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青空ーすべてはバランス

昆虫が減るとどうなる?part4激減の理由と未来

BBCニュースで衝撃的な記事が掲載されました。
「向こう数十年の間に世界中に生息する昆虫の40%が劇的な減少率で個体数を減らし絶滅していく可能性があることが、最新の調査で明らかになった(豪シドニー大学のフランシスコ・サンチェス・バヨ博士と豪クイーンズ大学のクリス・ウィクホイス博士は、昆虫減少に関する研究論文73編を対象に文献レビューし、分析。 )。」という内容です。
ハチやアリ、カブトムシなどは、急速に減少している。その一方で、イエバエやゴキブリといった一部の種は数を増やしているという。
この記事では、その理由として、集中的な農業や殺虫剤、気候変動などを挙げています。

この記事を読んで、日本の事を思い浮かべてみました。
高度経済成長の頃、農薬を大量に使い、お米や野菜をたくさん作って、急成長する日本社会の食を支えてきましたが、一方で農薬による健康被害も発生しました。私が中学時代この問題が連日大きく報道されていたのを思い出します。農薬の使用が多少制限され、いつの間にか忘れ去られてしまっていますが、今も農薬を使っていることに違いはありません。野菜等はお湯でよく洗い流した方がいい。

高齢化社会になり、どんどん空き家が増える。空き家はそのまま朽ち果て問題となっていますが、そのうち壊されアスファルトで覆われ、駐車場となる場所も数多くあります。そうです。土の地面が減っています
高齢の家庭では草取りも大変です。手っ取り早く除草剤をまきます。除草剤は管理がままならぬ土地でも大量に使われます。それらは地面に浸み込み草が枯れるけど、地面はその化学物質に昆虫も住めなくなりますし、川に流れ込み海に出ていきます。

最近は里山の再生に取り組んでいる団体も多く、荒れた里山が昆虫であふれ小動物や鳥にあふれて活気づいている所も多いのですが、やはり荒れたままの生態系の循環の少ない死んだような山間部も多い。

最近は町中の川にカワセミが戻ってきて、「いやー!川が綺麗になったのかなー!よかった!」と夢中で写真撮影している人も多い。私もです。でも、よく考えてみたら、山間部も住みにくくなっているのか?とも思える。
よく知られている「メダカ」は絶滅危惧種です。環境省資料では「汽水・淡水魚類レッドリスト144種」の中に入っている。「メダカ見たよ!」という方もいるかと思いますが、「カダヤシ」というメダカに似た北米原産の小魚である可能性が高い。人為的に持ち込まれた「侵略的外来種」です。日本古来のメダカは水質に敏感ですし、化学物質にも敏感でかなり影響されます。

農薬については、このようなことも起こっています。日経新聞2017年8月28日の記事です。
「日本各地の蜂蜜やミツバチ、さなぎが、ネオニコチノイド系農薬に広く汚染されているとの調査結果を、千葉工業大の亀田豊・准教授(環境化学)らのグループが28日までにまとめた。」
東北から沖縄の9都県で集めた73サンプル全てで検出され、蜂蜜では6割超で国の暫定基準を上回ったそうです。
日常生活で食べる量であれば、人の健康にすぐに影響が出るレベルではないと報じられています。日本でも現実に影響が出ています。
農薬によっては48時間でミツバチの半数が死ぬとされる濃度を超えていて、野生のミツバチからも高濃度で検出されています。 
BBCニュースでは、「世界中のハチミツを採集して調査を行った結果、」世界のどことどこの蜂蜜かは分かりませんが、「サンプルの75%からネオニコチノイド系化学物質の痕跡が見つかった・・・」としています。
ネオニコチノイド系農薬は、世界で最も広く使用されている殺虫剤の類です。

農薬の被害ではネオニコチノイド系化学物質が原因であることが分かりましたが、化学肥料はどうでしょう?窒素は作物に大量に使われ、作物の成長に役立ちますが、それをすべて吸収できるわけではなく、吸収されなかった多くの窒素が残り、水系や大気の中で他の物質とのバランスをくずし汚染源となる。

本ブログのpart1で多くの生物種の餌(同じ昆虫類及び他の生物ともに)として重要な役割を果たしていることを理解しました。part3では昆虫種の多くが植物食性種であり、多様性に富んでいることも理解しました。昆虫の多くは植物のおかげで生きのびますが、植物の受粉という生殖活動に欠かせない重要な役割を果たしている。世界の穀物の75%の受粉を助けているという報告もある。腐食性昆虫が土壌の健康を維持している。害虫の数を抑制する役割も果たしている。

人間にとって害となる昆虫を退治したいと思い、化学物質を使うと、害虫だけでなく益虫も殺すことになる。害虫や益虫を食べる昆虫は餌を失い死んでいくことになる。1本の樹木、草花には多様な種の昆虫が同時に食する部分を分けて生きており、それを食べる昆虫もやってくるが、農薬の使用により、それらの昆虫類を無差別に駆除してしまうことになる。

最悪のシナリオは、種の絶滅が他の種の絶滅を呼ぶこと。それは連鎖となる。鳥や小動物も絶滅に追いやられ、肉食哺乳動物も絶滅する。作物が受粉できず、収穫できない。温暖化と共に食糧危機が訪れる。ゴキブリやハエだけが異常に繁殖するかもしれない。

カマキリ先生の香川照之さんもコスタリカに行って、はしゃぎながらも昆虫の異変に気付いていました。

目先の利益や面倒くささを捨て、多くの種と共に生き延びる手立てを考える余裕と困難に立ち向かう信念を持ち、実行できる人類なら最悪のシナリオは避けられる。
part2で考えたことが再び浮かんでくる。「絶滅しかねない厳しい環境になった時、DNAが突然変異して環境に適応するなんてまどろっこしいことはしない。生命を短くリレーすることで、生きていく上でのわずかな環境の変化という経験を新しい命でリレーする。そういうことなのでしょうか? 」ということは昆虫はある程度の絶滅を余儀なくさせられるが、ある地点で新しい生態系を構築していくのかもしれない。むしろ人間の方があぶない?

カマキリ写真はクリエイター
KI-TSUさんによる写真ACからの写真
写真のカブトムシはおもちゃです。

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