植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

「食べられる野生植物大事典・新装版」の増補完全資料が近日に完成

2008-11-30 15:20:10 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
お手持ちの新装版と,増補完全資料で,大事典(草本・木本・シダ篇)が,飛躍的にグレードアップ,ほぼ完璧な資料として座右に重宝していただけます。

第一次頒布は,申し込み先着順30部。

詳細は明日(12月1日)のブログで・・・




以下は見本です。

「食べられる野生植物大事典新装版」の 増補完全資料

                       2008年12月10日


イラクサ科 URTICACEAE
●コアカソ Boehmeria spicata(Thunb.)Thunb.(カラムシ属)
基部が木質となり,よく分枝する落葉半灌木。高さ50─100(─200)cm。葉は対生,菱状卵形,先は尾状,縁に深い鋸歯がある。本州,四国,九州の山野(おもに太平洋側)に多く,中国に分布。
◎若芽をゆでて,ゴマ・ドレッシング,バター炒めなどを味わう。

●ヤナギイチゴ Debregeasia edulis(Sieb. et Zucc.)Weddell(ヤナギイチゴ属)fig.456
本州(関東南部〜近畿南部),四国,九州,琉球,台湾,中国に分布。
暖帯の南部から亜熱帯の北部にかけて,海岸地方の湿っぽい常緑樹林の林縁,渓流ぞい,ときに,ゆるく傾斜した荒地にはえ,どこにでもある種ではないが,ところどころで,2─3m の高さに茂っている落葉灌木。葉は披針形─線状長楕円形,縁に細鋸歯があり,長さ7─15cm,風が吹くたびに葉が翻って,白綿毛の密生した葉の裏がちらちら見える。
花は4─5月,雌雄異株。雌花の花被片は,壺形に合着して子房を囲む。子房は成熟して,痩果になり,花被は多汁質の果皮となり,合着して痩果を包む。これが多数集まった複合果は,径5─7mm,6月頃に橙黄色に熟れる。

果実は,コウゾの実のように,ねっとり甘く,薬草的な風味もある。全体が軟らかく,野菜サラダに散らし入れて,彩ったり,冷や汁に浮かべたり,ゼリー固めをつくる。☆☆☆

夏の思い出

2008-11-29 18:05:14 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
写真はナツグミ。ナツグミは酸っぱいもの,渋いものが多いけれど,我が林で育てているナツグミは,完熟させると,甘くて渋みがすくない。大昔に箱根山系で枝を採取,挿し木繁殖したものだ。

自然の野山で観察・調査し,身辺で育てておいて,さらに詳しく調べる。やがて新しい疑問が湧いてくる。また,その産地の山に出かけて調べる,という流儀を20年以上続けている。

今日はうれしいことがあった。
埼玉県川口市安行で,種苗業を営む方,「草木屋・横山隆さん」からアオハダの苗が到着した。じつに素晴らしい苗で,しげしげ見つめて満足々々。
アオハダの若い葉の「料理と味」について,来年,さらに勉強できる。
横山さんに感謝。

〔モチノキ科・モチノキ属〕
アオハダ Ilex macropoda Miq.:北海道(西南部など),本州,四国,九州の
低山地にはえ,朝鮮~中国に分布する落葉高木。帯灰白色の薄い樹皮を透かして,
内皮の緑色が見えるので,青膚(アオハダ)という。葉は短枝に束生, 広卵形~
楕円形,長さ4~7cm。
◎若葉を重曹を入れてゆで, 水にさらし, ゴマあえなどを味わう。

常緑葉のイカリソウ類も,冬は精気を失っている

2008-11-28 17:06:59 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
イカリソウの見られない北陸~山陰地方では,トキワイカリソウが, 雪に保護されて寒さをしのぎ, 多くは常緑葉で冬を越す。
トキワイカリソウは, 雪と友だち。

《トキワイカリソウの性状》 多くは常緑となる多年草。 高さ 20~60m。葉は2回3出,9個の小葉は, イカリソウよりやや大きくて, 卵形~広卵形, ときに長楕円形,長さ 6~10cm,幅 3~5cm,尾状鋭尖頭, 基部はゆがんだ心形, 質はやや硬く, 上面は緑色, 下面は淡粉白色, 両面無毛。
花は4~5月,花弁の距は長さ 20mm 内外。新潟県・弥彦山系から,能登半島
までは,ほとんどが白花。福井県から西には,紅紫花(ウラジロイカリソウ)が
あり,若狭湾付近の山地などで出会うことがある。

ツルソバのこと

2008-11-27 14:47:11 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
写真は,鉢植えの矮性ツルソバの一枝。

□ツルソバ Polygonum chinense L.
暖地にはえる多年草。茎はよく分枝してのび,しばしば,つる状に長くのびる。葉は広卵形~卵状楕円形,長さ 4~10cm,基部は截形か 円形,心形。
花は5~11月,茎先の円錐花序に,10~20花ずつ球状に集まって咲き, 花被は白色か淡紅色, 長さ 3~4mm。
痩果は3稜のある卵円形,黒色で,多汁質の残存萼に包まれる。

本州(伊豆七島,紀伊半島など),四国南部,九州南部では,暖かい海岸地方にはえ, 琉球では亜熱帯低山地にもはえ,朝鮮南部~中国,インドなどに分布。
 
◎汚れていない葉を摘みとり,さっと塩ゆでし,しばらく冷水にさらし,水けをきる。葉の緑色は,色が褪せて見かけはよくないが,花がつおと,ゴマあえなどにする。削りがつおと梅肉あえなども珍味。

寒さに向かって甘みを増し,完熟するシャシャンボ

2008-11-24 18:46:28 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
シャシャンボ Vaccinium bracteatum Thunb.
高さ2~5mの常緑大形潅木~小高木。 本州(関東地方南部,中部地方南部,石川県,近畿地方以西),四国, 九州, 琉球のアカマツ林や,常緑林の林縁にはえ,台湾,中国南部~インドシナ~マレーシアに分布。
葉は互生,広楕円形~卵状楕円形,鋭尖頭,長さ3~7cm,縁に,はっきりしない細鋸歯があり,革質,光沢がある。
花は5~7月,枝の上部の葉腋から, 長さ3~8cmの総状花序がのび,多数を下向きにつけ,花冠は壷状鐘形,長さ5~7mm,先は5裂し,白色。 液果は球形, 径約6mm,11~12月に熟し, 黒紫色で,しばしば粉白をおびる。
◎甘酸っぱくて, 食べたり, ジャムにできる。 かなり未熟なマルーン・ブラック色の果実でも,生食できる。
1993年.10月.24日. 鹿児島県・加世田市・吹上浜。 まだ緑色の実にまじって,わずかに色づいた実があり, 食べてみると, けっこう甘みがでていた。

これから甘くなって完熟するシャシャンボ

2008-11-24 18:35:12 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
シャシャンボ Vaccinium bracteatum Thunb.
高さ2~5mの常緑大形潅木~小高木。 本州(関東地方南部,中部地方南部,石川県,近畿地方以西),四国, 九州, 琉球のアカマツ林や,常緑林の林縁にはえ,台湾,中国南部~インドシナ~マレーシアに分布。
葉は互生,広楕円形~卵状楕円形,鋭尖頭,長さ3~7cm,縁に,はっきりしない細鋸歯があり,革質,光沢がある。
花は5~7月,枝の上部の葉腋から, 長さ3~8cmの総状花序がのび,多数を下向きにつけ,花冠は壷状鐘形,長さ5~7mm,先は5裂し,白色。 液果は球形, 径約6mm,11~12月に熟し, 黒紫色で,しばしば粉白をおびる。
◎甘酸っぱくて, 食べたり, ジャムにできる。 かなり未熟なマルーン・ブラック色の果実でも,生食できる。
1993年.10月.24日. 鹿児島県・加世田市・吹上浜。 まだ緑色の実にまじって,わずかに色づいた実があり, 食べてみると, けっこう甘みがでていた。