョが顔をだした。

あわててカメラを手にしようとしたが、たちまち姿を消し、その後を姿を見せてくれなかった。

三峰岳は仙丈ヶ岳から塩見岳、荒川三山、赤石岳と連なる主稜線のピークだが、すぐそばにある間ノ岳の圧倒的な存在によって、山頂からなだれ落ちる尾根の先端の小さなピークにすぎないように見えてしまう。

高さだけならあの剣岳と同じなんだけどなぁ。

それにしてもこれからここを登るのか、と少々へこんでしまう。

相変わらず調子があがらないので仲間には先に行ってもらい、自分のペースで登った。

高度があがってきて稜線のむこうに北岳が頭を見せ始めた。

イワギキョウ。足元には次々と小さな花があらわれて励ましてくれる。

もうまもなくと上を見上げると仲間のO氏が岩に腰をおろして私を待っていてくれた。

11時10分、ようやく長い登りを終えて日本第3位のピーク、間ノ岳山頂に到着した。

すでに東側からガスがあがっていて展望はなくなっていた。

しばらく休憩して花などを写真に撮っていたが、ガスが濃くなって雨粒が混じってきた。

急いで北岳山荘へと下り始める。

途中少し雨にうたれたが直ぐに小止みになった。

14時28分、北岳山荘に到着。

また雨になってしまったので夕食まで小屋の中で横になって休息した。

第3日、8月2日はいいお天気だった。

5時前に起きだして日の出を見る。

北岳の八本歯のコルの近くから日が登り、北岳のシルエットが大きい。

間ノ岳とのあいだにある中白根山が赤く染まっていた。

下界は雲海におおわれ、日の出と共に朱に染まってきた。

富士山に少し雲がかかっていたのが残念だった。

30分ほどたって北岳全体に日があたってきた。

初の北岳山頂に期待が高まった。

小屋を出て稜線に出ると北岳のシルエットの向こうに仙丈ヶ岳。ほれぼれする姿だ。

日が少し高くなって雲海が白くかがやく。その向こうに富士山。たなびいていた薄い雲が消えてきた。

岩稜の尾根道にはたくさんの花々。ウスユキソウの仲間もあった。ヨツバシオガマやキバナシオガマなども咲いていた。

あぶない岩場にはしっかりした階段が設置されている。

6時40分、八本歯のコルへとの別れる吊尾根分岐に到着。

ミヤマオダマキが朝日をあびている。

いよいよ山頂も近い。でも山が大きいので見た目より時間がかかった。

7時5分、待望の北岳山頂に到着。しばし記念写真を撮りまくる。

ピークにはかなりの人、おそらく30人くらいがいた。

この日も夏らしくすぐに雲があがりはじめあたりはガスが流れはじめた。

この山行計画をたてたMさんは、下山の途中で小太郎山に寄るために山頂から一人で先行した。

Oさんと私はのんびりと自分のペースでくだる。

やがて肩の小屋が見えてきた。

チシマギキョウ。

肩の小屋の少し先の広場で休憩していると小屋の人たちが出てきて作業を始めた。

ヘリが荷物を積んで到着するので少し離れてくださいといわれた。

しばらく様子をみているとヘリが荷物をぶらさげてやってきた。

広場の上空でホバリングしながらロープをさげ、小屋の人たちが手早く網をひろげて荷物をだし、傍らに運んでいく。

ヘリはすぐに引き返していった。

イワヒバリもそのようすをじっと眺めていた、わけではなさそうだ(笑)。

8時40分すぎ、小太郎山への分岐に到着。小太郎山は北岳から北の方に突き出した尾根の先端だ。

晴れていれば、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、アサヨ峰から鳳凰三山を見渡せると思うが、Mさんにはあいにくガスに包まれていた。

今ごろはすでに引き返し始めている頃だろうといいながらわれわれは先にくだる。

白根御池にむかって急斜面をくだっていく。草すべりだ。晴れていれば展望を楽しみながらくだれるのだろうが、ガスの中。

かなり下るとダケカンバの林の中にマルバダケブキがたくさん咲いていた。

ここにもたくさんの花が咲いていたが代表してセンジュガンピを。

そろそろ白根御池かと思われる頃、小太郎山に立ち寄ったMさんが追いついてきた。さすがだ。

10時26分白根御池に到着、池のほとりにはたくさんのテントが。

小屋のかたわらでゆっくりと休憩し、その後広河原へとくだって帰宅した。

ちょうど5年前の夏の山行だったが、この時いっしょだったOさんは最近ガンを発症し、手術後の放射線と抗がん剤の治療を続けている。

この秋には軽いハイキングにでもいっしょできるといいのだが。

 

 


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