変化に支配されている世界においては、死を前にしての伝統的な態度は惰性と継続の塊りのようにみえます。死をなじみ深く、身近で、和やかで、大して重要でないものとする昔の態度は、死がひどく恐ろしいもので、その名をあえて口にすることもさしひかえるようになっているわれわれの態度とは、あまりにも反対です。それゆえに、私はここで、このなじみ深い死を飼いならされた死と呼ぶことにしたいのです。死がそれ以前に野生のものであった、そしてそうでなくなった、というようなことをいいたいのではありません。逆に、死は今日野生のものとなってしまっている、といいたいのです。
「死と歴史」フィリップ・アリエス 伊藤晃・成瀬駒男訳 みすず書房 1983年
富翁
「死と歴史」フィリップ・アリエス 伊藤晃・成瀬駒男訳 みすず書房 1983年
富翁
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