植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

タカクマムラサキ(花)

2007-07-20 21:13:19 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
写真は,タカクマムラサキ(別名ナガバムラサキ)の1型とおもわれるもの。
10倍ルーペで,葉の下面を見ると,小さい小さい黄色の腺点が密生している。
1991年11月22日,垂水市の猿ケ城渓谷から-白山林道-スマン峠-大箆柄岳のほうへ向かう。
登山道の入り口に駐車。日暮れも迫っている山径(やまみち)で,たった1株ではあったが,正真正銘のタカクマムラサキとの出逢いがあった。
紫系色の核果は,径約2mm,明らかな腺があった。日没が近いし,車には妻も待っている。
また,来年撮影に来よう。そう想って,せかせかと車に戻った。
翌年の長雨,大雨でねこのあたり一帯は,家が流されるほどの大水害。もちろん林道もずたずた。毎年のように、この地方は大雨で被害つづき,10数年を経て,「大迂回すれば,現地に近づける」と,市役所の方に教わって,見覚えのある地点
にたどりついた。
でも,その木は,陰も形もない。盗掘されたのかなあ? と諦めるしかなかった。

もし,健康を取り戻せたら,いつの日か,長滞在してでも高隈山山域で,腺のある
実をつけた木を探したい。今もそう願っています。

稀少種に出逢うためには,よほどの執念をもって,辛抱づよく,気長に探し続ける必要がある,いつも,そう実感しています。