断章、特に経済的なテーマ

暇つぶしに、徒然思うこと。
あと、書き癖をつけようということで。
とりあえず、日銀で公表されている資料を題材に。

11月の金融経済月報が出たけど。。。。

2012-11-21 22:24:10 | 日銀ウオッチ
自民党の総裁である、安倍晋三さんが
これまでのインタゲや金融緩和ばかりでなく、
とうとう国債の日銀による直接購入まで
口にした。
まあ、政治家が何を言おうと、いまさら別に何とも思わないのだが、
それに対して、何でもイエール大学の
浜田宏一教授が、これを肯定するような内容の手紙を
安倍氏に送った、ということで、
安倍氏のウェッブサイトだか、フェイスブックだか何だかに
公開されているそうだ。
まだ見ていないが、これはぜひ一度見ておきたい。
インタゲだなんだといって、
いろいろな議論はあっても、
国債の中央銀行直接引き受けだけは
やっちゃいけない、というのが、
堅物のECBのみならず、
世界の経済専門家の合意だとばかり思っていたが、
そうではないのだろうか。
もっとも、かくいうおいら自身、
Randall Wray などのEmployer of last resort 政策などに
関心があるのだから、
国債の中央銀行直接引き受けだって、
それが、多くの経済学者によって否定的にとらえられているから、
というだけの理由で、
馬鹿にしたりはしない。
ただ、報道によると、件の政治家先生は、
自分の議論を正当化するに当たり
「浜田先生のお墨付きを頂いた」というようなことを
書いた、という。これはいただけない。
(もしも、この報道がいい加減なものであったら、
それも大問題である。)
もし、政策が、大方の予想通りの意味でうまくいかなかった場合、
「浜田教授がそう言ったんだから、
浜田教授のせいだ」とでもいうのであろうか。
これが、インターネットの自称評論家程度であるなら、
それでもかまわないが、いやしくも、政治家、
それも一度は総理大臣を務めた人間が
このような書き方をする(仮に本当にしているのだとしたら)というのは、
大問題ではないだろうか。
99人の専門家が「否」といっているときに
一人の専門家が「是」と言っているから、というのでは、行動の根拠にはならない。
その逆なら、やむを得ないケースもある。
政治家とはいえ、すべての問題に専門的知識があり、
自分の見解を持っている、とまでは要求できない。
そうした場合、数多くの専門家の中で、
一人を除き、それ以外の人がみな、
こういっている、というのは、残念だが、
態度決定の根拠として、是認せざるを得ないだろう。
だが、一人の専門家が「是」といっているということ、
単に、それだけを根拠にして、
99人が「否」といっている行動を正当化することはできない。
問題は、その内容である。
99人が「否」といっている問題であっても、
自分がその問題について深く理解していると信じており、
自分の言葉で99人に説明できるのであれば、
たとえ、味方が一人しかいなくても(ゼロ人であっても)、
自分の信じるとおりに
行動するべきであろう。ところが、どういうわけか、
件の政治家先生には、そのような姿勢は見られない。見識があるようにも思えない。
単なる人気取り、ほかの候補からの差別化?
しかし、そんなことよりは、おいらの頭をよぎるのは、
昔ながらの自民党政治の復活である。
小選挙区制(これは確かに影響あったろう)や、小泉改革(こちらは、
うわべだけ?という印象もある)によって、自民党は変わったのだ、と
そういう人も、中にはいる。本当に、そういえるのだろうか。
昔のように、予算の時期になると、
地方から、鉢巻をまいたおっさんたちが駆け付け、
大蔵省(今なら、財務省だが)の玄関口に陣取り、
自分たちの代弁者である議員が通るたびに、
「○○先生バンザーイ」などとやる、あの、あほなパフォーマンスだけは、
もう二度と見たくないが(たぶん、いくらなんでも復活しないであろう、と、
こればっかりは、日本人の民度を信じたいが)、
しかしながら、どうも安倍さんの態度を見ていると、
不安になってくる。
仮に本当に、国債の中央銀行直接引き受け、などということになったら、
金がないときの日銀だのみで、
次から次へと、際限なく圧力団体へ
日銀マネーが供給されることになるであろう。
(もちろん、そうなる前に、
国際金融市場で、日本の銀行が資金調達できなくなり、
大きなクリーゼが発生しない、と仮定しての話だが。)
それはまあ、それとして、、、、

11月の金融経済月報が出た。
実は、10月号を先日プリントアウトしたものの、
まだ目を通していない。毎月のことだが、
11月号も大量で、60ページもある。
活字も大きく、資料も多いので、読むのはさほど苦にはならないのだが、
プリントアウトするのがもったいない。
だから、4半期ごとぐらいを目安にプリントアウトして読んでいるのだが、
もう少し、何とかならないものだろうか。

ついでに言うと、日銀短観の調査項目の見直し作業に着手するらしい。
「調査項目の見直し」ということだが、
これはもっぱら使う側に配慮して行われるのであろうか、
調査資料を提供する側に配慮して行われるのであろうか。
まあ、まずは、資料を利用する側の便利に合うように、というのが、
当然優先課題であろうけど、
ただ、今の調査方法で、どの程度の景気観測上の
機能を果たせるのか、ちょっと疑問も感じるのである。
というのは、
たとえば、おいらの勤め先の企業なんかは、
まあ、大手企業の下請けの下請けの、
4次か、5次か、下手すると、6次か7次じゃねえの?というような村工場なんだが、
言っちゃ悪いが、営業部長の話を聞いていると、
結局お得意さんの言うことを鵜呑みにしているんだよね。
お得意さんは、数件の外注先を持っている。
その中で競争させて、少しでも自分たちに有利な取引条件を
引き出そうと努力しているし、
できる限り、自分たちのリスク(とりわけ、固定設備の投資リスク)を減らして、
下請け外注先に押し付けようとして、口八丁手八丁で
いろいろなことを言ってくるわけだ。
で、うちの営業部長なんて、
お人よしというのか、田舎もんというのか、
全部、お客さんの言うこと、先行きの受注見通しだの、
お得意先のその先の、つまりお得意さん自身の受注先の情報など、
鵜呑みにして、一喜一憂しながら、
マスターバジェットを立てるわけだ。
当然、世の中が不安定になり、先の受注の予測がつきにくくなるほど、
お客さんは、「こういう案件があるんだけど、
これは絶対大丈夫だから。まあ、今の生産設備じゃ
足りないかもしれないけど、設備をそろえてくれれば、
これだけの発注は確実だから」といって、
こちらに設備投資をせまる。で、
こちらは世の中が不安定で、注文が細っているもんだから、
そういう話に飛びつく。そして、
案の定(というのか、何というのか)、投資をしたって、
世の中の状況が思ったより悪くなれば、
注文なんか来やしない。こっちはますます過剰な供給力を抱えることになる。
まあ、世の中には、特に田舎に行けばいくほど、
うちの会社のようなところは多いんだろうから、
どうしたって、中小企業の供給力は
過剰になる。だからますます競争が厳しくなる。だから
ますます、受注先の購買課長のいうことに
すがりつくようになる。。。。と、言う、悪循環。
まあ、
中小企業の生産力が過剰であるのは、
昔ながらの企業城下町体制の名残でもあるし、
「きちんといい仕事さえしていれば、
金は後からついてくるんだ」という、まあ、
おいらなんかが大好きな、しかし資本制経済の現実としてはあまり意味のない、
ポリシーが、いまだ根強くはびこっているせいでもある。
で、
おいらは、会社の中では、「後衛の位置から」
その情報に基づいて、まあ、あれこれ仕事をするわけよ。予算を組んだり、
年度経営計画の資料を作ったりね。
で、それに基づいて、日銀短観にも回答している。
と、そうなると、日銀短観に回答には、
ウチの客先の購買部長だか、資材課長だかが、
取引を有利にする目的でいろいろあることないこと言ったことが、
そのまま日銀短観回答に反映させているわけ。

なんだか、うちの営業部長のことを馬鹿にしたような書き方をしてしまったが、
実は本気でそんなことを言っているわけではない。
結局、営業部長だってオイラが言っているような程度のことは承知しているが、
そうするより他にないのである。
世の中の景気と、うちのような4次5次の下請けとでは
だいぶ違いう。世の中の景気が回復し始めて、
在庫が、大手企業から捌け始めて、順次、上のほうから景況が改善し、
そして最後にウチのような、「景気の安全弁」に、影響が来る。
だから、場合によっては、世の中が相当不景気だって、
本当に、大量受注が来ることもないわけではないのだ。
そんなわけだから、結局、独自に需要予測など
たてても意味がないのである。結局は、
お得意先から得られる情報が、ほぼ唯一の、将来の
売上予測根拠になってしまう。。。。

まあ、世の中の企業のうち、どのくらいがうちみたいに
ある意味間抜けな、けど、誠意ある仕事をやっているのか知らない。
誠意なんて、現代日本の資本制経済においては
鼻くそ程度の意味しかないんだけれど、それでも現場は
毎日頑張って、油まみれになって、製品を作っている。そして、
そういう間抜けな回答が、日銀短観にも大いに反映され、
そしてそれを根拠に
おめでたい学者さんたちが、
いろいろ政策を立案したり、
提言しているわけだねえ。。。。
まあ、どうでもいいちゃどうでもいい話だけど。


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1 コメント

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こんばんは (tetos)
2016-05-11 20:46:26
こんばんは、先日ツイッターでお話をさせていただいたtetosです。ネオ・カルタリズムを聞きまして検索しましたらこのブログが当たりまして拝読させていただきます。内容、うなづけることばかりです。
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