「犬たちをおくる日」の中から抜粋して記載します。
著者:今西乃子さんが自ら、犬たちを二酸化炭素で窒息死させるボタンを押しました。
2009年2月19日午後1時20分。
「今西さん、ボタンおされますか?」
愛媛県動物愛護センターで当時係長だった岩崎靖氏の言葉に、私(著者:今西乃子)は迷わず「はい」と答えた。
その日、私が殺したのは30頭の成犬、7匹の小犬、11匹のねこであった。
その死に顔は、人間を恨んでいるようには見えなかった。
彼らはきっと、最期のその瞬間まで、飼い主が迎えに来ると信じて待っていたのだろう。
あの日からずっと、ステンレスの箱の中で死んでいった彼らを思わない日はなかった。
“だれかを嫌いになるより、誰かを信じているほうが幸せだよ”
犬たちの声が聞こえる。
この「命」どうして裏切ることができるのだろうか。