〈川俳会〉ブログ

俳句を愛する人、この指とまれ。
四季の変遷を俳句で楽しんでいます。「吟行」もしていますよ。

拾い読み備忘録(125)

2016年06月12日 20時13分41秒 | 評論
私の書いてみたいのは、病者の王国に移住するとはどういうことかという体験談ではなく、人間がそれに耐えようとして織りなす空想についてである。実際の地誌ではなくて、そこに住む人々の性格類型についてである。肉体の病気そのものではなくて、言葉のあやとか隠喩(メタファ)として使われた病気の方が話の中心である。私の言いたいのは、病気とは隠喩などではなく、従って病気に対処するには――最も健康に病気になるには――隠喩がらみの病気観を一掃すること、なるたけそれに抵抗することが最も正しい方法であるということだが、それにしても、病者の王国の住民となりながら、そこの風景と化しているけばけばしい隠喩に毒されずにすますのは殆ど不可能に近い。そうした隠喩の正体を明らかにし、それから解放されるために、私は以下の探求を捧げたいと考えている。
「隠喩としての病」スーザン・ソンタグ 富山太佳夫訳 みすず書房 1982年
                                 富翁
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

拾い読み備忘録(124)

2016年06月11日 18時55分08秒 | 研究書
変化に支配されている世界においては、死を前にしての伝統的な態度は惰性と継続の塊りのようにみえます。死をなじみ深く、身近で、和やかで、大して重要でないものとする昔の態度は、死がひどく恐ろしいもので、その名をあえて口にすることもさしひかえるようになっているわれわれの態度とは、あまりにも反対です。それゆえに、私はここで、このなじみ深い死を飼いならされた死と呼ぶことにしたいのです。死がそれ以前に野生のものであった、そしてそうでなくなった、というようなことをいいたいのではありません。逆に、死は今日野生のものとなってしまっている、といいたいのです。
「死と歴史」フィリップ・アリエス 伊藤晃・成瀬駒男訳 みすず書房 1983年
                                  富翁
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やや汗をかきつつ

2016年06月10日 17時31分20秒 | 俳句
がんばって1万歩でした!!

年寄りの 冷や水ならぬ 「熱」き汗
腰が痛い そういうときこそ 歩きです
安楽
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

拾い読み備忘録(123)

2016年06月10日 16時36分37秒 | 専門書
一つの文化の下位文化としての治療文化とは、何を病気とし、誰を病人とし、誰を治療者とし、何を以て治療とし治癒とし、治療者―患者関係とはどういうものであるか。患者にたいして周囲の一般人はどういう態度をとれば是とされ、どういう態度をとれば非とされるか。その社会の中で患者はどういう位置をあたえられるか。患者あるいは病いの文化的ひいては宇宙論的意味はどのようにあたえられるか。あるいは治療はどこで行われるべきで、それを治療施設というならば、治療施設はどうあるべきで、どうあるべきでないか、などの束(たば)である。いいかえれば、この種の無数のことがないまぜになって、一つの「治療文化」となる。
逆に、ある個人が、どういう時に自分を病者、患者とし、なにを治療として受けいれるか、なにをもってなおったとするか、どこまで耐えしのべるか、時にはどこで満足するか。以上は先の定義の裏返しの等価表現である。
「治療文化論」中井久夫 同時代ライブラリー30 岩波書店 1990年
                            富翁
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

拾い読み備忘録(122)

2016年06月09日 17時35分09秒 | 俳句
梅雨の海静かに岩をぬらしけり    前田普羅
……・
批評 自然の実相がしかとつかまれているので、句の表面はしずかであるが、内には大きな力をもっている。幾度くりかえして読んでも飽かぬばかりか、次第につよく惹きつけられてゆくのはそのためである。
(夏――昭和時代)
「近代の秀句 新修三代俳句鑑賞」水原秋櫻子 朝日選書 1986年
                   富翁
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

梅雨入り

2016年06月08日 15時46分02秒 | 川柳
水瓶に恵みの雨の期待薄

空梅雨になりそな空と都の議会

つねお


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

拾い読み備忘録(121)

2016年06月07日 23時03分58秒 | 俳句
蓮咲くや桶屋の露地の行きどまり     久保田万太郎
・ ・・・・
批評 哀しくも美しい東京風景で、本当にむかしの東京を知っていないと、この句の佳さは半分も理解されないであろう。それほど特殊なものであるが、特殊であるがゆえになお残しておく必要があると思う。「桶屋の露地の行きどまり」など、実に普通の言葉どおりの表現でありながら、かえってうつくしく感じられることも付記しておかなければならない。
(夏――昭和時代)
「近代の秀句 新修三代俳句鑑賞」水原秋櫻子 朝日選書 1986年
富翁
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

拾い読み備忘録(120)

2016年06月06日 17時41分13秒 | 俳句
滝の上に水現はれて落ちにけり   後藤夜半
 批評 俳句に詠めそうもない感覚を取扱っているが、純粋に写生的に詠んでいる上に、非常に落着いた表現をして立派な作になっている。
(夏――昭和時代)
「近代の秀句 新修三代俳句鑑賞」水原秋櫻子 朝日選書 1986年
                    富翁
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

拾い読み備忘録(119)

2016年06月05日 18時11分27秒 | 俳句
千代女(ちよじょ)
千代女は、加州松任の人、少小より支考の門に遊ぶ。考死してなほその師を得ず。ある時美濃の蘆元坊行脚して来れるをりから、その旅宿について相見し弟子となる。…・
はじめて夫に見えたる時、
  渋かろかしらねど柿の初契り
わが子を失ひける時、
  蜻蛉釣(とんぼつり)今日はどこまで行つたやら
その情態もまた思ふべし。……・
「俳家奇人談 続俳家奇人談」竹内玄玄一著 雲英末雄校注 岩波文庫 1987年
                                  富翁
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

拾い読み備忘録(118)

2016年06月04日 18時15分46秒 | エッセイ
六番勝負・神保町交差点付近
……・
ワゴンコーナーには二冊でよりどり五百円とある。私は江國滋「慶弔俳句日録」(新潮社)と「新潮45」編集部編『死ぬための生き方』(新潮社)を選んだ。江國さんは追悼句がうまい。相撲解説者神風正一へは「まっすぐに滝、滝壺に落ちにけり」。イブ・モンタンへは「おほいなる枯葉は土にかへりけり」。ディック・ミネへは「並木道ゆっくり暮れて梅雨に入る」。慶のほうでは、林真理子さんの結婚を祝って「思い出し笑ひし給ふ古代雛」。森繁久彌が文化勲章を受章したときは「うるむ目に秋天どこまでも高し」。この本は慶弔のハガキを出すとき、参考になる。
……・
「古本買い十八番勝負」嵐山光三郎 集英社新書 2005年
                        富翁
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雨のあとは北風

2016年06月03日 12時38分42秒 | 紀行文
3連続の雨中のプレーの次は強風。
定年後のゴルフは老人会と会社の同期会、大学の友人とのと
絞っているのにこの悪天候に恵まれ?る体たらく。
一昨日は栃木県のロぺクラブにバブリー時代に作られた
個室のハウスで前夜泊。居酒屋風のクラブハウスにて大学時代の昔話に
花さかせた。女性のためのコンペがあって、周りは
はやりのボーダー柄のウエアの若い女性ばかり。
時代の違いを感じた。
先輩
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

はや今年も半分過ぎなんとしています(嗚呼)

2016年06月03日 10時59分15秒 | 俳句
定年後早くももう5年目となりました。
こっちの水は甘かったか???
放たれた 矢のような時間 どこへ消ゆ
明日来る そしてまた明日 一つの線
青空を 眺めるわたし 雲多数
安楽
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

六月なんですねェ

2016年06月02日 08時34分37秒 | 俳句
爽やかな朝です。この季節が一番気分良しの季節です。

じめっと、し 梅雨前線よ まだ来るな!
街中に 紫陽花こぼれる 青の水
今年早や 半分過ぎぬる 速度感
時は行く 馬の歳積む うなづいて
安楽
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

拾い読み備忘録(117)

2016年06月01日 19時55分11秒 | 俳句
俳宗祇徳
祇徳は江戸の人、祇空にまなびて自在庵と号す。つねに俳諧に癖して、日発句をなしたりといふ。
    死にそうな人ひとりなし花の山
    衣更(ころもがえ)その日の空にまかすべし
ある時鼎(俗にいふ手取鍋なり)かぶりて医療をこふかたに賛をこのまれて
    五月雨のふりし徒然(つれづれ)ばなしかな
一年心に思ふことありて、
    たる事を知るや胡蝶の花の露
「俳家奇人談 続俳家奇人談」竹内玄玄一著 雲英末雄校注 岩波文庫 1987年
                                  富翁
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする