植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

木の数が少なくなったアリマグミ

2007-07-19 18:59:43 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
日本の落葉性のグミは,秋に実るアキグミ1種と,6-8月に
実る夏のグミ類に大別される。
夏のグミ類は,葉の下面,葉柄,小枝,花梗,子房,花の外面に,星状毛のある4種(ナツアサドリ,アリマグミ,ハコネグミ,カツラキグミ)と,その部分に
星状毛のない7種(ナツグミ,ニッコウナツグミ,マメグミ,ヤクシマグミ,クマヤマグミ,コウヤグミ,タンゴグミ)に分けることができる。

アリマグミは,兵庫県東部,大阪府の山地,和歌山県北部
など,近畿の中部と,愛知県-静岡県の西部などに分布。
分布のおおまかな西限は,兵庫県三田と,淡路島。
東の三河-遠江地方では,集落近在のアリマグミが多数
伐採されて,ほとんど見られなくなった。

実りが少ないのに,刺が多く,農林作業の邪魔になって嫌われたためかと想像できる。

果実は小さく,倒卵形,長さ7-8mm, 基部は嘴状に細くなり,果梗は長さ2.5-3cm。6-7月に紅熟し,甘くて渋みはない。