2型糖尿病の爺 病気で ドットコム

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糖尿病に罹しまう理由も多くあります。高齢化での機能の低下も多くあります。

2015年02月26日 | 日記
 若くして、はっきりとした理由が説明されずに、2型糖尿病になってしまった人もいるでしょう。高齢による機能低下で、膵臓の機能の悪化で、インスリンだ出なくなってしまった人も、これは膵臓のランゲルハン島が機能を失い、インスリン注射に頼るしかなくなります。
 私が、心臓冠動脈にステントの留置後、7ヶ月後にその後の様子を診(み)るために再度の2泊3日の循環器内科の入院で、同室患者で心臓関係での入院患者がいましたが、80歳近い人が、医師や看護師にインスリンの注射の指導を受けていました。自己インスリンが多少出ていれば、高齢者には飲み薬で対応した方か、治療しやすいのですが、自己インスリンのまったく出ていない人には、飲み薬の効果はまったくありません。
 飲み薬の存在は、インスリン抵抗性の除去や、自己インスリンの効果を持続させるためのものだったりします、飲み薬はあくまでも自己インスリンが膵臓から出ていることが条件となります。

 糖尿病薬は結構沢山の種類が世のでています。

α-GI薬の作用のメカニズムは、3大栄養素のひとつである糖質(炭水化物)が、からだの中でどのように消化吸収されるのかを知ると、理解しやすくなります。

まずは糖質の種類から見ていきましょう。糖質には大きく分けて単糖類、二糖類、多糖類の3つに分かれます。

単糖類は糖質の最小単位であり、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース、ガラクトースなどがあります。

二糖類は単糖が2つつながったもので、マルトース(麦芽糖)、スクロース(ショ糖)などがあります。マルトースは、グルコースが2つ、スクロースは、グルコースとフルクトースがつながった形をしています。

多糖類は多数の単糖が連続してつながったものです。代表的なのは、でんぷんやグリコーゲンといったものがあります。でんぷんは、多数のグルコース(ブドウ糖)がつながった形をしていて、植物の光合成によって作られます。自然界では、単糖類が単独で存在することはほとんどなく、多くはでんぷんのような多糖類の形で存在しています。

でんぷんを例に、これらの糖質の消化吸収について説明します。
食物は、口の中で唾液とよく混ぜ合わされます。でんぷんは、この過程で唾液中の唾液アミラーゼという消化酵素によって分解されて、一部が二糖類であるマルトース(麦芽糖)に形を変えます。でんぷんを含む食物を噛み続けると甘くなるというのは、この糖によるものです。

そして唾液とよく混ざり合った食物は、胃を通り、十二指腸に運ばれます。すると、すい臓から分泌されるすい液中に含まれるアミラーゼにより完全にマルトースに分解されます。

その後、小腸に運ばれ、小腸粘膜に存在する「α-グルコシダーゼ」という酵素によって分解され、単糖類であるグルコース(ブドウ糖)に姿を変えます。このように糖質は、最小単位である単糖類まで分解されて初めて吸収されるのです。

α-GI薬は、この「α-グルコシダーゼ」を阻害する作用を持つお薬で、この酵素のはたらきを阻害することによって、二糖類が単糖類に分解されるのを防ぎます。そして小腸からのグルコースの吸収を遅らせ、食後の急激な血糖値の上昇を抑えるのです。

このような作用ですので、α-GI薬は食事の直前に服用しておく必要があるというわけです。

現在、国内において販売されているα-GI薬は、アカルボース(グルコバイ®)、ボグリボース(ベイスン®)、ミグリトール(セイブル®)の3種類です。

α-GI薬は「空腹時の血糖値はそれほど高くはないけれど食後に急激に血糖値が上昇する」という糖尿病の方に用いられます。また、「SU薬などの他の糖尿病治療薬を使用して空腹時の血糖値は改善されているのに、食後の高血糖が改善されない」という患者さんにも併用薬として使われます。

2009年10月、ボグリボース(ベイスン®)に、糖尿病の食後過血糖の治療だけでなく、まだ糖尿病と診断されていない境界型である耐糖能異常(IGT)、いわゆる糖尿病予備軍の方の発症予防にも効果があることが、日本人を対象とした臨床試験(治験)で初めて認められ、厚生労働省に承認されました。

これは、国内で初めて耐糖能異常(IGT)に対する治療薬として認められたということです。食後過血糖は、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の危険因子としても注目されていますし、いかに耐糖能異常(IGT)を早期に発見し、積極的に治療することが重要であるかが伺えます。

さてここで、α-GI薬の副作用について説明しましょう。
冒頭に記載しましたが、α-GI薬は、直接インスリン分泌を促進して血糖値を下げる作用はありません。ですから、一般的に糖尿病治療薬の副作用として懸念される血糖値が下がりすぎることによる「低血糖症状」の発現は、α-GI薬の単独服用では低いと考えられています。

しかし、SU薬などの他の糖尿病治療薬と併用する場合には、低血糖症状が発現することがありますので、その場合は、必ず単糖類である「ブドウ糖」をとる必要があります。α-GI薬の作用の特性上、ブドウ糖以外の糖ではすぐに血糖値が上がらず、症状の回復が遅れてしまうからです。

そのほかにα-GI薬の副作用で多く認められる症状は、「腹部膨満感(お腹が張る感じ)」、「放屁(おなら)」、「下痢」、「腹鳴(お腹が鳴る)」などの消化器症状です。その発生メカニズムは、小腸で吸収しきれなかった糖質が大腸に達し、腸内細菌により発酵されることによって、炭酸ガスや水素ガスが発生し、酢酸、酪酸、乳酸などの有機酸になり腹部膨満感や放屁(おなら)といった症状が発生するとされています。

つまり、消化器症状の副作用は、α-GI薬の作用メカニズムと大きく相関しており、α-GI薬の食後過血糖の改善効果が強いほど、消化器症状は強く発生するといった皮肉な関係にあるのです

以上、α-GI薬について説明いたしましたが、糖質の種類や消化吸収の過程を知ることで、α-GI薬の作用がよくご理解いただけたのではないかと思います。また、ボグリボース(ベイスン®)が耐糖能異常(IGT)の治療薬として承認取得されたことにより、食後過血糖改善の重要性の認識が高まり、糖尿病治療の考え方に変化をもたらすと考えられ、今後ますます注目されるお薬になるのではないかと予測されます。

5回にわたり、経口糖尿病薬の種類や特徴を詳しく説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。今後も引き続き、糖尿病薬に関する情報を提供していきますので、どうぞご期待ください。