津野海太郎著「かれが最後に書いた本」(新潮社・2022年3月)
その表紙カバーは、津野さんの似顔絵(装丁南伸坊)でした。
うん。似顔絵ということで、
松田哲夫著「縁もたけなわ」(小学館・2014年)をひらいてみる。
副題には「ぼくが編集者人生で出会った愉快な人たち」とある。
ほぼ56人が登場しておりました。
その人たち一人一人の、始まりのページに似顔絵があり、
絵本の絵だけを見でワクワクするようなそんな魅力です。
「 装丁・装画・本文イラスト 南伸坊 」とあります。
登場人物のはじまりは安野光雅さんで、
津野海太郎さんの登場する回の、イラスト(全部が白黒なのですが)には
「私(しんぼう)のマンガの主人公『ロボ』は実は津野さんがモデルです」
( p279 )
とあるのでした。この本に最後に登場するのが南伸坊さんでした。
そこから、引用しておくことに。
「ぼくの編集者人生も、40数年になる。振り返ってみると、
あらゆる局面で、南伸坊さんにお世話になっていることがわかる。」(p367)
「・・彼(伸坊さん)は似顔絵を描くのは好きだったようだが、
仕事で描くのも、たくさんの人を描くのも初めてだった。・・」(p368)
「登場人物は約650人になった。南さんの似顔絵は、
73年の約250人から、75年には約450人・・ついに約600人に達した。
これは、短時日で描く量ではない。
でも南さんはめげることなく、毎日、100枚近い似顔絵を描いていた。
ところが、どうしても似ない顔があるようで、
彼は何枚も描き直しては、首を傾げていた。聞いてみると、
美女やハンサムは特徴がないので書きづらいという。 」(p370)
はい。松田哲夫著「縁もたけなわ」の56人のイラストは、
それはもう、似顔絵の集大成といった味わいなのでした。