10月も後半、そして11月が見えてきたこの時期。
文化祭、学園祭のシーズンです。
母校にちょいと顔出しに行くチャンスですね!
さて、今回のお話は去年の今頃のお話。
とある雑誌の記事を読んだことで載せるのをためらっていたのですが、
1年たって心境の変化があったのでやっぱり載せますw
某人物はとても嬉しそうに自分の母校のことを話します。
某人物がすごした時間はとても刺激的で魅力のあるものだっただろう。
充実した学生生活。
それに比べて、私はどうだっただろう。
毎日、授業が終われば家に帰り、TVゲームをする。
平凡どころか、なんの変化も刺激もない生活。
私は某人物の思い出をとても羨ましく思った。
しかし、それと同時に湧き上がる一つの疑問があった。
「私の平凡でなにもない学生生活……。
本当にそうだっただろうか?」
その疑問は私の足を数年ぶりに母校へと向かわせた。
母校へのスタート地点となる駅。
もう、この駅に来ることはないと思っていた。
改札を抜けてホームに立つ私を不思議な感覚が襲った。
今、もう一人の私がいる。
それは今の私ではない。リュックサックを背負った私。
漫画ばっかり読んでないで、少しは本を読め。
そんなことだから活字嫌いになっていくんだw
あとその服ももうちょっとなんとかしなさいwww
それは見えないはずの学生時代の私。
だが、その存在を感じる。
そうか私は今、あの頃を思い出しているんだ。
電車に乗り込む私は見えない私と同じ席に座った。
電車が動き出す。
車内アナウンスが駅名を告げるたびに、鼓動が高鳴る。
とある駅に着いたとき、私は座る席のカーテンを下ろした。
この時間帯なら、この駅を過ぎた頃に車内に日が差し込んでくるからだ。
少しずつ私と見えない私がシンクロしていく。
母校のある駅を降りた。
駅前は少し様変わりしていたが、いくつか昔のままの店もあった。
学校へ向かって歩みを進めていく途中、手摺があった。
雪が降ったあの日。
この手摺を掴みながら必死に学校へ向かった私。
結局、教授が学校に来るのを断念して休講になったっけなぁw
しばらく歩いて、学校に着いた。
私は校門前の守衛さんに話しかけた。
「すいません。私、この学校の卒業生なんですけど、
中をちょっと散歩させてもらっていいですか?」
守衛さんは笑顔でうなずいた。
「いいですよ^^
でも、今日は入試なので校舎内には入らないでくださいね」
そうか、入試の時期か。
私は校内を歩いた。
懐かしい学生食堂。外から見える教室のドア。
あの教室は統計学の、あの教室は英語だったなぁ。
そういえば、英語の授業で可愛い留学生に髪型を気に入られて、
他の男子生徒から刺すような視線を浴びたっけw
グラウンドから校舎へ向かう階段を駆け上がり、私はベンチに腰を下ろした。
ベンチから見える紅葉はとても綺麗だ。
私は毎年、秋が来るのを楽しみにしていた。
学生時代の私はこのベンチに座っていろいろなことを考えていた。
今までのこと、これからのこと。
楽しかったこと、おもしろかったこと、つらかったこと、悲しかったこと。
秋色の葉が舞い落ちるように、少しずつ、少しずつ思い出していく。
授業中に外人教師と一緒に遊んでたなぁ。なにやってたんだかw
PCルームで初めてインターネット。
チャットで荒らし扱いを受けて本気で焦ったっけ^^;
でも、そのおかげで他の人にも名前を覚えてもらえたんだよな。
ソフトボールのとき、ミスって体育教師に怒られた直後に、
私がすっぽ抜けたボールを投げて、
それが教師の横を掠めて報復行為ととられて、かなり睨まれたなwww
ははははは……
なんだよ……。私にもあるじゃないか大切な思い出が……。
刺激のある学生生活ではなかった。
だからこそ、周囲にある変化を敏感に感じ取っていたのかもしれない。
春の校門、夏のグラウンド、秋の並木道、冬の校舎。
今でも鮮明に思い出せるあの色、あの景色。
それが今の私の写真や人生観に投影されているのかもしれない。
自分のルーツか……。
なにもないと思っていたこの場所にも、あったんだなぁ。
チャイムが鳴った。
しばらくすると、制服の生徒達が校門に向かって歩いていくのが見えた。
今日は入試って言ってたっけ。
あの中の何人が、この学校の新入生になるんだろう。
そんなことを思いながら、私は再びベンチから紅葉を眺めていた。
さぁ、これであなたも母校に行きたくな~る、行きたくな~る。
(うわ~!いい話がぶち壊しだー!!)