植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

軒下の日だまりで育てている「ヒロハノアマナ」が芽吹いた

2009-02-28 21:17:15 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
2-3日前まで、全く見えなかった「ヒロハノアマナ」が、春の陽気を浴びて、
このように芽吹いてきた。
大地の営みは素晴らしい。

この小群生の隣りでは、キバナノアマナが芽をのばし始めている。
からだの調子が悪く、このブログも、途切れとぎれで、すみません。

2年前に始めたこのブログを、何とか、続けていきたいと想っています。
この春は、同じ被写体のようすを、日を追って、観察-撮影し、皆さまに見て
いただくつもりです。

アマナは、ヒロハノアマナより、1ヶ月ほど遅れて咲き始める

2009-02-21 18:04:01 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
写真がアマナです。

アマナ

〔ユリ科・アマナ属〕      分布域広・個体数やや少

《情景》 山辺の田畑をとりまく湿っぽい土手。 アマナは日あたりがよく, 湿った
土手を好んではえる。
アマナをはじめて見たのは, 鳥取県東部の佐治村の土手であった
が, はつきりし  た場所は,おもいだせない。

奈良県・吉野郡・野迫(のせ)川村で,群生のアマナを見たのは,
1989年.4月.13日. そこは, 春先に湿める土手であった。
アマナ(甘菜)は,河川敷などの湿った草地にはえることがある。
常磐自動車道・谷和原 IC. の近く, 小貝川河川敷の まばらな林や,
林縁には, シムラニンジン, エキサイゼリなど, 湿原の貴重な種が
あり, アマナが見られるところもあった(1994年.4月.6日.)。
アマナは, 今も残っているだろうか。

《性状》 日あたりの湿った草地にはえる多年草。鱗茎は広卵形,長さ 1.5~3cm,
外皮は黒みをおびた褐色。

 葉は2個が対生状につき,線形,しだいに先が細まり, 長さ 15~20cm,幅 4
~8mm, 灰白色をおびた緑色。

 花は4月,花茎は葉よりやや短く,ふつう,2個の苞があり,頂に1花がつき,
 日があたると平開し,花被片は6個,披針形,長さ20~25mm,白色,下面には,
褐紫色の脈があり, 脈の紫色が濃いものもある。 雄しべ6個は,花被片よりやや
短く, 霎果は円形,3稜があり,長さ約 1cm。

《料理・味覚》 径 12~18mmの小さい鱗茎と,2枚の葉にわずかな甘みがある。
自然を守って,ごく少量を,さっとゆで,白あえ,辛子みそ,マヨネーズなど
で味わう。生のまま刻んで, ポタージュ・スープに,ふりかけてもいい。

《分布》 本州(福島県以南,石川県以西),四国,九州,奄美大島。朝鮮~
 中国。

《学名》Tulipa edulis (Miq.)Baker;Amana edulis(Miq.)Honda

春先のニリンソウが美味

2009-02-20 20:43:43 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法

〔キンポウゲ科・イチリンソウ属〕 分布域広・個体数多

《情景》 雪が融けた沢ぞいの落葉林,湿った山地の林縁などに,春早く群がって
芽吹き, 4~5月ころ,白い5弁花をひらく。

カタクリも,アマナも,エゾエンゴサクも,早春に花ひらき, 間もなく枯れる,
春のつかの間の命 spring ephemeral 。

ニリンソウも, エフェメラル(はかない,短命)な草だが,葉が茂ってから,
花が咲き, エゾエンゴサクより結実がおそく, 夏になって地上部が消えうせる。

《性状》 軟らかい多年草。根茎はやや太く, 地中に横臥し,根葉は数個, 長柄が
あって, 3全裂し,側片はさらに2深裂または全裂。頂小葉は菱状倒卵形, 長さ
2~4cm,幅 1.5~3.5cm,中裂し粗鋸歯がある。陽光をあびた若葉は, しばしば
ゲンノショウコや, キンポウゲのように, 紫褐色の斑が入る。

花は総苞葉の中から,1~3個の花梗を,長さ 5~10cmにのばし,先端に白色,
ときに帯紅色の花をひらく。花弁状となった萼片は楕円形,5個(ときに
7個),長さ 8~15mm,雄しべは黄色で多数,花柱はきわめて短く,痩果は
 卵形,長さ約 2.5mm。

《採取・料理》 葉は有毒のトリカブトと紛らわしいので, 慣れないうちは, 白色
 の5弁花を見て摘むようにする。 低地では3月下旬から,ふつうは4~5月頃,
若葉と葉柄,花茎を摘む。
塩ひとつまみ入れた熱湯でゆで,冷水にさらし,ゴマあえ,白あえ,すまし汁,
 卵とじ,辛子マヨネーズ,バター炒めなどがいい。
生の葉に塩をまぶしてもみ,刻んで,炊きたてのご飯にまぜ,野趣たっぷりの
 青臭さを味わう。

◎花をコーヒー・ゼリーに封じこめたり,抹茶寒天よせにするのも風流。
  花を摘みあつめてゆで, 甘酢, 酢のものなどを味わう。

《分布》 北海道, 本州, 四国, 九州の林地にふつうに見られ, サハリン, 朝鮮~
中国(北部,東北部)~ウスリーに分布。

《学名》 Anemone flaccida Fr.Schum.

カタクリの咲く頃に、花開く「ヒロハノアマナ」

2009-02-18 20:09:52 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
ヒロハノアマナは、アマナより1ヶ月ほど早く、カタクリの花が開く頃に、
ひっそりと咲き始める。

Tulipa latifolia (Makino) Makino;Amana latifolia (Makino) Honda
ヒロハノアマナ

まばらな林の下,湿りのある草地にはえる多年草。
アマナによく似るが,葉の幅がやや広く,長さ 10~15cm 幅 7~20mm,上面の
中脈にそって, 幅の広い白条があり, 葉の先が急に細まる。

花は3月下旬~4月上旬,径 2~2.5cm,花被片6個は,白色,下面に褐紫色の
脈がある。 ふつう, 花茎の苞は3個あり,アマナとの区別は,苞の個数を調べる
と分かる。

日本特産の野生チューリップで,本州(関東~近畿),四国の限られた地域に
はえ,滋賀県の伊吹山,三重県の藤原岳などにやや多く,藤原岳では,石灰岩の
間にある裸地で,フクジュソウ,などと, お花畑をつくっていたり,天狗岩付近
の林床では,フクジュソウ, セツブンソウ,キバナノアマナ, などとはえている。

306号線,滋賀県側から鞍掛トンネルをすぎて,コグルミ谷入り口から 御池岳
のほうへ登ると,タイミンガサ,ヒロハノアマナ,カタクリなどに逢えるところ
があり, 健脚の人は, 藤原岳方面に向かうこともできる。

首都圏では, 群馬県(50号線)笠懸町・岩宿遺跡に隣接する稲荷山で,林床に
カタクリが咲くころ, 遊歩道をあるくと, 遺跡からもっとも遠いコース最終地点
で, ひっそり群がっているヒロハノアマナに逢える。

■アマナのように食べられる。     分布域やや狭・個体数やや少 

雪中のガンコウラン

2009-02-12 17:55:37 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
ガンコウラン Empetrum nigrum L.var. japonicum K.Koch(ガンコウラン属):岩高蘭。 北海道,本州(中部以北),千島,
サハリン,カムチャツカ~シベリア東部~中国東北部~朝鮮に分布。
匍匐性の小潅木。高さ10-30㎝。花は5-6月,雌雄異株。液果状の核果は,径 6-8㎜,はじめ紅褐色のちに黒熟。
完熟した果実を食べることができ,リキュールをつくると,美しい帯黒紅紫色で,風味がすばらしい。