植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

エゾエンゴサクと,ヤマエンゴサク(1)

2008-04-30 20:20:00 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
エゾエンゴサクには,葉が細い型(ササバエンゴサク)もあり,花色は,濃青色が多いが,紫を帯びた淡紅色のものもあり,稀に白色のものもあり,北海道,本州(北部),南千島,サハリン,オホーツク沿岸に分布する。

ヤマエンゴサクは,本州,四国,九州,朝鮮-中国に分布。花色は,おもに帯紫淡紅色。

両種は葉の形で,ほぼ見分けがつくが,本州北部では,草姿の外観だけでは,区別しにくい場合もある。そのようなときは,果実(さく果)の形を調べると,正確な区別ができる。
エゾエンゴサクのさく果は,写真のような線形か,長楕円状線形。
ヤマエンゴサクのさく果は披針形か,狭卵形。

でも,さく果は結実後,間もなく裂開して,種子を散らしてしまうので,見分けるための観察は,気ぜわしいものとなる。

カタクリの咲く頃に(10)

2008-04-25 20:16:42 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
コゴミ(クサソテツ)は,春のシダとしては,姿が分かりやすく,アク抜き不要。
近頃では,この若芽を摘む人が多いので,年々,株が痩せ細って,写真のように,大きくのひのび育つた株は,少なくなつてしまつた。

花を味わえるシュンランもこの頃に咲き,ユキザサは,やや遅れて,若芽を伸ばしはじめ,もう,花の蕾も見えている。

今は稀少種になったシコクカッコソウは,花が美しく,花料理の材料としても優れた存在だ。

カタクリの咲く頃に(9)

2008-04-24 13:53:22 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
間もなく,ツガルフジも写真のように,芽吹き始める。
ツガルフジは,複葉の小葉が4-6(-8)個。エビラフジ(小葉が8-12個)に草姿が似ている。
北海道の松前半島,本州(青森県津軽地方から-宮城県・新潟県)の林下,林縁の草地などにはえ,中国にも分布。

本州(山形県から京都府の日本海型気候のところどころ)にはえるエビラフジよりも草の数は少ないが,湿りの多い肥沃な地にはえたものは,勢いよく,たくましく芽吹く。

自生地では(花が早く6-8月に咲くエビラフジよりも,遅い時期)7-8月に咲き,紅紫色か帯紅青紫色のエビラフジの花にくらべて,花は青紫色がつよい。

ナンテンハギのように,フライ料理,ボイル料理にできるほか,若芽か,茎先の軟らかい部分を摘み,生(なま)のまま,ミックス・サラダに混ぜ入れて,食べたりできる。

原種系チューリップ・クルシアーナが咲き始めた

2008-04-23 15:41:07 | 自然・季節
Tulipa Clusiana は,チャーミングな種類。
写真のように,外弁が可憐なクリムソン色,Lsdy Tulip とよばれて,広く知られている。
開花期は,やや遅く,プルケルラ種が萎んだ後に,花が色づいて,開き始める。

この花が咲き始める頃,低山帯のオオカニコウモリ,イヌドウナなどの若芽も伸び始めて,野山の季節は山菜の芽生えに色めく。