植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

コウトウシュウカイドウ

2009-01-29 19:46:45 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
石垣島から,コウトウシュウカイドウが到着し,とりあえず,黒塗り脚付の素焼き鉢に植えた。

Begonia fenicis Merr. コウトウシュウカイドウ :琉球(石垣島,西表島)に自生し,花サラダにできる。
台湾の蘭嶼(旧紅頭嶼), フィリピンにも分布。
花は白色, 萼片は長さ約 15mm,花弁の長さ約 10mm。

与那国島では, パァパなどとよび, 葉柄を煮て食べたりする,

春の雪

2009-01-27 19:12:03 | 雑談
アメリカ合衆国の新大統領は,世界中から手腕と行動力を期待されている。でも彼難点は雄弁すぎる,ことかと想う。
「巧言令色」の人かも知れない。そうなっていく確立はかなり高い。

また,「権力は必ず腐敗する」という歴史観もあり,そのパターンにはまって,ご自分自身が気づかないほど心が卑しくなった
総理大臣もあり「恥を知る」ことが,リーダーには重要にして,必須の条件だ。

雪は,見苦しい枯れ草などを覆いつくして,白銀一色の世界を見せてくれる。雪が解けたあとに現れる「シェード・ガーデン」の
魅力。企業家にも政治家にも見せてあげたいなあ,などと随想する。


シークヮーシャーは,今もっとも美味

2009-01-25 11:53:55 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
〔ミカン科・ミカン属〕
シークヮーシャー (ヒラミレモン) Citrus.depressa Hayata:
沖縄島には,甘酸っぱく,味のいいミカン類がたくさんあり,名護市,本部町,
今帰仁(なきじん)村,大宜味村あたりが,ミカン類の主産地になっている。
全島に自生しているシークヮーシャーは,酸っぱいミカン。

果実はタチバナよりも大きく,味もすこし上。酸味がつよくて, 香りが高く,レモンのように, 搾り汁を香りつけにしたり, ジュースの原料にもすばらしい。
嘉津宇岳の山麓・勝山一帯などで栽培が盛ん。栽培するために,山の苗を掘りとつてきたので,山には,昔からのシークヮーシャーが少なくなってしまった。

いろいろの選抜型や, 栽培品種があり, ふつうは花が3~4月に咲き,果実は秋に熟れるが,類似する四季柑(しきかん)というものは,花と実をいっしょに見ることもでき, これは中国南部原産のシキキツ C.madurensis Lour. の記載より果実が大きいようで, シキキツとの交雑種だろうか,などと興味深くおもう。
 
四季柑を見せてくれた今帰仁村・嘉陽洋子さんの話によると,オオギミクガニというものは,1~2月に実が赤くなるという。

《性状》 高さ3~6mの常緑低木または小高木。若枝は緑色,2~3稜があって,やや偏平, しばしば長さ 1~1.5cmの太い刺がある。葉柄は長さ 0.5~1cm,翼がないか, ときにごく狭い翼がある。 葉は卵状楕円形~卵状広楕円形, 長さ約 6~7cm,幅 3~4cm, 全縁またはごく浅い鈍歯牙があり,先は円くてごく浅く2裂し,基部は鋭形または円形,上面に油点が散在し,両面無毛。
花は3~4月,新枝の葉腋に1~3花をつけるか,短い総状花序に数花をつけ,
花弁は5個,倒卵状楕円形,白色,長さ 1cm内外,油点がある。
果実はいちじるしく偏平な球形, 7~10室, 11月以降に熟し,橙黄色→橙紅色,
長さ 2.5~3cm,径 4~5cm。種子は卵円形,長さ約 1cm。

《味覚・利用》 やや未熟な果実や,青い果実でも,レモンのように味わったり,
食酢や,ジュースにでき,シークヮーシャー・ジュースの味がすばらしい。熟し
た果実は生食し,タチバナのようにリキュールをつくると, 風味がいい。

《分布》 奄美大島以南の琉球。 台湾。

バンダイキノリと,その仲間を見つける

2009-01-22 12:08:35 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
ホネキノリ属 Alectoria Ach.
バンダイキノリ Alectoria sulcata (Lev.)Nyl. fig.350, 353
深山で, 見上げるような高さの枝々に, 靄(もや)か,霞がかかったように,くっついている白っぽい地衣
がある。東北地方の月山(がっさん)あたりでは,キノリ(木海苔),キブノリなどとよび,雪の上や,地上
に落ちたものを,ひろって持ち帰り,山の珍味をたのしむ。
磐梯山に多くでるので,このキノリを,バンダイキノリという。

山地の樹上にはえる淡緑白色の地衣。高さ 5-8㎝,最大のものでは,大きさが拳(こぶし)くらい。
細かく分枝して,群がりつき,乾くと硬く革質,湿ると柔軟になる。子器は皿状,径 3-8㎜,胞子は子嚢中に8個ずつ。
日本各地のブナに好んで着生。
日本から台湾,東アジアにかけて,ナナカマド,カエデ類など,温帯林の落葉高木の樹幹,枝上に着生。

《食用事情》 手のとどく高さの樹上のものを摘む。 あるいは地上に落ちたものを, ひろい集める。 細かい枝の間のゴミを
洗い流し,根元の石づきをとり除いて, 2-3日,たっぷりの水にひたす。
軟らかになったころ,米の磨ぎ汁で,ゆっくりゆで,煮こぼし,冷水にさらして苦みをぬく。甘酢,酢みそ,汁の実,天ぷらなど
にして,しゃきしゃき味わう。

○近縁のヤマヒコノリ属に,ヤマヒコノリ,ツノマタゴケなど,バンダイキノリに似た軟弱な仲間があり,
いくつかの種類を,おなじように食べられる。