植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

コジキイチゴが実りはじめた

2007-07-31 22:49:55 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
コジキイチゴは,つぎつぎに実り,甘くて生食すると美味。
本州(おもに東海道,近畿地方),四国,九州。南朝鮮-中国,台湾に分布。
暖帯の平地,丘陵地,低山地にやや稀にはえる。
ほとんどのキイチゴは,地下で枝分かれして,上昇し,地上に出て,殖えるが,コジキイチゴは,おもに種子で繁殖しているようだ。自然を守るために,掘り取りはしないように。

ノカンゾウの花

2007-07-30 16:34:49 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
ヤブカンゾウの花は夏の盛りに咲く。半八重咲きで,あつくるしい花だ。

よく似た色だけれど,ノカンゾウは,すっきりした一重咲きで,好ましい。
でも今は,草の数が少なく,ほとんど目につくことがなくなった。

いずれ,この仲間(ワスレグサ属)を,いろいろ話題にする予定。
今は,ノカンゾウの画像を取上げるにとどめておく。

ザリコミの結実

2007-07-28 21:35:00 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
ユキノシタ科・スグリ属の果実は液果で,外来種だけれど,北海道,長野県などでは,集落の近くなどで,野生状に育っていることがあり,しばしば日本の種類と混同されるマルスグリ(セイヨウスグリ)などが,生食向きのものとして,山菜・木の実のテキストに登場する。

確かにマルスグリは,食べものとして,利用価値がある。
すでに話題にした「エゾスグリ」は,木の数が少ないし,コマガタケスグリは実りがよくない。
トカチスグリは稀少種。ヤシャビシャク,トガスグリなどは,味はいいが,実っているものに出逢ったらラッキー,たくさん採れるものではない。

比較的,実っているものに出逢う頻度の高いのものに,ヤブサンザシ,ザリコミの2種があり,この両種の液果は,完熟すると,多少の甘みを感じるようになる。
ただ,わずかに渋く苦く,ハーブ臭があり,薬草的なあじがする。
生食というよりは,リキュールづくりの材料向きだ,と考えている。

両種は,形質,性状が,かなり似ている。熟期はザリコミが早く,夏のはじめに実り,ヤブサンザシは晩秋に熟する。

刺がなく,丈が低く,赤い実が鮮やかに実るミヤマモミジイチゴ

2007-07-27 20:37:11 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
キイチゴのイメージを問われると,「甘い実」「とげ」「白い花」
などが浮かび上がる。
でも,世の中は広い。ミヤマモミジイチゴは,刺がほとんど
なく,藪をつくって茂ることもない。
茎も葉も,繊細で優雅,とてもキイチゴの仲間とは見えない
この種類は,ブナ帯の落葉樹林の縁などに稀にはえている。

本州(秩父山地以西,紀伊半島),四国に分布し,山地の
落葉樹林の縁などに,稀にはえ,日当たりの荒れた礫地などでは,高さ30cmまでで,開花し,結実して,すばらしい風情を見せてくれる。

四国の脊梁山地,剣山,石鎚山-手箱山あたりでは.かなり
容易に出逢うことができるけれど,「がんがん日が照りつける岩礫地」にはえたものでない限り,ほとんど葉が旺盛に茂っているだけで,実ることはない。

「信州自然探求術・花と山の幸」p.205,p.218 でも話題にしたことがある。

分布地が限られていたり,個体数の少ない種(4) カツラギグミ

2007-07-26 18:22:19 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
河内葛城山で,1927年に発見されたもの。タウエグミともいう。
和歌山県立自然博物館・山元晃学芸課長に,だいたいの場所を教わって,大阪府
金剛山山麓で,カツラギグミを見たのは,1993年7月24日のことであった。
高さ約2.5m。2本の細い幹が,ひょろっと立ち,何本かの枝は,きわめて細く,
弱弱しい。
葉の両面に星状毛があり,鱗片はなく,葉の上面はやや黄緑色に見える。
間違いなく,カツラギグミだ。
根ぎわは,カミキリムシらしいものの害で,木は,かなり危うい状態。刈り払い機で根もとから伐採されるおそれもある,と想った。
これがカツラギグミとのはじめての出会いだった。

大阪府,和歌山県,奈良県(府県境付近の金剛山,河内葛城山の山麓と山頂,和泉
葛城山,和泉山脈の南側など,ごく限られた地域)にはえている,と古い資料(大阪府植物誌,紀州植物誌)に記されているが今,この地域で,自生のカツラギグミ
に逢うことは極めて困難かと思慮される。

レッドデータブックにさえ(情報不足などで)掲載されることの少ない「超稀少種」だ。
果実は広楕円形,長さ10mm,あるいは,もう少し長く,幅6.5-7mm。果梗は
長さ長さ3.5-4cm,6月に紅熟。甘くて渋みはない。
もし,それらしいグミを見られた方は,ぜひ,ご一報ください。

ガイドブック「旅の手帖」と,愛知県瀬戸市・せと・まるっとミュージアムのこと

2007-07-26 14:26:56 | 雑談
いちばん好きな guide-book は,「旅の手帖」。(株)交通新聞社編集部発行・
定価580円の雑誌だ。
毎月1回,10日に発売される。なじみの書店に立ち寄ったとき,目についたら,
ぱらぱらとページをめくり,自分の興味を惹く項目が見つかったら購入する。

定期購読を申し込めば,11ケ月分の料金で,12ケ月分,自宅まで
直送してくれる。毎号魅力的だけれど今は,ゆっくり読む時間がなく,
たいていは「積ん読」になり勝ち。
家の中は蔵書だらけで,局用あるいは,業務用の編集機器,膨大な
ポジ・フィルムと.衣服関係の各種コレクションなどもあり,すでに飽和状態。
せめて各種雑誌の蔵書だけでも整理しなければならない,というあり
さまだ。

「旅の手帖・7月号」の「名古屋エリア・おいしいプレゼント」を見て
いたら,画像のような”招福菓撰「招き猫づくし」”が載っていた。
「通販でも購入できる 1箱1050円」だそうだ。欲しくて欲しくて・・・
でも,「1箱送ってください」なんて,気兼ねで頼めないですよね。

クジ運が全くない男だけれど,これには応募したかった。
忘れていた数日前,これが届いて大感激。交通新聞社さん,あり
がとう。
白雪糕は,まだ味わっていませんが,お煎餅の風味はすてきでした。

健康な日々には,年1回ほど,渥美半島へ出かけ,食べられる植物の生態調査,撮影などをやってました。植物分布面では,知多半島はやや魅力が薄すだったために
素通りが多かったしだい。
同封されていた「瀬戸市役所のパンフレット」によると,愛知県陶磁
資料館,赤津焼会館,瀬戸蔵ミュージアム,招き猫ミュージアムなどがあり,いろいろの陶器,磁器をみることができ,直売もありとのこと。

9月29日には,イベント「来る福招き猫まつりin 瀬戸」が催され,
バラエティー豊かな招き猫を楽しむことができるそうだ。ぜひ出かけたいなあ。
もしかして,意外な植物,想わぬ景色との出会いがあるかも。



季節の話題(4)ハナイカダの実が黒く色づいた

2007-07-24 19:29:14 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
ハナイカダの液果は,まだ未熟だが,黒く色づきはじめた。
径7-11mm,8-9月に完熟すると,わずかに甘くなる。
「完熟した実を生食したり,ホワイトリカーに漬けて,果実酒を味わう」
と書いた本を読んだことがあるけれど,直感で言うと,実を食用にするのは,やめたほうがいい,と想う。

葉っぱの真ん中に1個の花が咲く。当然,果実も葉っぱの真ん中に
1個実るだけ。

2個実ったのは,今年はじめて見たので,別の画像に記録した。