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思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

「自転車乗りは永遠に不滅」ということと、最近の興味深かったふたつの旅の事例

2010-04-26 23:59:51 | 自転車
先週発売の雑誌『CYCLE SPORTS』10年5月号で、石田ゆうすけさんの連載「ぼくの細道」のあとのモノクロページに「池本元光からエミコまで 世界一周サイクリストの軌跡」という10ページの特集記事があって、これを本ブログでも度々触れてお世話になっている安東浩正さんが書いている。
内容は基本的に、世界一周や国外で長距離の自転車旅を実践する旅人が集まっているJACC(日本アドベンチャーサイクリストクラブ)の創立30周年記念にまつわる話なのだが、ここに未加入の僕でも知っている旅人の名前が結構あって、記事中に登場している42人中10人は安東さんや石田さんを含め、これまでに地平線会議や各種催事の場で会って話を直接聴いたり少し会話したりして各々の人間性をわずかではあるが実際に触れて知っている人たちであるね。

で、この記事の後半に、安東さんがこれまでとこれからの自転車乗りについて書いた一文が良かったので、ここで引用する。


「なにごとにもオシャレが重要なクールな時代に、テント、寝袋、生活道具を全部自転車に積みこんで、ときに野宿して旅する自転車野郎は多くない。だけど旅する自転車野郎が将来消えることもない。なぜなら旅は人類の宿命であり、自転車はそれに最もふさわしい乗り物だから。」


「宿命」はちょっと大げさかもしれないが(これは安東さんのクセとも言える表現の手法)、でも手段は自転車に限らず、僕も基本的に人間は食欲や物欲や性欲などの普段の生活にまつわる欲望と同等に、目的や規模や頻度に個人差はあれど、普段の生活から逸脱して他所の土地を巡りたいという意味での“旅欲”は誰しも持ち合わせている、ありきたりな表現だが「ここではないどこか」へ旅したい無意識の欲求もある、と思っているので、この表現には納得。
やはり人間は、きっかけは物見遊山でも自分探しでも自己表現でもいいからとにかく、日常を離れて旅しなきゃならんのですよ。全国各地で最近流行っているB級グルメ探訪やテレビ『ちい散歩』的な日帰りで行くぽてぽて散歩でも、数年がかりの自転車世界一周やシロクマの襲来に脅えながらマイナス40度以下の極地のスキーによる踏破行でもなんでも。

それに関連して、今年2月と4月に東京都内で、世界一周ではないがそれに近い結構大きな自転車旅話を聴く機会があったのだが、それらも事前に小耳に挟んでいたうえでの予想以上に面白かった。
前者が、記事の中盤でも触れられている、07年5月~08年12月にユーラシア大陸のネパール~マケドニア間約1万4000kmを単独で横断した松尾由香(まつお・ゆか)さんで、僕と共通の知人も何人かいたりする。女性が単独でこの長距離を、しかも中央アジアや、女性が屋外を出歩くには制限があって世界的にも特に気を遣うべきイスラム圏のイランも走破していることが珍しくて興味深かった。普段のブログとは別の、件の旅の最中に更新していたブログは以下。

http://yukacycle.exblog.jp/

『CYCLE SPORTS』で昨年にこの旅について短期連載していたのも読んでいたが、実際に会うと小柄でかわいらしくて、体力勝負の体育会系な雰囲気なんて微塵も感じられないこの雰囲気のままでユーラシア横断だなんて、と外見と、旅への準備期間や想いの深さおよび旅の結果との差異に驚いた。

それから後者は、07年7月にこちらも中国からユーラシア大陸横断に出て、インドシナ・チベット・ネパール・バングラデシュを経て、でも昨年末に旅の資金が尽きてインドで旅を中断している西川昌徳(にしかわ・まさのり)くん。
こちらは08年5月の中国・四川省の大地震のときにちょうど現地にいて、この被災地の支援活動に4か月かかわったり、そのあと初冬のチベットを南下してネパール・カトマンズで一度尽きた資金作りのためにネパール産ジーンズを自主制作・販売して(元々、学生時代に衣類関連の販売の経験があった)、ほかにも現地の子どもの教育支援にも参加して結局は09年前半に6か月も滞在したりして、と旅のなかで滞在期間が結構長く、旅の過程で各地でのボランティア活動も通じて人との出会いとつながりを比較的強く意識した旅、という印象。
彼は四川省・成都でその大変なときにタムラアキオ(本ブログで昨年触れた、大学の後輩)と会い、そのつながりから僕も今年初めに知り合ったが、なかなかのイケメンで、しかも来春に旅を再開するまでに関西圏を中心に講演活動に力を入れるためかすでにここ3か月で数本こなして喋り慣れていて、近年視てきた新たな旅人のなかでも比較的とっつきやすい感じの青年であるね。ブログは以下。

http://ameblo.jp/masanori0615/

件のジーンズもこのブログを介して1本6500円で販売していたそうで(ネパール-日本間のいわゆる「フェアトレード」の名目もある)。その後、インドでTシャツも制作していたとか。来年の旅の再開後もこういった動きは採り入れていくのかな。

最近の旅人は、諸外国からのブログ更新も国内にいるのと同様にふつうに行なっていてしかも盛んですなあ。そういえばふたりとも関西人のためか、喋りは巧いのよねえ。写真もともにデジタル一眼レフを使っていてなかなかですし(松尾さんはキヤノン、西川くんはニコン)。
それに、大きなことをやった・やろうとしている旅人は大概ギラついた雰囲気を醸し出しているものだが、ふたりともそういった尖った、(旅の経験で培われた)ある種他人を容易に寄せ付けないための壁や自分を護るための膜を張っている感じが見られなくて、旧来の冒険・探検的行為に臨む人よりも比較的のほほんとしているのも面白かった。旅の過程で死活問題に直面したこともあっただろうに、そういった面をあまり見せないスマートな物腰であることも、聴いていて感心するとともに逆に悔しくも思う。21世紀の旅人は各地で(心の壁を作らずに)出会いを重視する、という傾向になっていくのかね。まあ近年は旅人の年代性別や移動手段にかかわらず、地理的自然的な探索・発見よりも自己の内面を見直したり自己肯定感を味わったり自分の視野を拡げたりするための極私的な旅が増えているからなあ。

くぅー、旅を表現するというか記録する者のひとりとして、僕はふたりに対してかなりの敗北感がある(今年は例年よりもほかにも敗北感を味わってしまう旅人を知る機会がなぜか多い)。いろいろあってここ2年くらいは自転車旅から遠ざかっているし。それにそう簡単に比較するものでもないから、まあいいや。

というわけで、上記の安東さんのお言葉どおりに、今後も旅の自由度や達成感や資金面を熟考したうえで、あえて旅の移動手段に「人力」の自転車を選択する旅人は絶えず現れ続けるだろう、とは僕も周りの各種旅人の旅話に触れているなかで日々感じている。

ツール・ド・フランス、今年こそ特にくまなく観るべきなのに……

2009-07-10 20:00:39 | 自転車
毎年この時期に開催されている、欧州最大というか世界最大の自転車レースであるツール・ド・フランス、見どころはいろいろあるが、今年は特に自転車専門誌のみならずテレビのニュースのスポーツコーナー以外の枠や一般紙・誌でもよく取り上げられている、Bboxブイグテレコムの新城幸也(あらしろ・ゆきや)と、直前に出走が決まったスキル・シマノの別府史之(べっぷ・ふみゆき)の日本人選手が2人出走、だろう。今中大介以来、13年ぶりの日本人ツール出場だけでも凄いのに、さらに今年に集中して2人同時出走だもんなあ。プロ野球・メジャーリーグで野茂英雄がドジャースに、サッカーで中田英寿がペルージャに移籍して1年目から活躍したのと同等の、日本の自転車界においての革新的なできごとであるね。

インターネット上でのツールの情報はJ SPORTSの特集サイトが最も多くて精確かな。肝心の映像のほうも、ここで観られる人はいいよなあ。ウチは無理だからなあ。
フジテレビがツールの放送を打ち切ってからもう何年経つっけか。今後再び地上波で復活、なんてことはないのかなあ、このご時勢で。

また、このサイト内ではツールと週刊少年チャンピオンで連載中の自転車マンガ『弱虫ペダル』との組み合わせによるJ SPORTS×弱虫ペダル ツール・ド・フランス2009観戦ガイドがわかりやすいか。このなかで、登りが得意な主人公の小野田坂道に、山岳賞リーダーの赤色水玉ジャージを着せているのがまたよろしい。

まあ今年はこのサイトで結果を追いかけることにしよう。で、詳細は後日に自転車専門誌で拾う、と。
現地では競技の要素とともに、コースを各チームが順に大移動してゆくキャラバン的な祭りの雰囲気もあるというこのレースの生観戦と「人力」の観点からその空気を感じることも前々から生涯の目標のひとつに掲げているのだが、いつになったら行けるのやら。
いろいろあって特に出不精になっている今年は、ツールの盛り上がりを観ていくと、出かけられないことからの歯噛みもより増すだろう。うう。


※2009年7月某日の補足
新城と別府、ふたりとも完走できたね。リザルトを見るとともに個人総合順位では100位以下となったこと云々よりも、日本人がふたり同時に出走して完走したという実績だけでも、日本の自転車界にとっては歴史が塗り替えられた画期的なできごとである。
来年以降はどうなるかなあ。もっと欲が出てひとつひとつのステージごとにも勝負していく場面が増えるのか。そういうところを今後は写真のみならず映像や生観戦で観たいんだがねえ。

出費は痛いが、ママチャリ再生のためには必要不可欠の交換

2009-05-21 03:00:45 | 自転車

久々に自転車ネタ。
先週末、普段の生活で乗り倒していてこれまでに7年半乗ってきたママチャリの後輪を交換した。厳密には、リム・スポークも含むホイールではなく、ママチャリの場合はそれに付随しているスプロケット(チェーンを噛ませる歯)を新品に交換したかったから。

写真でわかるとおり、これまでにかなり力を入れてペダルを漕いできたためか歯が昨年末あたりから徐々に欠けて、1本欠け始めると次々にその近辺の歯が欠けていき、しまいにはまだ健康? な歯が4本しか残っていなかった。このようにスプロケットが舐めてしまうとチェーンがしっかり噛み合わないものだから、ペダルを漕いでもカスッと空転が続き、しっかり踏み込めないためにたいした加速もできず、と歯が欠けていくにつれてどんどん走りにくくなってきた。特に交差点での信号待ちからの度々の発進や斜度5%くらいかそれ以上にきつい上り坂なんかはまったく漕げないし。

で、今年に入ってからはママチャリでは速度があまり出せないことをわきまえつつ騙し騙し漕ぎ進めてきたのだが、今月に入ってからとうとう悔しいというか我慢できなくなり、結局は先日の大型連休明けにスプロケットを新品に交換することにした。
ただ、ママチャリの場合はMTBやロードバイクのようにホイールとスプロケットを別々に交換できないらしく(安物の中国製ならば尚更?)、それらが一体化されているものに交換するしかなかった。だからホイールの再新品化はおまけで、今回欲しかったのはチェーンがしっかり噛むスプロケットの歯のほう。

ただ、問題がそれだけなら良かったのだが、今度はリアブレーキが長年乗り倒してきたせいか錆びていて分解・交換できず、さらにその交換費用も出費することになった。
結局、リアホイールのみの交換であれば部品・取り付け作業費を合わせて5500円ちょいだったところが(MTBの部品だったら自分で交換できるが、ママチャリだとブレーキまわりが面倒だと思うので店に頼んだ)、リアブレーキの交換もその項目に追加されて、出費の総計は7560円となった。今春は偶然にも野暮用が続いて出費がかさみ、今回もスプロケットを交換するか否かかなり悩んだ。もっとあとにアウトレットででも型落ちが見付かったりして今の交換は時期尚早なのではないか、とかほぼ毎日悩んだ。
でも生活での使用頻度は高い自転車なので背に腹は代えられず、結局は交換した。いざ交換すると当たり前だがとても走りやすくなり、現在は快適走行に戻っている。坂道もいける。だったらもっと早めに交換しておけばよかったか……。でも、この経済的にピンチのときに7000円超の出費は痛い……。

ちなみにその交換した新品ホイール、リアハブを見ると日本のシマノ製だという刻印というか表記はあるが、小さくCHINAとも入っているのでどうやら中国製らしく、よくわからん。そうなると正規品ではないのだろうか? と疑念が渦巻く。
でもせっかく2000円前後でも追加すれば新品の自転車を近所のホームセンターで買える金額だったのに、ひとつのモノを部品の交換のみで済ませば再び末永く使えることを考えると、そこで自転車を廃棄して新品にいってしまうのは“エコ”的によろしくないよな。もったいない。交換したからには再び乗り倒すしかない。

そういえば、これとは別の旅用MTBのほうもスプロケットが同様に幾分欠けていたり、さらには変速も正常に動かないことが災いして、とにかく駆動系が要交換状態で放置したままだった。そちらも早く直して、再び走り出して「自転車魂」をしっかり受け継がなければ。
でも最近はマラソン出走の影響もあってか、自転車よりも登山や徒歩旅への興味関心のほうが強いのよね。拙著『沖縄人力紀行』(彩図社刊)で自転車話を書いておきながら最近はあまり自転車に乗っていない、という体たらくですみません。

道路交通法が一部改正されても、自転車は車道を走るべき乗り物ですから

2008-06-03 09:00:21 | 自転車

1日から道路交通法が一部改正され、報道ではクルマの後部座席のシートベルト着用の義務化、紅葉マークの義務化、聴覚障害者はワイドミラーを付けるなどの条件付きで運転免許が取得可能になった、というようなクルマに関することが注目されているが、なかでも人力移動派の僕としては自転車の通行に関することで、13歳未満の児童・幼児と70歳以上の高齢者のみ歩道通行が認められたこと、交通の状況からみて自転車の通行の安全を確保するためにやむを得ない場合はそれ以外も歩道の通行を認めた、という2点が引っかかる。

この特例のなかの、というか改正前から変わらない義務の「自転車で(自転車通行可の青い丸い標識のある)歩道を走るときは歩行者に注意する」ということはこれまでどおりにあまり認識されず、今回改めてその2点が明文化されながら自転車の歩道通行が公に認められてしまったことによって、本来は車道左側を走るべき自転車が「歩道を堂々と走ってよい」のかと勘違いされて、歩道を真っ当に歩く歩行者にとっては逆に法改正以前よりも危険度が増すのではないかと心配になる。
また、「やむを得ない」という言葉の意味も曖昧で、まあおそらくは車道上での路上駐車・荷捌きの車両、タクシーの客待ち、デモ行進、工事、交通事故などの事前の予測が不可能な突発的な障害を一時的に除けるために年代を問わず歩道通行が認められてしまった、ということか。

まあたしかにその子どもと高齢者の運転には比較的不安があることはクルマのドライバーの立場から考えてもわかるし、僕も実際に中学生頃までは地元でママチャリに乗っているときも(特に幹線道路は)車道よりも歩道を走ることのほうが多かったので今回の法改正の意味もわからなくはないが、法的には「自転車」は「車」が付くくらいで車両の一種なんだから車道を走るべき乗り物なわけで。

というか、今回のこの一文を読んで、多くの主に低速・安価なママチャリを利用する現在の統計上は8000万台以上流通していてそれに近いくらいの乗車人数がいるとされる自転車乗りにとってはおそらく、

「なんで今になって自転車は歩道通行とか言ってんの? そんなの当たり前じゃん」

と最初から自転車は歩道を走るものだ、という間違った認識がまかり通っていて勘違い状態の者のほうがそうでない者よりも圧倒的に多いのだろう。だから今回のこの一文についてまったく再考・咀嚼されることなく右から左へ流されてしまうように思う。
それは街なかで毎回、ブレーキや灯火なしで歩道を疾走するような自転車を嫌というぼと目の当たりにすることからもわかり、そんな勘違いが蔓延しているという絶望感にいつも襲われるが、今月から果たしてその法改正によって絶望する回数は減っていくのだろうか。
単純に考えて、歩道は「歩」く「道」なのだが。そんなことは小学生でもわかりそうもんだけどなあ、その漢字の意味すらわかっていない小学生から勉強し直すべき人がえらく多いよなあ、なんで歩行者の交通の結構ある歩道を自転車で警音を鳴らしながら我が物顔で時速15km以上で走れるのかなあ、その感覚がよくわからない。

ちなみに、上の写真は2008年1月28日~2月6日に東京都杉並区のJR阿佐ヶ谷駅北口からすぐの中杉通りで実施された、車道上の自転車専用レーンの社会実験を見に行ったときの1枚(2月5日撮影)。この右半分に注目してもらいたい。
実験の様子をよく観察すると、車道の実験区域の端っこの、この車道と歩道の境目あたりは歩道上を歩く歩行者と車道から合流してくるもしくは歩道を堂々と通行する自転車との混在が特に激しく、歩道の幅員を考えるとどう見てもこの写真右端の自転車のような強引な歩道通行は危ない(実際、この写真を撮った僕の肩もかすめて行きやがったし、ブレーキも握っておらず減速しなかった、このアホ自転車は)。
この写真は昼下がりに撮影したが、朝夕の通勤通学時間帯であればもっと酷い状況になっているかもしれない。
自転車の歩道通行が違法か合法かと法律云々を持ち出す以前に、この自転車のような走り方が単純に危ない、ということは誰でもわかると思うのだが、この写真を見てなんとも思わない、もしくはこの自転車のような走り方が正しい、と思っている人は人間としてかなりイタいぞ。

1日から、いくら13歳未満の子どもと高齢者のみ安全性を鑑みたうえでの歩道通行という「特例」が認められたといっても、歩道上の歩行者の安全を考えるとやはり基本的にはできるだけ元来の車道の左端を通行すべきで、今回の法改正はその特例が認められた年代もほかの年代も含めて自転車に乗る者、それ以外にもクルマや二輪車も扱う者も歩行者も含めて道路を利用する全員に「自転車は原則的に車道左側通行」の周知をもっと徹底させないと、事故は減っていかないのではないか。

周知の徹底、という意味では、もうなりふりかまわずに公共広告機構・政府広報レベルの媒体で、つまり国家事業というくらいの勢いで、場合によっては有名芸能人を活用しながらもしつこい、耳にタコができるくらいに本気でこの「自転車は原則車道」を告知していくべきだと思うけどなあ(国民的アイドル? のSMAPをはじめとするジャニーズ系メンバー全員を集結させて自転車CMやドラマを制作するとか。草剛は映画『メッセンジャー』でロードバイク経験があるけど)。実際、歩道上なのに人命にかかわる歩行者と自転車の事故もここ数年頻繁に起こっているのだから、そのくらい大々的に扱うべき大問題である。いいかげん、そういうところ(自転車は車両という周知の徹底とか、自転車専用レーンの整備とか)にももっと予算を配分すべき、ということに気付き、発言する議員が数十人単位で現れてほしいものだ。

レギュラーガソリンの価格も今月からリッター170円台にまた値上がりして、200円突破も目前でクルマを手放す人も増えているご時世なんだから、もっと自転車について政局から本気で取り組むべきなのでは? 車道上の自転車レーンの整備や法整備や周知の徹底はもちろんのこと、自転車の開発への助成とか、駅前の自転車駐輪場の整備の徹底とか(現在の都市部の鉄道駅前で最優先で整備すべきものは分譲マンションでも商業施設でもなく、“パークアンドライド”しやすい駐輪場なのだ)。

やはり、今回の法改正を経てもまだ警察と行政が自転車の交通を元々舐めている、本気で自転車の交通を改善させようとしないという姿勢はあまり変わっておらず、法改正もやっつけ仕事という感がある(この法律やら政策やらを扱う側が自転車に本気で乗っていない輩ばかりだからなあ)。
自転車乗りの端くれとしては、今後も引き続きできるだけ車道の通行に努めて、その正当性を主張し続けて行くつもり(できるだけ、というのは、さすがにクルマの交通量が超多い1桁および2桁国道のような幹線道路では仕方なく歩道を利用することも少しはあるということ)。

今回の法改正云々とか最近の媒体でよく自転車のことを特集したさいによく形容される「(排気ガスを出さずに)環境にやさしい乗り物」とかいうことはとりあえずは置いておいて(環境云々については、クルマやオートバイから自転車や公共交通に乗り換えて、それに乗り慣れた結果としてあとから付いてくることだから)、この「自転車は車道か歩道か」という人命にかかわるようなことについては(日本らしい?)曖昧さを排除して(欧米らしい?)善悪の判断をきっちりつけなければならん。
一般道路での自転車の車道通行に文句があるヤツはかかってきやがれ、警察署でも裁判所でもどこでも出るトコ出て白黒はっきりつけてやろうぢゃないの、そもそもクルマよりも自転車のほうが誕生からの歴史は古くてツール・ド・フランスのような欧州の大規模自転車レースの盛況ぶりを見てもわかるように全世界でもっと尊重されるべき乗り物なんだよボケ、という気概で今後も車種を問わず自転車に乗り続ける。

また、歩道通行の問題とは質がまた異なるが、数日前にも僕が自転車で交差点を車道直進中に(もちろん青信号で)、対向右折のベンツ(たぶん価格は300万円以上のCかEクラスのセダン)が目の前で強引に右折してきて僕の自転車と接触しそうになったが、そのドライバーが交差点のど真ん中で一時停止したので僕に謝るのかと思いきや逆ギレしていちゃもんをつけてきやがったが、僕はそんなアホなベンツにも「ベンツって何?」と平気で蹴りを入れるクチですから。そんなことをのたまうヤツにクルマに乗る資格はない、と時間があるときは真正面から徹底的に闘ってそのふざけた頭の中身を矯正してやる。
ただ左ハンドル車だと、そのドライバーに交差点では直進優先だとか怒るのにひと手間かかるから面倒なんだよな。日本で左ハンドル車なんて乗るな、面倒なんだよベンツ野郎。
自転車はクルマとともに車道を分け合いながら走るべき乗り物なんだよ、と今後も個人レベルからもしつこく周知を続けていかないと。

できればほかの自転車乗りにも、僕のようにこんなに鼻息荒くなくてもいいけど、これに近いくらいの強い思い入れというか覚悟で道路で自転車に乗ってもらえるとこれからの時代助かるんだけどなあ、とちょこっとは期待もしている。


●参考資料
警察庁「自転車の安全利用の推進」
広島市道路交通局道路交通企画課交通円滑化推進係「自転車の通行位置について」
シェアザロード

わざわざ「冒険」という表現を使わずに済む理想の自転車交通への布石本

2008-04-12 12:12:12 | 自転車

先月下旬に発売された自転車本『自転車をめぐる冒険』(東京書籍刊)が超面白い。
これは自転車通勤する人である“自転車ツーキニスト”の名付け親? である自転車関連の著書・講演の多い疋田智氏(以下、ヒキタさん)と、新進? のコラムニスト兼イラストレーター? のドロンジョーヌ恩田氏(以下、ドロン女史)の共著。
本業であるTBS(東京放送)の報道マンよりも最近はNPOや講師としての活動も含めて自転車人としての顔のほうが有名(だと思う)ヒキタさんのことは8年ほど前から存じ上げているが、この本のヒキタさんの「はじめに」にある「自転車業界に突如として舞い降りてきた」という共著のドロン女史については僕も認識したのは自転車専門誌で昨年からで、こんなに美しい人妻がホントに本気で実際に自転車(ロードバイク)に乗っているのかー、そしてなぜその容姿に似つかわしくない毒舌? コラムも書ける・描けるのか? と気になり、最近の自転車業界においての要注意人物として注目している。“ヒキタ本”はこれで8冊目の所有になるが、この本気で自転車に日々乗っているふたりの組み合わせ、ヒキタさんの文章とドロン女史のイラストおよびツッコミによって、そのなかでは過去最高の面白さが詰まった1冊だと思う。

本のタイトルには「冒険」とあるが、これは一般的に想像しがちな身体的精神的に困難な旅というか冒険的行為(世界一周とか冬季走破とか)の話ではなく、現代のクルマ優先の日本の道路交通においての自転車の有用性を解きながら、一般に浸透しているママチャリも含めて自転車は「軽車両」であるという事実への無理解と無関心と思考停止状態にあえて立ち向かっていく、という意味で使われている。
まあこの本はなんなのかを簡単に表現すると「あとがき」のドロン女史の表現を借りると「テクニックやパーツやマニュアルやカタログや旅日記ではない」自転車本で、「自転車の未来や可能性を楽しく伝えたい」という意思のもとに書かれた(主に雑誌連載をまとめた)エッセイ本ということになるかな。
ただ、「楽しく」という意味は、自転車と無関係? の下ネタも各所に散りばめられていて、本のなかで自転車乗りの男女比では圧倒的に男寄りになっている現在の自転車業界に女性をもっと取り込みたい! という目標を考えると、こんなに下ネタが多くて大丈夫? 一応は成人男女対象の本なのかな? と少し心配にもなる。だが、そんな柔らかいというかふざけた? 表現もありながらもこれまでの自転車本にはない筆致と描写で、飲酒運転、車道の右側通行(逆走)、改正道路交通法などの最近の自転車にまつわる(自転車乗りを自認している方であれば一度や二度は必ず憤ったり悩んだりしたことのある)諸問題に的確にツッコミを入れていて真っ当な自転車乗りの想いを代弁してくれている、はず。
自転車乗りのひとりである僕としても溜飲が下がり(「○○されていただきたい」という表現は僕も好き。この○○に当てはまる言葉がなんなのかは、実際に読んで確認してほしい)、まさに国内外問わず今後の道路交通を考えるうえでの圧倒的な「正義」が凝縮された1冊であるね。

具体的に内容はどうこうというのは説明するよりも読んでもらったほうが話は早いし、超遅読の僕でも1日強で読めるくらいにとても読みやすい本なので、実際により多くの方に手にとってもらいたい。特に、自転車乗りを自認する方は全員読むべきである。そして現在の自転車乗りの大半は男性だろうから、この内容を彼女や女友達に堅苦しくなくやんわりと伝えながら反映させていって自転車乗りの裾野を徐々に拡げていく、というのが理想かもしれない。ドロン女史による自転車に乗るさいの女性ならではの悩み(サドルに跨ることによる尻の痛み、減量、服装など)や解決策も多く盛り込まれているから、まあ女性が読んでも間違いなく楽しめる内容だとは思うんだけど。

僕がこの本の中身で特に膝を打ったのが、ヒキタさんの文章の項目では、

「奥様方の『自転車非エコ論』」(104ページ)
「東京の中心で左と叫ぶ」(110ページ)
「東京におけるメッセンジャーの「圧倒的功績」」(134ページ)

で、ドロン女史のイラスト内の表現では、

「身の丈で生きる」(35ページ)
「自立した心を養ってくれる」(85ページ)
「「流行」になるのではなくて「文化」にしなくてはいけない」(139ページ)

かな。
なかでも「奥様方の『自転車非エコ論』」で、自転車を造ることだって、(アルミ、クロモリ、カーボンなどの)材料を輸入して、電気を使って加工して、完成されたものをガソリンを使って輸送して、という過程でエネルギーを多く消費して、結局は最近の時流の“エコ”に反する(地球環境にやさしくない)ではないか、という一般的な奥様方が放言する文句への論理的な反論というか回答および有用性を説いているのが面白い。
今使っているエネルギーを100からいきなり0に減らすのは難しいが、100を90や75と徐々に減らしていこうという努力はできそうだしその心意気を持ちながら取り組むことが肝要で、クルマよりも自転車のほうが製造面でも実際の利用面でも地球環境への負担を減らしていける割合は圧倒的に高く、要は「程度問題」の話だ、ということをこの項で考証していて感心する。
この項は特に、2006年発売の北海道の情報誌『北海道いい旅研究室9』のなかで拙著『沖縄人力紀行』(彩図社刊)を紹介したさいに、その後半でこの問題についてちょこっと触れていた舘浦あざらし氏にはぜひ読んでもらいたいなあ。僕が本ブログでいつか触れようと思っていた言い分がきっちり書かれているから、これを読めばもう間違いないっす。

まあとにかく、全編にわたって今後の日本の社会の成熟度の高低にもかかわってくる内容のはずで、とにかく移動手段は問わずより多くの方に読んでいただきたい。幸い、発売から2週間で増刷も決まったそうで、そのくらいの力は当然ある本だ。
ただひとつこの本の欠点を挙げると、ヒキタさんもドロン女史も生活圏および自転車の舞台は主に大都市・東京で、そんな都市部での自転車交通に日々触れている経験からものを言っていることもあって事例を挙げるにしても東京に偏った筆致になり、それ以外のよりクルマへの依存度が高い、もしくは自転車の交通に理解のない地域には該当しない事柄もありそうで、読者が本の内容を全国・全世界共通の問題として捉えることが(地域差があって)やや難しいかもしれないということ。
だが、「東京におけるメッセンジャーの「圧倒的功績」」の項で、ヒキタさんが以前に福岡県福岡市内の繁華街を自転車で走った実感(東京に比べるときちんと車道を通行している自転車が少ないこと)をもとに、東京以外の地域について書いている部分もあるにはあるけど。

ヒキタさんのメールマガジンの、今月1日配信分のエイプリルフールならではのウソネタ(理想論)のなかに、この本が毎年この時期に発表される大宅壮一ノンフィクション賞に輝いた、とかいうふざけた? 一文も含まれていたが、これは冗談抜きでそのくらい社会に大々的に訴えていく力はある、少なくとも10万部以上は売れてもおかしくない本であると思うけどなあ。というか売れてほしい(下ネタには目をつぶって)。

というわけで、今度、ある理由によりこの本をもう1冊買うつもり。そのくらい強力に薦めたい。繰り返しになるが、特に自転車乗りは全員読むべし。

世界エイズデーに自転車を

2007-12-02 00:30:35 | 自転車

昨日、東京都中央区の築地本願寺を主会場とする「コグウェイ for STOPAIDS 2007」に旅自転車を輪行して参加してみた。

これは、山崎美緒、山田耕平という自転車とアフリカに精通したふたりが組んで、世界エイズデーである今日に合わせて自転車を漕ぎながらエイズデーを再考する意味合いで企画した催しで、昨年のHIV新規感染者数1358人の参加者を目標に環境系雑誌『ソトコト』などの各種媒体を活用しながら参加者を募った。まあ実際には今年始めたばかりだということもあるのか参加者はそんなに多くは集まらず、200名弱となった。でもそれでも個々の参加者を見るとみなさんなかなかの自転車を携えていて、僕の11年乗っているぼろっちい旅自転車は今回集まった自転車のなかでも質的には最低レベルにあったかもしれない。
でもまあ、広報活動を多方面に展開したおかげで、全国紙・誌の取材もいくつか来ていたりして、これによって後はより注目されるかな。

この催しの参加条件として赤色の何かを身に着けて自転車を漕ぐ、ということになっているため、僕も含めて参加者の大半が赤色の上着や手袋を着けていたが、なかにはバンダナを巻いたり手拭いを鞄に引っ掛けるような粋な人もいた。

13時台の開会式を経て(後半の、早稲田大学のバンザイ同盟? は面白かったなあ)、そのあとはフリーサイクリングということで赤色を身に着けてエイズデーをアピールできればどこに行ってもよく、自転車好き野宿仲間数名と集まった僕は安東浩正さんのつてで、山崎さんも所属しているJACC(日本アドベンチャーサイクリストクラブ)の方々と行動をともにすることになり、総勢10名という集団走行になった。築地本願寺から銀座の歩行者天国、日比谷公園、皇居前、靖国神社、赤坂御用地、神宮外苑などをかすめながら原宿・代々木公園方面へ向かった。

僕は4~5名くらいならまだしも10名以上の大所帯での集団走行は初めてで、しかも大通りを極力避けて僕も初めて自転車で通るような細い路地を選んで進んだりして、なかなか新鮮な行動であった。
結局、走行距離は約12kmとなり、適度に上り下りを繰り返しながらの運動にはちょうど良いコースでしたな。ただ、僕の自転車は整備を疎かにしているためにチェーンの歯飛びがひどくて上り坂ではあまり力を入れて漕げなかったのが残念であった。いいかげん、カネかけて部品を新調してまともに走れるようにしないとなあ。

週末なので大混雑したJR原宿駅前には1時間半くらいで到着し、そこで解散ののちに紅葉がちょうど見頃の近所の代々木公園内に行く。ここで野宿仲間と軽食をむさぼりながら小一時間あれこれ談笑したのちに、暗くなった頃に帰途に就いた。天気はまあまあで、思ったよりは寒くもなく、自転車に乗るにはちょうど良い気候であった。

暗くなったそのあとは山手通りと川越街道を経由し、途中でスーパー銭湯に寄り道したりしながら自走し、休憩室で30分以上居眠りしたこともあって帰宅は22時すぎとなった。結局、築地本願寺からウチへの走行距離は約46.8kmとなった。まあ適度な運動となったことには違いなく、健康的な週末のできごとであった。

今回のこの催しでは僕個人的にはエイズやアフリカよりも自転車で複数人で走ることを意識したため、催しの趣旨について深く考えることはなかったが、また改めてそういったことにも思いを巡らせなきゃなあ、と良いきっかけはもらうことができた。来年以降もこの催しに注目していくことにする。

千葉県・幕張メッセの「サイクルモード」に行ってきた(2年ぶり2回目)

2007-11-18 21:45:40 | 自転車

今日、千葉県千葉市の幕張メッセで16~18日の期間で行なわれた自転車試乗会兼展示会「サイクルモード」に行ってきた。正式名称は「CYCLE MODE international 2007」で、その東京会場のほう。来週末には大阪府・インテックス大阪でも開催される。

今年は16日をナイター開催兼女性入場無料という日に設定したり、イメージキャラクターに自転車によく乗ってアメリカンジョークを連発するディラン(なだぎ武)を起用したり、テレビ東京の番組とも連携したりして、かなりの力の入れようであった。2年前とは大違い。
場内を見回しても、例年、東京都・東京ビッグサイトで開催してきた「東京国際自転車展」以上の来客があり、各出展ブースもこちらにもっと力を入れよう、移行しよう、という意図がよく見えるブースのつくりにそれぞれなっていた、ような気がする。

肝心の試乗コースも拡大された。ロード・クロスバイク用コースやMTB専用の野外コースも設定され、走れる距離も2年前に比べたらかなり延びたなあ。僕は後者は行かずに前者と通常の試乗コースのふたつを利用して10台の自転車に試乗したが、やはり日曜日で最終日ということもあってコース内は渋滞ができるほどの盛況ぶりだった。自転車ひとつ借りるのにも人気モデルとなると10分や20分待つのは当たり前、というくらいであった。

ちなみに、今回はふつうに試乗とブースの見物に来たのとは別に大きな目的があって、東京会場では17日、大阪会場では24日開催のトークショーに出演する、テレビ『NEWS23』の特集でもお馴染みで自転車地球一周中のシール・エミコ、スティーブ・シール両氏に挨拶に行くことだった。自転車乗りのひとりとしては、特にエミコさんについては10年かそれ以上前に雑誌『CYCLE SPORTS』に阪口エミコ名義で連載を持っていた頃から当然知っている。
で、数年前から地平線会議などの野外系の催しで一緒の場に居合わせることが度々あったのだがこれまでほとんど喋ったことがなく、実は17日にこのおふたりとカラオケに行くくらいに仲の良い野宿仲間数人がふたりにドーナツの差し入れをするために訪れているのだが、彼ら彼女らからもとても面白い人たちだから、ということは間接的に度々聴いているため、今回ちょうど良い機会だからと思って、午前中にモンベルのブースにいたエミコさん、八重洲出版のブースにいたスティーブさんとそれぞれ少々挨拶できた。まあ現在は奈良県在住だけれども、今後も自転車関連の催しを注視していればまたどこかでおふたりと会う機会はあるだろう。

それであとは、14時からの鶴見辰吾×今中大介トークショーを少々見物しながら試乗ばかりしていたのだが、実際には自転車に乗っている時間よりも目当ての自転車にありつくまでに並んでいる時間のほうが長かった。
まあ自転車の試乗は「東京国際自転車展」や今春の神奈川県・さがみ湖ピクニックランドの「アウトドアバイクデモ」でも種類を問わずよく乗っているが、今回は特にロードバイクに重点を置いてみた。5日に130km走ったときにも、舗装路をもっと軽やかに走れるものがいいなあ、だったらロードがいいなあ、とは痛感したため、最近興味が沸いている。でも、今回僕が試乗したなかでカーボンフレームの60万円、70万円台のものなんかは高すぎて当然手が出ないからなあ、特にカーボンは今後は主に航空機のボディの製造に多く取られてしまって価格はより高騰するだろうし、などと時事問題を絡めながら経済的に厳しい現実を考えながら複雑な心境で、普段はフラットバーのMTBに慣れているためにほとんど触る機会のないドロップハンドルを握っていたのであった。

ただ試乗でひとつ気になったのが、試乗者の質。コース上では追い越し禁止や速度の上げすぎなどの禁止事項も示されていたが、そんなことにはお構いなしにそれらをやってのけるアホどもも実際にいた。特に、通常の試乗コース内に木製の段差が連続する(ブロックパターンのタイヤを履いた)MTB専用コースがあったのだが、そこに進入が禁止されていたスリックタイヤのクロスバイクで突入したり、その段差のあるコースで追い越しを仕掛けたりするどアホが数人いて、もらい事故を受ける可能性もあったそんなヘタクソな走りにはかなり腹が立ち(しかも追い越しは2周連続でやられた)、そいつを追いかけて蹴りでも入れて制裁しようかと思ったが、そいつの試乗車を壊してしまうのもまずいので結局は我慢して怒りはなんとか鎮めたが、そういうヤツは二度と来るな、バカめ、とそれでも憤りはしばらく続いた。

試乗者全体を見ると自転車にあまり乗り慣れていない初心者も多く(スカート穿きの、いかにも彼氏に無理矢理連れられて来た、でも見ているうちにだんだん興味が沸いてきたから試乗したくなった、という風情の女子も多かったし)、そういった危ないことも平気でやってのける、車間距離の取り方もままならない無知さもよく見られ、質は2年前に比べると明らかに低下していた。どこかで数分おきにガシャーンと大きな音を立てた追突や転倒も見られたし。催しの規模が大きくなればなるほどこういう傾向が強まるのは仕方ないことなのかなあ、と少々残念に思った。

それを除けば全体的には自転車の啓蒙には良い催しではある。入場料1200円(当日。前売りは1000円)を取るだけのことはある。今後も続くだろうな。

あとひとつこの催しにツッコミを入れるとすると、入場時にもらうプログラムの12ページのメインステージ内容のところで、ページ上部の見出しの年号が本来は2007なのに2008という誤植になっていたことか。こんなわかりやすい目立つところを間違えるなんておやまあ、と校正者の端くれとしては呆れた。なんならこういう僕の得意分野の出版物を見てあげてもいいのに。どうでしょう、主催者の方々。

そんなこんなありつつ、会場内には11時から17時の6時間滞在して存分に楽しんだ。そろそろ新しい自転車(特にロードバイクかクロスバイク)が欲しいなあ、シマノのコンポも年々進化しているから古い型はどんどん使い物にならなくなっていって取り残されそうだし、とまたもや物欲を刺激され、でも実際には金欠でとても手が出せない借金まみれの現状にガックリと肩を落としながら会場をあとにした。

そういえば、今回のイメージキャラクターとしてディランが採用されたのはよいのだが、いつも彼の傍らにいてしょっちゅう絡んだり、一緒に自転車に乗ることもたまにあるキャサリン(友近)はなぜ呼ばれなかったのだろうか? と気になった人は僕以外にも1000人以上いたはずだ。まあこれはどうでもいいことなんだけど、女性への自転車の啓蒙にも力を入れることも考えると、せっかくだから男女ペアで登場させても良かったような気はする。キャサリンのあの、どちらかと言うと「旅館の仲居さん」のほうが似合いそうな体型にはこのさい目をつぶって。でも実際に出たら出たで画的にやや厳しいか。僕は結構好きだけど。

“アラサイ”経由で走行距離130.8kmの書店営業

2007-11-07 09:15:44 | 自転車
今週5日の話になるが、先週2日に埼玉県羽生市に開業した「イオンモール羽生」に行ってきた。しかも自転車で。
当初は電車と徒歩で行くつもりだったが、数日前に観た自転車系OVA(オリジナルビデオアニメ)『茄子 スーツケースの渡り鳥』に触発され、チェーンの交換などの要修理状態の旅自転車を引っ張り出して騙し騙し走って行ってみた。

で、約2年ぶりに、埼玉県の自転車乗りにはお馴染みの、さいたま市はJR北浦和駅から滑川町の「武蔵丘陵森林公園」まで主に荒川の土手沿いに設定されている荒川自転車道(正式名称は「さいたま武蔵丘陵森林公園自転車道線」、写真1)、通称は荒川サイクリングロード略して“アラサイ”(最近はなんでも略すよな)を通りながらウチから羽生まで走って行った。



写真1。ちなみにこの鳥のキャラクターの名前は埼玉県鳥のシラコバトを模した「コバトン」。2008年開催の国体でも活躍する、かも。


久々に通ってみると、国道463号から北は堤防の工事によって通行止めになっていて、大宮武蔵野高校手前までほぼ河川敷のほうに迂回路が設定されていた。といっても河川敷のゴルフ場や野球場のそばの幅員4.5m以下の細い道路や農道をつなげたもので、特に農道では新たに自転車道専用の標識を設置したり、自転車とクルマの通行を分けるために路面に白線を引いたりして仮の整備は施されていたが(写真2)、この区間は特に週末はふつうにクルマも通行するだろうからこれまでの土手沿いの専用道よりはクルマの存在を気にしなきゃならなくなり、ちょっと厄介な状態になっている。これはホントに堤防の補修が終わるまでの暫定的な措置なのだろうか?



写真2。なんか自転車のことをないがしろにしているやっつけ仕事のような気もする簡素な整備だが、まあ何もないよりはましか。


そんなことを思いながら大宮武蔵野高校からは旧来の正規コースに合流し、国道16号やホンダエアポートを通過しながら、途中で自転車道から東に方向転換したりしながら、JR北本駅に寄り道したりして、3時間30分ほどかけてイオンモール羽生(写真3)に辿り着いた。新座からの距離は途中で道を間違えたのも含めて約57kmとなった。思ったよりも遠かった。



写真3。店舗周辺の道路も新たに整備された感じで新しく、まだ全体的に初々しさが漂っていた。


このモールに行ったときは開業してまだ4日目だったので、平日の昼下がりだというのにやはりこういった店舗の新規開業特有の混雑と新しい建物の匂いがあり、一瞬、今日は休日か? と錯覚してしまった。
店内をひととおり歩くとやはり女性向けの出店が多く、様相は昨春にさいたま市に開業した「イオン浦和美園ショッピングセンター」とほぼ同じであった。一応、敷地面積が約23万2000平方m、店舗面積が約8万8000平方m、駐車場の駐車可能台数は約5000台ということで、これが埼玉県内で最も大きな商業施設となったためにいち県民の僕も当然気になって出向いたわけだが、こういうものをまざまざと見せつけられるとイオングループはやはり凄いな、と溜め息が出てしまう。

そんなふうに感心したり驚いたりしながらも、今回の主目的である書店営業のために未来屋書店に行き、混むなかでもなんとか店員さんと会って話をして、拙著『沖縄人力紀行』(彩図社刊)をとりあえず3部置いてもらえることになった。まあこの店舗は国道125号沿いの商業地域利用のために周辺に住宅は少なく、そのため来客のおそらく9割がたはクルマで訪れる、というかクルマ利用が前提の立地だから、「人力」の話が主の拙著はあまり見向きもされないかもしれないが、やはり同じ埼玉県民としてクルマばかりの生活を再考するきっかけになってほしいなあと思い、ここにも出向いたわけさ。一応は駐輪場の駐輪台数も815台あり、人力移動で訪れる人もそこそこいるかもしれない。

そんな淡い期待をしながら、すっかり暗くなった18時頃に店を離れ、ちょっと遠いが国道125号経由で熊谷に寄り道し(もちろん緊張感ありのライト点灯車道通行)、ここから荒川の左岸に出て、南下して帰途に就いた。

が、日中は好天だったが熊谷から雨が降り出して次第に強くなり、再び国道16号に戻った頃には本降りになり、このへんから濡れネズミ状態になった。平日の22時前後の雨のなか、しかも真っ暗なこの自転車道を走っているヤツなんていないよな、と思ったら熊谷から国道463号までで自転車3台と走り1人とすれ違った。でも大半はひとり旅状態で日中と趣がまったく異なって、久々の100km超の走行で尻が痛くなりながらもちょっと寂しいなあ、雨も強くなっているし、とやや憂鬱になりながら進んだが、たまにはこんな人通りのない夜道を寂寥感を味わいながら行くのも良いか、と遠くの街や橋の明かりを見やりながらひたすら南下し、なんとか日付が変わる前に家に辿り着いた。

走行距離は130.8kmとなり、久々によく走った。まだまだおんぼろ自転車でも行けるものだ。とりあえずはチェーンとクランクを交換したいなあ、ああでもカネが、などと思いながらその夜はすぐさまバタンキューとなった。

ちなみに、冒頭に挙げた『茄子 スーツケースの渡り鳥』だが、僕は2003年に劇場公開された前作の『茄子 アンダルシアの夏』も映画館で観ていて、自転車ばかの高坂希太郎(こうさか・きたろう)監督の自転車への並々ならぬ想いは当然知っている。前作のスペインのブエルタ・ア・エスパーニャから今作の舞台は日本(栃木県)のジャパンカップに変わったが、やはり日本の話だけにわかりやすく、自転車や自転車レースにそんなに興味がない人でも入りやすいかな。特にスタジオジブリ作品を観ている方であればなおのこと。高坂監督の経歴についてはウィキペディアなどで調べてみてちょ。
1時間もない内容なのだが、車道の右側通行から左側通行、(監督が強調した)日本特有の雨中のレース、ペペの大落車と眼鏡の水滴、ザンコーニの上りでの“アウター”、先頭集団のイヤホン使用の指示と駆け引き、などなど見所は多く、どちらかと言うとレースよりは旅派の僕でも思わずほくそ笑むマニアックな描写もてんこ盛りで、何回観ても飽きない。僕も1日レンタルでつい5回観てしまったくらいの面白さがある。パオパオビールの補助役・ひかるちゃんのように、「行っけぇーー!!」と叫びながらレース観戦したくなった。今度、「ツール・ド・おきなわ」ででもやってみようかな。
とにかく、自転車乗りを自認する方はこのアニメは必ず観なければなりません。この2作で確立された「高坂アニメ」の今後が楽しみやね。

「アウトドアバイクデモ2007」に参加してみた  

2007-03-18 23:45:37 | 自転車
今日は神奈川県北西部の相模湖の近くにある遊園施設「さがみ湖ピクニックランド」の一角で17~18日の日程で行なわれた「アウトドアバイクデモ2007」という催しに行ってきた。これは簡単に言うと最新の自転車の試乗会で、自転車雑誌『CYCLE SPORTS』と連携して今年から始まった。

で、17日と18日では試乗内容が少々異なり、17日は舗装路を走るロードバイクが主体で、18日は未舗装路を主に走るMTB(マウンテンバイク)が主体の催しとなった。園内にそれぞれ試乗コースを設定し、参加者は催しに出展しているいくつかの自転車メーカーの自転車を取っ替え引っ替えしながらいろいろな自転車の乗り味を試すことができる。
こういった催しはほかにもあるが、僕は山道を使用した試乗の体験はなく、この園内には元々MTBの専用コースがあるのだが、僕はこれまで未踏で前々から気になっていたこのコースの一部を使用することにも興味があったため、今日のMTBの部のほうに参加した。ちなみに、さがみ湖ピクニックランドに行くのは2回目だった。
また、僕が最近野宿面でよくお世話になっている安東浩正氏も所属している、外国での長期の自転車旅を実践する旅の猛者が多く所属するJACC(日本アドベンチャーサイクリストクラブ)も今回は旅の相談を受け付けるブースを設けたということで、(僕はJACCの会員ではないのだが)そこをひやかしに行くことも目的のひとつとしてあった。

今朝は6時起きで家を出てJRを乗り継ぎ、JR相模湖駅から会場に徒歩で向かう。実は駅からさがみ湖ピクニックランドへの車道の移動よりも、園内に入ってから今日の催しの中心地である総合グランドに行くまでの高低差が激しくてやや狭いほぼ未舗装路の道のりが大変で、相模湖を眺めたり朝食を摂ったりなどのちょっとした寄り道を含めると、駅から約1時間30分ほどかかった。
今日の400人ほどの試乗参加者の大半はクルマ利用で会場に訪れていて、また分解自転車を相模湖駅まで輪行して、そこで自転車を組み立ててから乗って会場まで自走してきた人も数十人いたが、住まいから電車と徒歩のみで会場に到達したのは僕だけではないかと思う。まあこれは、人力移動派の僕としては人力手段である自転車の催しの会場にある種わがままな動力であるクルマで乗りつけることにちょっとした違和感があるため(それに運転免許も持っていないし)、日頃の運動不足解消の意味もあって好きで歩いているからべつにいいんだけど。

会場ではまず「エントリーシート」というつまりは誓約書を書いて受付を済ませて(催し自体は無料だが、園内に入るさいに入園料1400円を支払う必要がある。これを半額にする方法もある)、登録番号が書かれたタグを手首に巻き付けてもらう。僕は162番だった。そして各ブースに行って自分の乗りたい自転車を受付の人に言って、この番号を伝えれば借りられるので、あとは興味のある自転車を借りて、1周数百mのコースをひたすら周回して、終わったらブースに返却して、の繰り返し。
コースは山道では初級者用と中級者用、あとは平地に児童向けのコースもあり、これらを自由に選択して、とにかく走る。僕も10時頃から16時頃まで時折休憩を挟んだり特設ステージで随時行なわれているイベントを見たりしながら乗りまくり、正確には数えていないがおそらく25台以上の自転車に乗った。

今回設定されたコースの印象としては、やや短めの初級者コースは技術的には普段そこそこ自転車に乗り慣れていれば問題ないはず。ただ、昼12時前後の人が特に増えた時間帯はちょっとした登り坂の手前で渋滞が発生したりもしたが、数十mおきに配置されている監視員が指示して、自転車同士の接触による大事故はなかった模様。
また、起伏の激しい中級者コースは初級者コースと分岐してからの登り坂がきつく、僕はフレームがカーボン製、駆動系がシマノのXTRでリヤは9段変速、タイヤがチューブレスのような最新鋭のものに乗っても(このへんの固有名詞はわかる人にはわかる。とにかく高級品)、足を一度も地面に着けずに行く「完全乗車」によるコースの全走破はできなかった。これは日頃の運動不足の問題だな。まずは痩せないといかんね。まさに「豚に真珠」状態である。

まあそれでも普段はなかなか乗る機会のないディスクブレーキを採用してたぶん幅は2.35インチほどの極太タイヤを履いた、価格にすると30万円とか40万円とかするようなダウンヒル用高級MTBなんかにもタダで乗ることができ(フレームがクロモリよりもチタンよりも強力で軽いカーボン製だと50万円以上するものもある)、ご機嫌な1日であった。普段は価格にすると5万円程度のカンチブレーキに安物タイヤを使用し、リヤは7段変速の10年遅れの低性能自転車に普段慣れ親しんでいるというか親しまざるを得ない経済事情を抱える僕にとっては、目からウロコものの良い経験であった。
ただ現実的には、こんな高性能ゆえの高価な自転車に手を出すことは今後もなさそうだ。それに僕のMTBの利用目的は主に旅での長距離走行だし。でも、こういった純粋にマウンテンバイクという言葉の和訳どおりの野山を駆ける遊びもあることを改めて実感できただけでも来た甲斐があった。野遊びは使う道具によっていかようにも楽しみ方の幅を広げることができるのだなあ。

天気は朝からよく晴れていて、午前中は自転車に乗っていると汗をかなりかいたが、午後になると風が強まって砂埃が舞い、試乗参加者もブースの出展者も目をやられたりしてちょっと大変だったが(17日は気温が低くてかなり寒かったのだそうだ)、まあ今日に関しては自転車遊びにそこそこ適した春らしい気候のなか、日頃の運動不足がいくらかは解消されたかな、というくらいに楽しみながら良い汗をかくことができた。ただ、明日以降の特に太ももの筋肉痛が心配ではある。

それと、JACCのブースでは地平線会議に出入りしている顔見知りの方も多くいて(安東氏や数々の自転車旅本で知られるのぐちやすお氏のように、JACCと地平線会議の活動を兼務している人も結構いる)、今回2日間とも旅の講演会のようなものを行なった、5月以降に中国・チベット方面への旅に出る予定のシール・エミコ、スティーブ・シール夫妻と記念撮影したりブースの片付けを手伝ったりしながら、17時前になんとなく解散していった。帰りも行きと同様に徒歩で駅まで帰るつもりだったが、途中で知人のクルマに拾われ、結局は駅まで送ってもらった。

この催しの他者目線からの詳細は、「アウトドアバイクデモ2007」のウェブサイト、CYCLE SPORTS誌のウェブサイト内(左のブックマークからも入れますよ)にあるシール・エミコ氏のブログ、そしてCYCLE SPORTS誌の07年5月号でも報告記事が掲載されるだろうから、そちらも参考に。この催し、来年以降も定着するかな。するといいな。



相模湖。JR相模湖駅から徒歩12分ほどでこのような景色に出合える。釣り船の営業も行なっている。湖では定番のブラックバスが多いらしい。朝はこのように晴れ渡ってはいたが、風がちょっと冷たかった。



さがみ湖ピクニックランドの遊戯施設の近くにちょっとした梅林のようなところがあった。梅は咲いたか、桜は……、まだだった。僕個人的には白梅よりも紅梅のほうが好き。



さがみ湖ピクニックランドの入口からさらに20分以上かけて歩いて(坂を下ったり上ったり)、今回の主会場である総合グランドに辿り着く。9時台からこのような賑わいになっていた。



受付でエントリーシートを提出して登録すると、このようなタグを手首に巻き付けられる。このように番号で管理されるこの方法はなんかちょっと……、牛や羊じゃあるまいし、と違和感のある方もいたかと思うが、各ブースでの自転車の受け渡しや、午後に行なわれた豪華? 賞品が当たる抽選会で当選者を探すときにも、この番号で管理したほうが事の流れは進みやすかったから、まあいいか。



初級者コースでは11時すぎからこのように渋滞が発生したが、コース全体の流れはおおむね良好だった。坂の手前から変速を軽めにしてペダルを強く漕ぐ、というちょっとした準備ができていればなんのことはなく越えられる上り坂ではあるが、MTBに乗り慣れていない(これからMTBを買うかもしれない)人も多々見受けられたから、ある程度乗り慣れている人はまあそこは我慢しておおらかに対処したいものだ。自転車人口増加のためにも。



初級者コースの最後の下り。自転車に乗る場合はヘルメットと手袋の着用が義務付けられていたのだが、コース上では轍が細かったり凸凹があったりして通りにくい箇所もいくつかあり(まあこの箇所の易しい難しいの感じ方はMTBの経験値にもよるが)、あまり乗り慣れていない人はちょっと大変だったかと思う。頭のほうからコケていた人もいたから。



昼頃にステージ付近で行なわれた、有薗啓剛氏のMTBパフォーマンスショーの一部。MTBトライアルの分野では世界レベルの実力を持ち、最近は舞台「マッスルミュージカル」にも出演しているのだそうだ。名前だけはちらっと聞いたことがあるが、彼の、ハンドルバーほどの高さのテープをMTBで跳躍して越えたりという実際の技はたしかに凄い。ウイリー(前輪を浮かせる技)やジャックナイフ(後輪を浮かせる技)もおぼつかないヘタレ自転車乗りの僕としては(まあそういった技は日常でも非日常でも使う機会はほとんどないのだが)、彼の乗りこなしは素晴らしい、の一言であった。



各ブースが並んでいるところの奥に、子ども向けの1周100mほどの周回コースが設定されていた。シクロクロスや遊び用の極太タイヤの自転車に乗っていた人もいた。
ちなみに、写真左の青色屋根のテントがJACCのブースで、その右の緑色屋根のテントが『CYCLE SPORTS』のブース。JACCのほうは安東さんによると、相談者はあまり来なかったのだそうだ。余暇の遊びのための自転車探し、という意味合いが強い催しだから、人生懸けて世界を旅します、という感じの本格派の旅人はちょっと来にくい場所だったかな(それだったら東京都内で毎月行なわれるJACCの例会に出席したほうがためになるかも)。でも、GIANTの思いっきり旅仕様の自転車「GREAT JOURNEY 2」を駆ってこれから世界一周を目指す、という若者がひとり来ていた。



ステージでは14時頃に、最近はテレビ『NEWS23』などの各種媒体でもよく取り上げられているシール・エミコ、スティーブ・シール夫妻による講演会を行なっていた。というか題目上は今度の旅に向けての壮行会、ということになっていた。キャノンデールの青色のMTBに桃色のサドル(こういうモノを作っているメーカーがあるのだそうだ)がチャームポイント。ちなみにこの聴衆のほうに、(夫妻とも地平線会議つながりで関係の深い)僕の最近の野宿仲間が数人写り込んでいたりする。



中級者コースの一部。15時頃になると帰り支度をする人が増えるためか午前よりは試乗者はかなり減り、コースをほぼ独占状態で楽しめる。ただ、そこで調子に乗って下り坂で速度を自分の実力以上に上げるとちょっとヤバイし、試乗しまくったこの時間になると足腰もかなりへたってきているから、明日以降のことも考えて程々にしておいた。
催しのない通常時も、コース使用料大人1000円を支払えばコースは利用できるので(レンタルMTB1日2000円、レンタルヘルメット500円)、また今度乗りに来ようと思う。

「2006東京国際自転車展」に行ってきた

2006-11-18 00:10:19 | 自転車

昨日の午後、東京都江東区有明の東京ビッグサイトの西1・2ホールで17日から19日までの週末に開催されている自転車関連の催しである「2006東京国際自転車展」に行ってきた。

僕は毎年11月前半に開催され、主に次の年に発売される自転車および関連商品の展示会であるこの催しには旅に出ていない限りは10年ほど前からほぼ毎年行っていて、毎年各メーカーから発表される新商品の数々にじかに触れながら、「これ、欲しいよなあ~」と毎回よだれを垂らしながら見物している。今回も気になる商品がいくつかあり、金銭的にもし余裕があればぜひ欲しいよな、と現状ではかなり無理のある欲望を露呈した。

ただ、今回は会場入りした矢先から昨年までとは少し雰囲気が違うよなあ、と思った。と言うのも、出展している会社の数が例年の3分の2ほどに減っていて、規模が縮小されていたことだ。パナソニック、ミヤタ、ブリヂストン、キャットアイ、シマノなどの国内メーカー・ブランドのブースは例年どおりに賑わっているが、どうやら、外国、特に欧米のメーカー(を輸入販売している会社)やブースがなくなり、キャノンデール、ジャイアント、トレック、コルナゴ、ルイガノなどの有名どころのブランドは自転車のみの展示に一部切り替えていたりしたためのようだ。最近、健康面や環境問題への関心の高まりなどの影響によって自転車を見直す動きが全国的に見られてきてはいるが、実際に自転車を作る、売る、のほうのメーカー側の動きはそんな時流とは反比例して芳しくないのかね、まだまだ景気回復とはいかないのね、と気になった。自転車好きとしてはちょっと寂しい。
が、訪れる客のほうは催しの初日の平日にもかかわらず、今年は室外から室内に移行した各種自転車の試乗コーナーには多く集まっていたり、写真を撮りまくっていたり、その熱気は例年と同様のものを感じることができた。でも平日だけに、出展社の関係者である背広姿の人が多く、昨日は一般客向けの展示会と言うよりは、背広同士の人たちの名刺交換会および商談の場という雰囲気のほうがやや強かった。一般客が増えて会場がより盛り上がるのはやはり土日だな。

そんなふうに毎回よだれを垂らしながら訪れているこの催しを受けて近年、カネはないくせに最近新車の購入を検討している僕としては、最近気になるブランドに「フジサイクル」がある。富士山のマークが目印のこのブランドは、元々は名前のとおり元々は戦前に日本で誕生したのだが(最近も旅先で、少々寂れてはいるけれども細々と続いている地域の自転車店でこのマークをたまに見かける)、戦後に生産体制がアメリカに渡り、アメリカ的なMTBやロードレーサーの製造技術を注入され、デザインも洗練され、近年、日本にお手頃価格で“逆輸入”というか里帰りし始めてきた。

最近のこの東京国際自転車展や、千葉県・幕張メッセでこれまた11月に開催される「サイクルモード」という自転車の催しのほうでもフジサイクルは出展していて、昨年に幕張の後者のほうを観に行ったときにこのブランドの自転車をいくつか試乗できて、好感触を得た。それ以降、ずっと興味を持ち続けている。
まあこれは、僕が単純に日本生まれの製品が好き(現在はブリヂストンサイクルの自転車に乗っているように)、マークにしている富士山という山が好き、そして僕の名字の「藤本」の「藤」と「フジ」の語感が揃っている、というふうに無理矢理に共通項を見出したからなのだが、そんなことから、もしまとまった現金が今あれば即このブランドの自転車に手を出すかもしれない。今回も定価7、8万円ほどのロードレーサーのようなクロスバイクのような新車が展示されていて、現在旅用に乗っているフラットバーのMTBを差し置いて、「そろそろ、ドロップハンドルにも手を出そうかなあ~」と勝手に悩み、とにかくその自転車たちに終始首ったけであった。こういう一方的な感情を「恋」と呼ぶのだろうか(恋する対象が「異性」ではなく「自転車」と微妙にずれている気はするけど)。

あと、やや規模縮小の今回の催しでもうひとつ気になったのが、スタンプラリーの規模も縮小されたこと。これはこの会場に何回も足を運んでいる方でないとわからないことだが、例年、会場内の任意の場所にスタンプを5か所設置して、来場者がそれをすべて集めると、抽選で(福引でよく使われるガラガラ回すやつね)いろんな景品が当たる、ということも行なっているのだが、このスタンプの設置箇所が5か所から4か所に減っていた(その理由は、試乗コーナーを今年は屋内に設定したため)。一般的にはどうってことのない措置なのだろうが、この催しにほぼ毎年訪れている僕としては、冒頭でも触れたように、出展社が減っているということは自転車製造業の勢いが全体的にやや弱まっているのかな? と昨年までと今年のこの微妙な変化というのはやはり気になる。
ただこれは、昨年行った(今年は行かなかった)幕張のサイクルモードのほうが有明よりも会場面積を広く取れてそのぶん集客も見込めるから、各出展社が有明のこの催しよりも幕張のほうに徐々に移行している影響もあるかもしれない。実際、昨年も有明には出展していなかったけれども幕張には出展している、というメーカー・ブランドもいくつかあった。やはりこれは、気になった自転車を即試乗できるということが強みになっていると思う。

10年近く有明のこの催しを見続けてきたが、そろそろこの催し自体が転換期を迎えているのかもしれない、とややしんみりした面持ちで会場をあとにした。でも、自転車自体の市場規模が縮小したというわけではないだろうから、催し自体はしばらくは続くだろうし、環境面などのいろいろな要因から自転車乗りのへの認知度も今後はより高まってくると思うけど。
最近、街なかでもたすきがけのメッセンジャーバッグを肩に掛けて自転車に乗ったり、ピチピチのレーサージャージやパンツを着たり穿いたりして、右足の裾に生地とチェーンリングが接触しないためのバンドを巻いたり右足だけまくり上げたりしている玄人はだしの自転車乗りを見かける機会が年々増えてきた。こうして自転車に理解のある人、つまり僕にとっての「味方」が増えてきたことは良い傾向ではある。
ただし、自分の自転車や服装・格好にばかり気を遣ってないで、信号の遵守、日没後の灯火、車道の左側通行、緊急避難的に車道から歩道に乗り上げるときの徐行と歩行者保護、交差点の二段階右折のような「車両」の一種としての自転車走行の基本はきちんと行なうように。多くの自転車乗りの信用にもかかわってくる大事なことだから。

当たり前だが「軽車両」の自転車の交通違反も厳罰

2006-06-20 22:40:44 | 自転車

上の写真の、自転車の交通への注意を促す文言は2006年6月18日に埼玉スタジアム2002に行く前に、JR東川口駅前で見かけた。ちょっと見にくいか。
基本的には自転車も「車両」の一種の「軽車両」であって、そうなると違反行為をすると当然、クルマやオートバイと同等の厳罰が下る。信号無視、車道の右側通行(逆走)、夜間の無灯火運転、酒気帯び運転、歩行者の通行に配慮しない歩道走行、雨中に傘を差しながらの片手運転など、現状ではおそらく大半の自転車乗りがやっているこういう行為も当然違反になる。自転車が「軽車両」であることを知らない人が多すぎるんだよなあ。真っ当に乗っている人からするとものすごく迷惑。

あと最近多く見かけるのが、携帯電話を使用しながら運転している輩。これも思いっきり迷惑だよね。メールを打つときに画面を凝視するために低速走行になって車体が左右にふらついて、対向する歩行者にとっても、追い越しをするクルマや自転車にとっても危ない。特に歩道を走っているときにこれをやられるとホントに困る。僕も今年に入ってから歩道を歩いているときに4、5回、こういう携帯電話中毒者の運転する自転車に真正面から突っ込まれて痛い目に遭っている。しかもそういうやつらに限って、前方不注意でぶつかったことを謝らずに、石につまづいたり看板か何かの障害物にぶつかったのと同様に、何事もなかったかという涼しい顔で逃げ去ってしまうのが腹が立つ。これって、れっきとした「ひき逃げ」で刑事罰の対象になると思うのだが、歩行者対自転車のこういう事例は厳しく取り締まれないもんなのかね。自転車ではクルマの事故のような大惨事にはならないから、いちいち取り締まっていると面倒、ということで放っておかれているのかね。ふつうに歩道を歩いているだけなのにこういう痛い目に遭う、正直者がバカを見るのはおかしい、というか悲しい。いつからこんなふうに他人を軽視する世の中になったのかね、と道路上でヘンな自転車乗りに出くわすたびにいつも思う。
自転車による事故ももっと厳罰にすべきで、罰金刑であれば50万円以上、禁固刑であれば執行猶予なしで1年以上の期間を設けたうえで、道路上ではもっと緊張感を持たせるべきである、と思っている。僕のように交通法規遵守で乗っている多くの真っ当な自転車乗りにも悪印象がついてしまう、こんな愚行はやめていただきい。
そんなアホ自転車乗りに対しては、2006年4月15日の投稿でも触れた“馬場キック”のようなやや激しい対応で防御してから注意を促すしか現状では良い対処法が思い浮かばないのよね。何か妙案はないものかね。

今月から施行された改正道路交通法ではクルマの違法駐車の取り締まりの様子が目立っているが、それとともに警察官が自転車を呼び止めて職務質問というか注意している光景も以前よりもよく見かけるようになった。ホントに交通違反者を取り締まっているのか盗難自転車かと疑っているのか、警察官のただの点数稼ぎなのかはパッと見ではわかりにくいが、自転車に乗るさいも緊張感を持つべきだ、という意味では、違法駐車の取り締まりを民間に委託して警らなどのほかの活動にいくらか時間を割けるようになった警察官による注意行為の機会が増えて自転車のふざけた運転への抑止効果がより上がることは、自転車乗りの良識を正すうえで少しは良い傾向なのかもしれない。
最近は道路交通法の改正による駐車違反の取り締まり強化についての批判的な意見は相次いでいるが、クルマや自転車などの乗り物以外の交通、つまり歩行者の立場からすると、取り締まりの強化によっておかしな運転者たちの運転や駐停車への抑止効果が高まることは歓迎すべきことである、と思う。

多摩川経由羽田空港行きの自転車行

2006-03-05 23:50:48 | 自転車
2006年3月5日、東京都大田区の多摩川緑地。河川敷で野球やサッカーなどを楽しんでいる人も多いが、サイクリングコースを走る自転車も多い。おおよその印象では、1分間に2、3台くらいは通過していた。


今日は大学時代のワンゲルの後輩と合計4人で、東京都府中市の是政橋から多摩川沿いにあるサイクリングロードを走り、東京国際空港(羽田空港)ヘ行った。
実はこの催しは2004年から、大学時代に所属していたワンゲルでは登山が主な活動だったのだが、それ以外にも自転車と自転車旅が好きな者が数人集まって、毎年数回、不定期で開催している。
これまでのMTBによる自転車旅では毎回ひとりで走ってきた僕としては、複数人で走ることは結構新鮮なことで、毎回楽しみにしている。

で、いつもは是政橋から多摩川サイクリングロード(通称“タマサイ”)を利用して西の多摩川上流のほうに向かって遡り、八王子市の高尾山麓や羽村市の羽村堰、東大和市の多摩湖や埼玉県所沢市の山口貯水池に行ったり、そこから玉川上水や多摩湖自転車道周辺を走ることが多いのだが、今回は普段あまり行く機会がない下流域も見てみたいということで、登戸、二子玉川、六郷を経由して、さらには東京モノレール沿いの都道311号を通って、羽田空港まで行ってみた。
休日の多摩川沿いの河川敷では野球、サッカー、アメリカンフットボールなどの練習や試合を楽しんでいる人やそれを見物する人(余暇の趣味や遊びというレベルではない真剣勝負をしている人もいるか)、土手の舗装されたサイクリングコースをランニングや自転車(主にロードレーサー)の練習というか訓練、それに複数人でのウオーキングやピクニックという感じの散策、犬の散歩で往来する地元の人など、とにかく多くの人で賑わい、みんなが快晴の青空の下で健全な春の休日を楽しんでいた。天気予報の予想気温では12℃らしかったが、体感では16℃以上あったのではないかと思うくらい暖かかった。サイクリングコースの通行人の少ない場所で自転車のペダルを漕ぐさいに少し力を入れて25km/hくらい飛ばすと背中のあたりが汗ばんだりもして、まあ身体を動かして運動するにはもってこいの1日であった。ただ、花粉症持ちの僕としてはこの時期の屋外は目と鼻のあたりがちょっと辛いけど。
実は、いつも行く多摩川上流を今回敬遠したのは、上流に行くということはスギ林が多い奥多摩の山に近づくため(河川敷からは山の稜線もよく見渡せる)、スギ花粉の大量生産地に行くことは花粉症持ちにとっては自滅行為であるため、行くのは避けたかったから。

自転車で羽田空港に行くには、クルマの交通量は多いし(特にバス)、合流・分岐部分をクルマの通行するタイミングを見計らって通過するのがやや面倒なのだが、トンネルなどで一時的に歩道を活用しながら一応行くことはできる。僕個人的には4年前にも一度通行したことがあって行き方はわかっていたのだが、2回目の今回もそれらが面倒だな、と思ったし、やはり空港周辺の道路というものはあくまでクルマ主導で造られているのだな、と改めて感じた。
その証拠に、空港に着いて4台の自転車を停めるための駐輪場を探したのだが、なかった。
そこで、第1ターミナルの立体駐車場にあった自動二輪車の駐車スペースに、係員に一言断ってから置かせてもらった。公共の建造物であればふつうは駐輪場もあるものだが、羽田空港くらい大きな建物になると難しいか。ましてや海上に人工的に造った長崎空港や関西国際空港、それに先月に開業した神戸空港のようなところでは、空港島と本土を結ぶ道路(主に高速道路?)と鉄道を造ることが優先され、ふつうの道路行政と同様に自転車や歩行者まで手が回らないのだろう。
まあ空港利用者の大半は自家用車や民間の路線バスや主要ホテル直通のリムジンバス、各種鉄道を利用して訪れるからそうなるのも無理はないが、北海道や沖縄県の空港のように徒歩や自転車でも気軽に足を運べる空港がもっとあってもよいと思う。これは最近の道路行政にも言えることだが、クルマをあえて積極的に利用しない人も世の中には少数ながらいるのだから、すべての移動手段が公平に利用できる道造りを行なうべきである。クルマの交通にばかり力とお金をかけてそれに偏るのは不公平なんだよ。
でもまあ、空港に着いてしまえばそんな憂慮も一時は忘れて展望デッキからの飛行機の離着陸風景を楽しむことができて、疲れも吹っ飛んだ。ちなみに、展望デッキは今回は第2ターミナルのほうに行った。旧来の第1のほうは過去に何回も行っているのだが、2004年末に開業したこちらのほうにはまだ訪れたことがなかったので、より楽しめた。休日ということもあって見物客も老若男女多く、飛行機を撮影するために長時間陣取っている、一眼レフカメラに(おそらく300mm以上の)望遠レンズを装備したカメラ小僧もたくさんいたな。

ただ、このツーリングで僕個人的にひとつ残念というか情けなかったのは、空港からの帰路途中、東京都大田区の弁天橋手前で段差を降りるのを失敗して転倒・落車していまい、その衝撃で衣服に穴が開き、腕にも擦り傷ができてしまった。またそのさい、フロントホイール(アラヤ、VP-20・36H)のリムも少し曲がってしまった。これまでにも段差の乗り越しに失敗したりなどの自分の不注意で転倒したり、僕が交差点を直進中に強引に右左折してきたクルマにぶつけられたりして自転車とホイール(と僕の全身)に強い衝撃が加わって痛んだことは20回近くあるのだが、それでもホイールが曲がるなんてことは一度もなく、かなりの信頼を置いていたものだったので、今回の一件にはいつも以上に驚いたし落胆もした。まあこのホイールで10年以上乗り込んでいて、ハンドルに常に装着しているキャットアイのサイクロコンピュータ(CC-CL200)を見ると、このMTBでの走行距離も今回のサイクリングでちょうど1万kmを超え(ボタン電池が切れる間近や寒いときは作動しないこともあるので、ホントはもっと走っている)、リムのブレーキパッドの当たる部分もかなり擦り減っていて、そろそろ交換したほうがいいよな、と2、3週間ほど前からちょうど検討していたところだったので、結果的には交換するための良い口実になった。ニップルを回して振れ取りをすればまだなんとか走れるが、これに関しては素人が調節するにはちょっと恐いな。それに曲がっているから直進では速度を上げられないし。20km/h出せるかどうか、というくらいの状態になってしまった。ホイールを交換するまでは長短問わず旅には使えそうにない。

でもまあ、落車の一件を除けば今日のツーリングは全体的には楽しかった。寒い冬場はどうしても自転車から遠ざかってしまうのだが、久々に長距離を走って、ようやく春が訪れたな、と思った。それにこれで羽村堰から多摩川河口、つまり東京湾まで自転車の轍をつなげることもできて、そこそこは有意義な一日であった。

自転車話の前に、その実績の話

2006-02-11 10:52:31 | 自転車
2005年11月26日、埼玉県さいたま市にある埼玉スタジアム2002の駐輪場前。年に1、2回、浦和レッズの試合を観るためにここまで自転車で走っている。慣れてきた最近は自宅から片道約1時間30分で行ける。


登山と同様に、このブログのカテゴリのひとつとして「自転車」という言葉を設けてこれについて書いていく前に、僕の過去から現在、そして未来への自転車への思い入れとこれまでの自転車利用の実績などについて記してみる。

●自転車に乗るという宿命

僕は徒歩による旅や登山とともに、普段の生活で自転車に乗って走り、さらにはそれで長距離を泊まり渡りながら旅することも好んでいる。
幼い頃に自転車に乗れるようになって、年を経るにつれて自転車を乗り込むにつれて徐々に隣の市区や都県へと遠出できるようになって、グイグイと自分の行動範囲が広がっていって、自分の知っている場所というか「人力」という自分の力で行ける場所がどんどん広がって、その土地がタイヤを転がすことによって自分の地元と地続きになっていることを確認しながら様々な土地の実情を知っていくことによって知識が深まっていくような感覚がたまらない。この喜びは自転車に乗り始めた幼い頃も、旅で自転車を活用するようになった現在も変わらない。

僕が自転車に乗る練習を自宅の近所の小道で数回繰り返して、後輪に付ける補助輪を外して2輪でふつうに乗れるようになったのは小学1年生、つまり6歳の頃だったのだが(一般的にはやや遅いほうか?)、それ以降、日用品の買い物に、通勤通学に、近場のサイクリングやキャンプに、などなど、あらゆる移動で自転車を活用することになり、現在も家族全員、おそらく自転車の設計当初の耐用年数以上の期間・距離を走りまくり、フル活用している(※1)。
また、自己紹介でも少し書いたが、ドアトゥドアの移動ができて何かと便利ではあるが地球環境的にはかなりの負荷がかかり、しかも維持費や税金もバカにならない、さらには動かさないときは置き場所の幅を取るうえにただの大きな鉄の塊に成り下がる、動力によるクルマという乗り物に頼らない生活を送っている僕の家庭では、自転車は人一倍重要な移動手段であり、自転車に乗ることが義務というか宿命になっていると言っても過言ではないくらい、それこそタイヤのパンク修理なんて1台当たり数十回はやっているくらい、自転車を乗り倒している。10kgの米袋や18リットルの灯油入りのポリタンクや配送扱いせずに手持ちできる電化製品などの大きくてかさばるモノも自転車でガンガン運び、片道10km以上の遠出なんて当たり前のようにやっている。自転車がない生活なんて考えられない! というくらい、日常の生活を営むさいに多くの一般家庭では重要視されているクルマなんかよりも数段、僕は自転車という乗り物を愛している。

●自転車による旅の実績(日本縦断など)

日常ではそんなふうに自転車を重用しているが、さらに僕の場合は大学生頃からは旅にも自転車を活用するようになった。ただ、全国各地の観光地でよく設けているレンタサイクルだけに頼るのでは話にならないし、普段使いの軽快自転車、いわゆる“ママチャリ”で長距離を走るにもサドルが低い位置にあるために膝を痛めやすくてやや辛いので、1995年に旅専用のMTB(マウンテンバイク)を買い、それ以降はリアキャリアを付けて、走行速度・距離がわかるサイクロコンピュータを据え付けて、キャンプするための大量の荷物を詰め込むためのサイドバッグも買って、と旅するごとに徐々に装備を充実させていった。また、パンク修理、タイヤ交換、ブレーキパッド・ワイヤーの交換、チェーンの接続、それに自転車を解体して公共交通機関で運ぶ「輪行」などの自転車旅に必要な整備の知識を、自転車専門誌や自転車メンテナンスの技術書や僕よりも昔に水平移動の自転車旅を敢行した先達の旅行記を熟読することによって蓄えて、さらには垂直移動の登山で得た知識・知恵も流用したりして、独学で自分なりのやり方を構築し、成長を遂げてきた。
自転車旅をするうえで、のぐちやすお、九里徳泰、待井剛あたりの著書や雑誌記事をよく参考にしていた。最近も、安東浩正、坂本達、石田ゆうすけあたりの旅の経験に注目し、参考にさせてもらっている。まあ現在も技術的にはまだまだ発展途上している最中で、頭のなかで思い描いている自転車旅をするさいの理想の格好に近づけるように、日々努めている。
自転車を買うさいにMTBを選択したのは、これに標準装備されているブーロックパターンタイヤを見ればわかるように、元々は山道や林道の土や不揃いの石の上をを走るために開発されたものだが、タイヤを未舗装路用のそれよりも表面がツルツルになって路面抵抗がないスリックタイヤにも交換でき、しかもタイヤの太さも数種類の選択肢があり、自分の走り方に合わせてタイヤを変更できる幅広さが魅力。国内外の舗装路で競う各種自転車レースでよく見られるロードレーサーほどではないが、それに近い細さの、それこそママチャリよりも細めのタイヤを履いてそれよりも速く走ることも可能である。だから、舗装路でも問題なく走れる。また、元々山向きに設計されているということは、不整地での転倒などを想定してフレームなどは頑丈な造りになっているために長持ちするだろう、という耐久性も大きな決め手となった。

で、旅での具体的な自転車の利用実績だが、特筆できるところでは一応、数回に分割しているが日本縦断している。その結果を以下に挙げておく。

1996年3月     JR大阪駅→東京都・日本橋            650km
1996年9月     JR青森駅→東京都・日本橋            780km
1999年10月    JR青森駅→大間崎                 140km
1999年11月    北海道・白神岬→宗谷岬              860km
1999年11~12月  JR大阪駅→JR博多駅              680km
2002年4月     沖縄本島・石垣島・与那国島・波照間島一周   650km
2002年10~11月  JR博多駅→鹿児島県・佐多岬(田尻)      680km
            ★田尻集落→佐多岬の突端までは海岸沿いを徒歩

日本縦断は今度、時間があればこれまでの細切れではなく一気に走破してみようとも考えているが、最近は旅専用のMTBのあちこちにガタがき始めているので、これで再び走りきるにはちと辛いかも、とやや迷っている。部品をすべて新品に交換して完全修理するか、新車(僕にとっては3台目の旅専用自転車)を買うかしていつかはやってみたいけど。
自転車で一気に日本縦断した人は結構いるだろうから、自転車を相当乗り込んでいる、それこそ日本一周や世界一周のような大がかりな旅や各種自転車レースの上位入賞を経験している上級者からすると僕のようなこぢんまりとした分割での日本縦断なんてたいしたことはねぇぜ! と言う人もいるだろうが、僕の場合は起点から終点をただ走りきるだけでなく、血眼になって早めに結果を求めるよりもその一回ごとの過程を、つまり寄り道を大事にしているため、ペースが遅くなるのは仕方ないことだと思っているし、ゆっくりめのペースで良い意味でわがままに進むことが楽しいのだからまあよい。
MTBに比べると速度は段違いに速くて走行距離もより延びる、細身のタイヤを履いたロードレーサーで一日に数百km激走し、自分の体力・精神力の限界に挑むようなスポーツ的な走り方は僕個人的には嫌いなので、あくまでマイペースを貫く。まあそういう楽しみ方もあることは知っているし否定もしないが、様々な物事を見に行くべき旅としてはそんな淡白な走り方は何か物足りない気がする。ただ単に速さを求めるのであれば、毎年各地で実施されている各種ロードレースやヒルクライム(坂上り)、静岡県・富士や茨城県・筑波などの自動車・オートバイ専用サーキットで毎年行なわれる耐久レースのような大きなイベントに出場したり、それ以前に動力で走るクルマやオートバイでやればいいじゃん、とも思う。
日本縦断の他にも、これを本線としてここから枝分かれするようなルート選択で、一回の走行距離は本線よりも短いものだか全国各地に轍を刻み、その範囲を徐々に広げていくような遊びもやっている。例えば、北海道・納沙布岬→JR網走駅、長野県・JR松本駅→東京都・日本橋、広島県・JR尾道駅→愛媛県・JR今治駅(瀬戸内しまなみ海道)など。
今後も自転車という100パーセント人力の移動手段による力で全国各地の道路を隅々まで網羅していきたいという欲はある。

●自転車での走行距離と、良くも悪くもその経験

これまでに、現在使用しているMTBで旅として走った距離を簡単に計算してみると、8000km以上は走っていることになる(2台目のみの積算距離。それ以前に使用していた1台目だけでも約3000km走っている)。また、たまにママチャリがタイヤのパンクや大雨などで駐輪場に取りに行きそびれたなどの理由で使えないときや、僕の地元から埼玉県で言うと川越、大宮、浦和、所沢へ、東京都で言うと池袋、吉祥寺、立川などへ、日帰りで往復するちょっとした遠出にもしょっちゅう利用しているので、それを含めると軽く1万km以上は走っているな。まあ日常のママチャリのほうのみで考えると、近所の買い回りや市役所などへの公的な手続きや通勤通学時の自宅と最寄の鉄道駅との往復などの、自転車に乗り始めた6歳から三十路に突入した現在までの24年間すべての走行距離を合算すると、おそらくこの10倍近い距離は走っているだろう。
この走行距離をもし自分たちで(家族で)クルマを所有して走っていたら、どのくらいの量の二酸化炭素や有害物質を大気に排出していたことになるんだろう? と最近よく思うのだが、それを考えると地球環境的にはそんなに悪いことはしていないよな!(※2) という自負は当然ある。もちろん今後もこんなことを常に頭の片隅に置いておいていちいち気にしながら、上半身で自転車のハンドルを握って身体を支えて、下半身でペダルを漕ぎ進められる体力があるうちは、移動するさいはこれまでと同様にクルマのような動力頼みの乗り物には安易に頼らずに人力の自転車に乗り続けるつもりだ。
この数字が大きいか小さいかは人それぞれ見方が分かれるだろうが、これって世間一般ではどの程度のレベルにあるのだろう? そこそこは走ってきていて、このくらいの経験があれば現代の自転車絡みの道路交通や自転車を取り巻く事情についてあれこれ物申してもいいよな、という自負もあるんだけど。

ちなみに、上記のカッコ書きで1台目、2台目と記しているのは、僕が最初に旅専用のMTBを買ったのは1995年7月だったのだが、実はその4か月後の11月に1台目を地元の駅前駐輪場でワイヤー製の鍵をかけていたのにもかかわらず盗難に遭っている。それに掛けていた保険で2台目を買い(ブリヂストン・マッドロック)、1996年1月からはその2台目を使用している。それ以降はこれが僕の愛車となり、上記の日本縦断を含めたこれまでの旅はすべてこの1台でこなしている。2台目のほうは現在までなんとか一度も盗まれずに済んでいる。きちんと駐輪場に置いていたとしてもサドルやフレームに傷をつけられることはよくあるけど。
なお、1995年はMTBのほかに普段使いのママチャリも2台盗まれていて(当然、ふつうに鍵をかけていたのだが)、1年間に自転車を計3台盗まれていた、という僕にとっては厄年のような災難の年であった。ママチャリ1台はこの年の年末に見つかったけど、再び乗るのは辛いよな、というボロボロの状態で返ってきた。まあそれでもある程度は修理して、その後も3年ほど乗り続けたが、再び盗まれてしまい、結局それとは最期まで付き合うことができず、生き別れになってしまった……。
僕は自転車に限らず他人のモノを盗むなんていう非人道的な行為は絶対にやらないのだが、それにしてもなんでこういうことをするのかね、とそういう悪行を平然とやってのけるアホなエセ自転車乗りの存在を度々嘆いている。そんな被害に複数回立て続けに遭うと、
「今日は歩くのがかったるいな~。じゃあ、自転車でも盗るか」
という軽いノリで、その場しのぎのための使い捨て感覚で、自転車の持ち主のことなど何も考えずにためらうことなく僕のそれを盗んだであろう3人? のみならず、過去に一度でも他人の自転車を盗んだことのある輩は自転車に乗る資格はないし、こんな無差別テロのような愚行は現代においては大迷惑な行為なので早急に死んでいただきたい、と人道的には思ってはいけないこともつい思ってしまうよ。僕のような動力による移動手段にはあまり頼りたくない! という気概を持っている人にとっては、自転車は身体の一部と言っても過言ではない大切な家財道具なのだから。


補足

※1 僕の家庭ではクルマを所有していないのだが(まあ他県に住む親戚はふつうに利用しているが)、それがないことによって生活が不自由だなあ、と思ったことは十数年前に自宅の建て替えをするさいに一時的に引っ越しをしたとき以外にはない。まあそのときも元の場所から歩いて行ける距離だったので、荷物の移動は両手で持って歩いたり、ママチャリの前カゴと後方の荷台に積んだり、事前に借りたリヤカーを利用したりして数十回往復することで済ませた。これは、埼玉県でも県南部の比較的栄えた地域に住んでいて、何かと充実している20kmほど南方の東京都にも近く、そうなると鉄道・路線バス網も充実していて、クルマを持つ必要性がこれまでも現在もないためなのだが。
最近も(鉄道以外の)クルマでの移動が必要な場合は、私鉄各社の路線バスや各自治体で導入しているコミュニティバスを利用したり、友人知人のクルマに便乗させてもらえば大概のことは済んでしまう。現代社会においてのクルマの存在は、食料品・日用品の輸送、郵便・宅配便の配送、荷物の移動・運搬などでクルマを利用する労働などで間接的にお世話になっているので完全否定はできないしするつもりもないが、僕のところのようないち家庭のなかでは特に必要不可欠な乗り物というわけではなく、自ら動かす移動手段は自転車で充分なのだ。
兄は労働などでクルマを利用する可能性があるためにクルマの運転免許を取得しているが、両親と僕は取得していない。自動車教習所に通うための25~30万円もの費用がもったいない、それだけのお金があったらどこかに旅に出る費用に充てたいね、と思っていたりする。
両親がクルマを使わずにこれまで生活できたという前例があるから、それだったら今後は僕もそれを使わずに生きていくこともできるだろう、という思いもあるため、現在は運転免許を取得するつもりはない。
クルマが必要不可欠な家財道具となっている他地域に住む方にとってはこんな状況が恵まれているか否かの反応は人それぞれ異なるのだろうが、僕としては現在はクルマがなくても普段の生活は充足しているので、問題ないっす。普段の生活でも旅先でも僕らのこんな暮らし方を話すと、他人から運転免許の取得とクルマを所有することをよく勧められるのだが、強がりではなくホントにそれらがないと辛い、と切迫するような必要性を感じないのよね。
おそらく今後、公共交通機関があまり充実しておらずにそんなに栄えていない他地域に引っ越したとしても、移動はそれでもなんとか細々と運行しているであろう公共交通機関と徒歩と自転車にこだわると思う。だから、旅でもあまり動力頼みのクルマに頼りたくはない、徒歩や自転車のような人力の移動手段にこだわりたい、という考え方を持つことにつながっている。

※2 「良いことをしている」ではなく「そんなに悪いことはしていない」と記したのは、地球環境的には約64億人もの人間がこの惑星のあちこちで生活していることによって、人間が吐く息によって排出される二酸化炭素によっても、微量ではあるが大気にいくらかは負荷をかけているのではないか、と思っているため。
二酸化炭素を排出することを「悪いこと」とすると、地球側の立場に立って考えると、人間が地球上に生きていること自体が悪いこと、つまり地球が今後も存続していくことのマイナス要素ではないか、という人間側の人類の発展とは矛盾した考え方もあると思う。
それに加えて、土地の開発や工業の発達やクルマ・電化製品の利用など加速して人間の便利さを追求した利己的な生活によってさらに二酸化炭素の排出量が追加されると、そのぶん余計に大気に負荷をかけていて“悪いこと度数”はさらに高くなる。それを抑えるために移動はクルマではなく自転車を利用することは、ふつうにクルマを利用するよりは“悪いこと度数”はいくらかは低くなるが、それでも地球上に人間が生きていることと同様に、パッと見は環境に良さそうな自転車に乗るという行為も実はいくらかは「悪いこと」であるとも言える。森林の光合成によって二酸化炭素が吸収されて発生する酸素の量がある程度は保たれていると言っても、基本的には人類が生き延びているだけで地球環境の質は緩やかに悪化し、破滅に向かっているように思う。
つまり、ハイブリッドカーの売れ行きが好調だ、少子化対策だ、資源のリサイクルだ、環境保護活動だ、京都議定書の批准だ、なんだかんだ、と言っている人間もそうでない人間も含めて人類全体が(ほかの動物も含まれるか)、クルマなどの利用で過剰に二酸化炭素を排出していなくても人間が呼吸しているだけでも大気に負荷がかかっているという、そこそこの罪悪感を持ちながら生きていかなければならないのではないか、と僕個人的には思っている。地球環境のことを考える前に、自分の非というか行ないを認めて“悪いこと度数”をできるだけ低くしていくための努力を重ねていくこと、つまり移動はクルマから自転車に転換するような英断を下すことこそ人間が地球上に生きるうえでの最大の義務であり、クルマを無駄に乗り回すなどして人間の欲望を満たすことを先行させた贅沢な生活に浸ることによって排気ガスを大量排出させることは地球住民としての義務違反ではないか、というのが僕の持論。
それにここでは(環境問題を考えるときにわかりやすい)クルマの是非を例えに持ち出したが、それ以外にも普段の生活のなかで考えていくべきことは多々あるよね。