7月25日、久しぶりに安定した晴天が期待できたので、富士五湖の北にある王岳に出かけた。
早起きして中央高速を走り、大月から富士の方に向かうと富士山が山頂まですっきりと姿を見せていた。
国道139号線を西へ走り、青木ヶ原樹海の中で右にまがって西湖にむかう。
両側から樹木が迫ってくるような感覚を覚えながら車を走らせた。
西湖の西のはずれ、根場に到着。根場は1966年の台風にによって土石流が発生し、93人が亡くなるという大災害を受け、集落全体が南に移転した。
昔の集落跡は「根場いやしの里」という茅葺の家屋を集めた展示施設になっている。
そこの駐車場に隣接した空き地が登山者用駐車場だ。
8時すぎに出発。今日は、鍵掛峠から王岳へ。王岳からは直接根場へくだるという周回コースを歩く。
歩き出すとすぐに古い学校跡らしい建物があった。
こちらから見る富士山は、山頂左側にこぶのようなでっぱりが見える。
地図で確認すると白山岳らしい。富士山を西側からみると頂上の左右にピークが見えるが右は最高峰の剣が峰3776m、左がこの白山岳3756mということらしい。
山の斜面には集落があったころからのものと思われる神社がある。
登山道は「根場いやしの里」の中を進んでいく。蚕を飼っていた藁ぶきの大きな農家のたてものなどがたくさんある。
建物の中を見るにはチケットが必要らしい。
まだ朝早いのでだれもいない。
いやしの里の奥からそのまま林道を進んでいく。
しばらくは昔の住居跡らしい石積みなどがみられた。
マムシグサだろうか、テンナンショウの仲間。花が終わって実をつけている。
峨ヶ岳でもたくさんみたフタリシズカがあった。
四尾連湖から蛾ヶ岳(ひるがたけ)へ(2022年5月25日) - 毎日が山のこと
出発から30分ほど歩くと鍵掛峠への標識があった。王岳と十二ヶ岳がいっしょに書いてあった。
アカマツ混じりの落葉樹の森の中を歩く。
山道は昔ながらの峠道らしい雰囲気を残して徐々に登っていく。
一時杉林になったが、その後はまた落葉樹の森にもどった。
本沢川の左岸の斜面をすすんで、沢の詰めに近づくと右手の尾根へと登り始める。
数えてみたら12回の折り返しだった。
9時ちょうどに尾根にでた。ここからは尾根伝いに峠をめざす。
カエデの葉は夏らしく緑濃く日差しを遮ってくれている。
尾根をくねくねと登っていくと大きな岩にぶつかった。
この上にでれば富士山が見えるだろうと思った。
登山道はこの岩の右側をまくように登って、岩の上部に出られた。
すっかり雪が消えて黒々とした富士山が山頂までの全容を見せていた。
見下ろすと出発した西湖の一部と集落が見えていた。
シモツケソウみたいだが、すごく小さくてかわいい花がぽつんと咲いていた。
本栖湖の西にある毛無山が見えた。まだ南アルプスは姿を見せない。
9時50分、そろそろ峠にむかう最後の登りに差し掛かるころと思っていたら、意外にも峠についてしまった。
鬼ヶ岳と王岳を結ぶ狭い尾根筋の一角。少し移動すると富士山の展望が得られた。
しかし、一服したくなるような峠らしい雰囲気はないので、休憩スポットを探しながら王岳にむかって尾根を歩き続けた。
ゆるやかに登っていた尾根道が平らになってきた。
このあたりが地図に「鍵掛」と表示されているピークだと思うが、山名表示らしいものは見当たらない。
オオカメノキが赤い実をつけていた。
少し下りぎみになった道の途中に、また先ほどと同じ花があった。これも背丈が10センチほどと小さい。
鍵掛を通り過ぎて少し下ると樹木が少なくなって展望が開けた。
道の真ん中に大きな倒木があったのでここで休憩した。富士山の側がかなり広く見渡せる。
根場から移転し、新しくできた西湖西の集落。民宿村になっているようだ。
このあとは小刻みなアップダウンの繰り返し。
時々左手に富士山が姿を見せてくれる。
王岳とのあいだにあるピークに近づくと道が藪っぽくなってきた。
灌木の枝がリュックにあたって邪魔をする。
ピークへの登りにかかると道も狭く足元もよくない。
ふと木の枝をつかんだら、それがノイバラだった。
痛い!指先から血が出てしまった。
注意してみると結構ノイバラがあるようだ。
半ズボンではひっかき傷をつくってしまいそう。
そのピークは富士山側からまわりこむように登っていくので、西湖やその向こうの河口湖が見えた。
王岳に近づくとようやく藪っぽさがなくなってカラマツ林の中の歩きやすい道になった。
王岳を登りつめて山頂にでたが、なかなか山頂標識に出ない。樹林の中の道を先へ先へと進む。
11時20分、ようやく王岳山頂に飛び出した。
小広い広場になっていて、富士山側の大きく開けている。甲府や南アルプスの側は樹林でふさがれていた。
日差しが暑い。風の通りもあまりない。
日陰をさがしてそこでお昼にした。
いつもせかせかと食事をすませてすぐに移動しはじめるので、今回はゆっくりと休憩した。
最後に魔法瓶のお湯でコーヒーを入れようとしたら、コップが倒れてコーヒーの粉が半分くらいこぼれてしまった。
超うすめのアメリカンコーヒー。しかも量も半分(泣)
12時になったので下山開始。少し西にすすむと樹林の中に三方分山方面と根場へ下る道との分岐の標識があった。
根場へ下る尾根にはいるとササがふえて、かきわけて進むようなところもあった。
斜面が少しゆるやかになって明るい樹林となったが、あいかわらずササが多い。
その途中で道に小枝がたくさん置いてある。ここから左に曲がって沢へとおりていく。
大きく折り返しながら斜面をくだる。風がなくて少し暑い。
沢に下りついたが、残念ながら水が流れていない。
このあとは沢の近くの左岸を下っていき、やがて大きな砂防堰堤があらわれた。
12時50分、林道に出た。
落石の多い林道をくだって出発点の駐車場にもどった。