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**アカシアの木蔭で**

流れていく時間と逆らわずに流れていく自分を、ゆっくりペースで書いて行こうと思います

薔薇 「ヨハン シュトラウス」

2005年08月11日 | 日本の薔薇園より
メイアン社 1996年

淡い色合いの ハイブリッドティー。
そんなに高くないブッシュで 青々と葉が繁っていました。
カタログには1.3mと書かれています。
花だちがが多いそうです。

花の横に見えるつぼみたち。
これだけ咲いてくれたら 頼もしいです。

明るめの写真だと 花びらの感じが分かる・・・かな?




富さん さよなら

2005年08月10日 | 病棟
一日の尿量が 500、400、50、25ミリリットルと減り、
富さんは眠るように亡くなりました。
付き添う家族が交代の時間を見計らうように
たくさんの見守りの中、鼓動を止めました。
家族・親族が口々に「大往生だ」と喜びました。

でもわたしはもうこんな看取りはしたくない。
苦しい息の下、看護婦の腕や髪をひっぱり
叩いて苦しさを紛らわしていた。
何度となく「もう逝っていいかい?」「帰りたい」「早く死にたいよ」
とうめいていた。
なにもせず 見守るだけは 辛すぎる。

感謝の手紙

2005年08月08日 | 病棟
中原さん、とてもうちの病院が気に入ったらしく、夏中居ようかなあなんていう。
「看護婦さんもヘルパーさんも優しいし、食事も民宿のように豪華で美味しい。
 そのうえ10畳の個室が4000円で、風呂まで入れる」って。
・・・・リゾート入院は だめですってば。

次の入院さんが決まっているので丁重にお断りすると、感謝の手紙を書くと張り切っていました。
(ああ ああ それぐらい、喜んで頂きますから、時間通りに帰ってね)
冷たいようですが よくいるんです、美味しい夕飯食べてから帰るとごねる患者さん。
それから 一日あと一日と引き伸ばしにかかるご家族。
大変さはよく分かるので、出来るだけの譲歩はしますが、今回は無理です。
退院の日は、昼をはさんでダブルブッキングにちかいのですから。

検温に廻っていると、中原さんの病室から看護婦の佐藤さんの声が聞こえてきます。
たどたどしく 何かを読んでいるようです。
(本でも読んであげているのかなあ)
検温は後回しにしました。
しばらくして 佐藤さんが情けない顔してやってきました。
「あたしさ、感謝状の出来はどうか 音読させられちゃったよ。
 それもすごい指導が入ってさあ・・。
 出だしは季節の挨拶からなんだけど、柳が涼やかな風になびき・・・って始まるのよ?
 それで、柳の注釈まで書かれてて、この柳とはどこそこの由緒ある柳で・・・なんてね。
 上出来です、有難く頂きますって言って、やっと逃げてきたんだから」

う~ん、経済や政治の話をちゃんとするかと思えば これだ、
やっぱりまだらボケなんだね。
今日の疲労度NO,1は佐藤さんでした。
お疲れ様!!!!

ポケモンの映画にて

2005年08月08日 | 生活
ささやかな夏休みイベントとして 映画を観に行きました。
パパさんと花は 宇宙戦争、私は海に付き合ってポケモンです。
ほんとはスターウォーズ・エピソード3を観たかったので内心ブーイングでした。

・・・が、面白かったんです、周りの反応が。
ピカチュウが登場するなり、劇場のあちこちから なりきりピカチュウの鳴き声が聞こえます。
「ぴかちゅ~う!」「ぴっぴかちゅう♪」「ぴか===!!!」
極めつけは戦いのシーン。
「ぴかちゅう!!君が行け!!!・・・・今だ~~~っ!!」
サトシになりきった男の子の声が 響きます。
(ええっ!?ブーイングものだゾ・・)と思うと同時に、
あちこちから「がんばれ=!!」「ミュウ、早く来てー!!」の 応援の声。
可笑しくて でもほんわか温かい体験でした。

小3の海は?
ちょっぴり照れくさそうに「変なの~」なんていってた割に、
最後のほうには椅子から身を乗り出してましたよ♪
かくいう私も ポロリときて それを海にしっかり見られてしまいました。

ポケモン、結構やるじゃん!!!



ふりしぼる命

2005年08月01日 | 病棟
「富さん!!富さん!!目を開けて!!モニターお願い!!」
緊急事態を告げる、エミちゃんの声。

2,3日口を閉じる力すら失っていた富さんの血圧が下がった。
叩くように顔を揺らしても 反応が無い。
血圧は78/36、20秒から30秒の無呼吸も頻発している。
無呼吸では モニターの心拍数も80から50台へ がくんと落ちる。
ただ、STの下降が少し見られるだけで 悪い波形ではない。
尿量は600ml/日 爆弾を抱えるような綱渡りの日々。
あとは 体力と気力が 死神との勝負を決める。

家族へ連絡を入れる。


次の日、続々と富さんの子孫たちがベッドサイドへ集まり始めた。
広い個室が狭く感じる。
富さんには 曾々孫までいたのだ。
子孫たちの呼び掛けに 富さんが帰ってきた。
3歳にも満たない曾々孫の呼び掛けに 「おばあちゃんって呼んで」と言った。

その日から富さんは 生き始めている。
残り少ない命の燃料を 惜しむことなく使って
うつろに歌を歌い、手だけで踊り、分からないことをしゃべり・・・。
尿量は400ml/日をきりつつあり、水分摂取は200mlに満たない。
本当に秒読み。

富さんが言う。
「いつ家に帰れるんだ?」って。
「足が痛くなくなって、ご飯が食べられるようになったら、私が車で送るね」
そう答えつつ 多分無理だと心の中で思う。
富さんの問いが ずっしりと背中に被さって来る。

きっと富さんは、最後の日まで精一杯走って
あるとき突然逝ってしまうでしょう。
ゼンマイの切れたおもちゃのロボットのように パタンと倒れるでしょう。
命の尽きる時 一人では逝かせない、
そう強く思いました。