一面コラム産経抄(4月1日)のさいごは、
「案の定テドロス氏は、中国をかばい続け、
対策は常に後手に回った。そんなWHOの勧告に
従ってきた国々と、独自の道を歩んだ台湾との間で、
見事に明暗が分かれたというわけだ。」
この産経抄では、
三井美奈さんの雑誌記事を紹介しておりました。
さっそく8頁の、三井さんのその文を読んでみる。
とりあえず、私が気になった箇所のみ引用。
「2017年、ニューヨークの国連本部で開かれた
先住民の人権セミナーで、世界ウイグル会議の
ドルクン・エイサ総裁が突然、会場から追い出された。
指示したのは、呉紅波・国連事務次長だ。呉氏は
いきさつを後に、中国のCCTVのインタビューで
得意げに話した。・・・・・CCTVで、国際公務員としての
『心構え』を語っている。
『国際公務員は国の指図を受けてはいけないことになっているが、
それぞれ国籍がある。中国人の外交官たる者は国益がかかっているとき、
それを断じて守らねばならない』。
・・・国連憲章は国際公務員の『中立性の義務』を定めている。
『こんなものはお構いなし』と公言するのだから、あきれる・・・。」
インターポール(国際刑事警察機構=ICPO)の総裁は
当時中国出身の孟宏偉氏で、連携して、エイサ氏を
「インターポールに指名手配されている人物だ」。
その呉氏の、その後までも、書いてくれております。
「習政権が、国際公務員をどう考えているか。
インターポールの孟総裁の運命に垣間見ることができる。
彼は2018年、帰国後に突然逮捕され、今年1月に収賄罪で
懲役13年6月の禁固刑判決を受けた。
・・・・・・・・・
欧州外交筋は、突然の失脚について
『エイサ総裁の国際指名手配の解除を止められず、
習氏の逆鱗に触れたことも一因ではないか』とみている。
エイサ氏は1990年代、中国の要請でインターポールの
国際手配リストに載った。人権団体は、『政治目的の不当手配』
と抗議し、18年2月までに国際手配が解除された。
この時、中国の外務省は『彼はテロリストだ』として、
強い不満を表明した。
国際機関のトップをいきなり捕らえ、
理由も明示せずに辞めさせる。
その手法に、中国の国際公務員には、
身の毛がよだつ思いだっただろう。・・・・」
(~p131.「正論」5月号より)
「かつて日本は中国以上に、国連トップに
多くの人材を送り出し、評価を得てきた。
国連難民高等弁務官の緒方貞子氏は『現場主義』で、
人道援助のあり方を変えた。国連事務次長だった
明石康氏は、カンボジアや旧ユーゴ問題に取り組み、
国際原子力機構(IAEA)事務局長の天野之弥氏は
『核の番人』として、在任中に死亡した。ユネスコでは
松浦晃一郎・事務局長が無形文化遺産条約を実現し、
アジア、アフリカの文化に光を当てた。
彼らの共通点は、国際公務員の中立性を
強く守ろうとする点だ。
『国連中心主義』という理想を体現しようと動く。
・・・ただし、現実の国連は国益がぶつかり合う場でもある。
中国は人事を露骨に使うことで、国連の弱点を示したといえる。」
(p133)
三井美奈氏の文は、テドロス氏への指摘からはじまり、
日本人の国際機関トップについての指摘でおわります。
その最後の箇所も引用。
「日本の政治家で・・・国連外交の荒波に飛び込もうという
政治家はいない。国連ジュネーブ本部では、副大臣や政務次官
がスピーチするが、緊張しながら官僚の作文を棒読みしている
のがありありで、高校の英語の授業のよう。
語学の得手不得手ではない。『場慣れ』していない。
そうこうするうちに国際機関は、中国がすることに
ことごとくお墨付きを与えていく。
『WHOはけしからん』と嘆くだけではすまない。
深刻な事態が国際舞台で起きている。」(p133)
はい。今日のコラム産経抄からの指摘で、
雑誌「正論」5月号の8頁を読んでみました。
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