〈川俳会〉ブログ

俳句を愛する人、この指とまれ。
四季の変遷を俳句で楽しんでいます。「吟行」もしていますよ。

拾い読み備忘録(130)

2016年06月22日 18時31分53秒 | エッセイ
私の目標は、何よりもまず、実践的なものであった。癌になるという体験を歪めてしまう隠喩的な付属品がきわめて重大な結果をもたらすということ、そのために人々は、早期に治療を受けたり、十分な治療を受けるためにいっそう努力したりするのを尻込みするのだということを、私は何度も目にして、暗澹たる想いにとらわれていたからである。隠喩と神話は人を殺す、私はそう確信した。(たとえば、それらは、化学療法のような効果的な手段を闇雲に怖いものに見せ、ダイエットや心理療法のごとき何の役にも立たない治療法を信心させたりする。)私は病気にかかっている他の人々に、まわりで心配している人々に、そうした隠喩や禁忌を解体する道具を提供したかった。
「エイズとその隠喩」スーザン・ソンタグ 富山太佳夫訳 みすず書房 1990年
                                  富翁
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