植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

海辺の草たちは生長が早い

2008-02-29 15:06:40 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
しばらくして,6-7月になると,ハマボウフウは茎先に,複散形花序を見せる。
この頃でも,若葉をリキュールに利用できるし,フライ料理にすることもできる。

ハマボウフウの周りには,ハマゴウ,その他の植物が雑然と茂っている。
コマツヨイグサの黄色い花,テリハノイバラの白い花などを,目当てにして浜を散策すると,この時期のハマボウフウに出逢うことが多い。

海辺は春が早い

2008-02-29 14:59:01 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
ハマボウフウは,北海道,本州,四国,九州,琉球,千島,サハリン,アムール-ウスリー-中国-朝鮮まで広く分布する多年草。
日本の多くの地方では,国道から離れた海辺,鄙(ひな)びた砂浜で,コウボウムギ,ハマニガナなどに混じって,はえている。

本州中部では,早春,3-4月,緑色の若葉が,砂の上に小さく首を出し,紅色を帯びた葉柄が見えだす頃,若芽の周りを掘り越し(自然を守るため,茎まで引き抜かないように,注意しながら)葉を1枚ずつ,ていねいに摘みとる。

御水取りまで,寒さがつづく

2008-02-21 14:46:03 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
奈良・東大寺二月堂の御水取りは,3月13日(もと陰暦2月13日)。
奈良-京都あたりでは,御水取りまでは,寒さがつづく,と言い伝えられている。

また,近江中部地域では,比良八荒(比良の八講荒れと言って,比良八講の前後に琵琶湖周辺で,吹き荒れる寒い風)が終わらないと,暖かさの兆しは見えない,と言われ,この頃まで,寒さを凌ぎつづける。

写真は「ネズミサシ」の枝先の葉を摘み集めているところ。これをホワイトリカーに漬け,数ヶ月待つと,ドライ・ジン風味の「すてきなリキュール」が誕生する。
試されたらいいですね。

春いち早く,ひっそりと花開くウスバサイシン

2008-02-19 11:57:54 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
ヤマエンゴサク,カタクリなどの花が咲く頃,枯れ葉の中に埋まりそうに,ひそかに花開くウスバサイシン。
若芽,若葉をゆでて,冷水にとり,お好みのドレツシングで,さっぱりした風味を愛でる。あるいは,さっと揚げた天ぷらを味わう。

でも,生長のごく遅い植物なので,若芽や若葉を,ねこそぎ摘みとったりしないで欲しい。

写真のような黄花の型も稀にあるけれど,出逢うことのできる確率は,小数点以下19桁分の1くらい。こんなのに逢えたら,うれしいですね。

ニリンソウは,花を見て,摘み取る

2008-02-17 15:18:33 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
ニリンソウに似たものに,毒草のトリカブト類がある。
トリカブト類は,花が青紫色。ニリンソウは,花が白色。
慣れると,葉の形だげで,両種を区別できるが,山菜採りの初心者は,花を確認してから採取するのが安全。

ニリンソウは日本では,北海道,本州,四国,九州の林地にふつうに見られ,北方および冷涼地では,しばしば,隣接してはえているし,入り混じってはえていることも多いので,今から目配り,気配りをしておきたい。

暖地では3月,寒冷地では5月に咲く「フッキソウ」

2008-02-16 16:09:57 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
山地の林下にはえる常緑の低小潅木。北海道,本州,四国,九州と,中国に分布。
富貴草の名で,庭園の下草にも栽植されている。
茎は高さ20-30cm,葉は厚く長さ3-6cm。花は3-5月,核果は液質,卵形,長さ約1.5cm,秋に熟し乳白色。ブドウのように甘くて食べられる。