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『サバイバル』(文庫)第1巻/さいとう・たかを

2010-07-08 | 少年漫画
 
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『ゴルゴ13』は私の中で常に静かなブームなのですが、他の作品にも手を出し始め、「さいとう・たかをマイブーム」が到来する予感がします。

『金魚屋古書店』の影響ですが、本屋のコミック文庫のコーナーに『サバイバル』全10巻が並んでいて、第1巻を買ってしまいました。

すげえ面白い!!
1976年作品。

地震が起き、洞窟の中で崩れてきた岩に当たり気絶していた中学生の少年。仲間とはぐれた彼が這い上がり、ようやく外に出ると、北を指すべき磁石の針は止まらない。そして山の頂に上がると、四方が海に囲まれていた。彼は、夏休みを利用して同級生5人と空蝉(うつせみ)洞穴の探検に来ていたのだ。

疲労と急性栄養失調から貧血を起こす少年。飢えから木の実を食べ、ひどい下痢になる。素人では川で魚を捕ることも至難の業である。そして魚を捕ることが出来ても、火をおこすことは出来ない。学校の歴史の授業で学んだ知識は、驚くほど役に立たない。

尿意をもよおし、つい文明人の習慣で物陰で小便をするが、ここは無人島で誰も見ていないのだと、大笑いしながら放尿し、今、自分は独りなのだと、涙がこぼれる。

鳥を捕ろうと見よう見まねで罠を仕掛けるが、やはり捕れない。家族がいて、食卓で好き嫌いを言っては父に咎められていた少年は、偶然捕まえられた鳥を焼き、嫌いだった鳥肉をむさぼる。

3週間経っても救助は来ず、食糧を求めて海へ潜った少年は、海底に森を見る。ここは無人島ではなく、沈没した日本だったのだ。不安は確信に変わり、少年は取り乱す。そして14歳の誕生日を、独りで蛇を食べながら迎える。

一日一食も満足に食べられない日々の中、寒さと食糧難の季節の足どりである、秋が訪れる。
冬に備えて食糧を蓄えようと、森の奥へわけいる。けばけばしい色合いの物は毒キノコで、縦に裂ける物は食べられるという「俗説」を信じ、毒に当たった少年は苦しみから何日も気を失う。

虚脱状態で意識を取り戻した少年は、自分が生き延びたように他にも生存者がいるかもしれないという「希望」を胸に、反対側の海岸へ向かう。しかし住み家を留守にしていた間、備蓄しておいた食糧はネズミに食い荒らされていた。縄張りを荒らされて怒った熊と、人間を襲う獰猛なネズミとの戦いが始まる。
動物は火を怖れるという「常識」も手負いの熊には通用せず、零下4~5度の寒さでは活動できないはずのネズミも容赦なく食糧を食い荒らし少年を襲う。そしてネズミに噛まれた傷口から梅毒と同じ病原体が侵入し、鼠咬症(そこうしょう)スピロヘータに犯される。

「正」の文字を壁面に刻んだカレンダーから、少年は翌日が元旦だと気付く。
「初日」を見て、こみあげる感動。そして海岸線の向こうにある陸地の存在を知る。

排便に伴う快感だけが楽しみの、娯楽のない無人島生活。文明とはなんと有り難い物なのか。
狩って食べるだけで精一杯の日々の中、初めて島の上空を飛行機が通りがかる。岩を並べて作った「SOS」の文字を雪から掘り返し、手を振って救助を求める少年。飛行機は通り過ぎてしまうが、文明は残っていたのだと少年は大きな希望を持つ。唯一の不安は、あの飛行機に日の丸がついていなかったこと。



お薦め度:★★★★☆
生きることへのなんという執着!
さいとう・プロのサイトに今後のあらすじが紹介されていました。Another Story共々これから揃えます。



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