はたホコ ~第18話~

2013年10月06日 | はたホコ


クレア:「はあーーーっ!!」

ストームクローク兵:「ぐはぁ!!」



クレア:「てやーーーっ!!」

ストームクローク兵:「つ、強い!」



クレアにとって数など問題ではなかった。
次々と蹴散らし、倒していく。

ストームクローク兵:「ま……待って!こ、殺さないで……」



クレア:「……」

ストームクローク兵:「死にたく……ない……助け……て……」

クレア:「お前……死んだふり……する。戦い……終わる……お前……帰れ……」

クレアは彼に止めを刺すことなく。
襲い掛かる兵士を次々と倒していく。



両手で扱う巨大な剣を時には片手で軽々と振り回す。

ホコツ:(クレア、ずいぶんと派手な戦い方をするなぁ。
     あっ!ひょっとして、俺が攻撃できる隙を作るために!?)

ホコツ:「よーし、それなら……」



ホコツ:「俺の魔法は」



ホコツ:「召喚だけじゃ」



ホコツ:「ないぜぇ!!」

勝敗は決した。
門を閉じられ、逃げ場を失ったストームクローク兵に振り下ろされる
クレアの圧倒的な力の前に彼らは大混乱となった。
もはや部隊としての機能を完全に失ったストームクローク兵はクレア達とホワイトランの兵士によって
次々と倒された。



クレア:「終わった……」



クレア:「この……勢い……大事。外も……一気に……倒す」

ホコツ:「お、おう!野郎ども、討ってでるぞ!」

ホコツ:(クレアは絶対に本気で怒らせないようにしよう……)

勢いに乗ったホワイトランは外で待機していたストームクローク兵に襲い掛かる。
将兵と多くの兵数を失ったストームクロークにホワイトランの勢いを止める術などなかった。
その後、増援にかけつけた帝国兵も加わりホワイトランに攻めてきたストームクロークの部隊は
壊滅させられたのであった。

日が沈みかけるころ、ホワイトランでは首長、バルグリーフによって勝鬨があがる。



バルグリーフ:「帝国とホワイトランの力を合わせれば、ストームクロークなど敵ではないことが
        この戦いで証明された!
        奴らはこれにこりず我々に攻撃を仕掛けてくるだろう。
        だが、今回のように力を合わせれば怖いものなどない!
        ホワイトラン、万歳!帝国、万歳!」



ホワイトラン衛兵:「ばんざーい!」

帝国兵:「ばんざーい!」



ミカエル:「いやー、野戦ではどうなるかと思いましたけど、
      城内では圧勝でしたね。ホント、クレアさんのおかげですよ。
      ホコツさんの余計な召喚魔法がなければ、城外でも決着がついたんじゃないですかね」

ホコツ:「お前だって、逃げただろーがっ!!」

ミカエル:「あれは、だって、ねぇ。クレアさん」

クレア:「……」

ミカエル:「クレアさん?」

クレア:「お、おう……。お前ら……がんばった……」

ミカエル:「……?」

……………………
…………………
………………
……………
…………
………
……




ホコツ:「いやいや、クレアさん。モノは相談なんだけど……」

ホコツ:「バルグリーフに野戦を提案してもらえないか?
     クレアは信頼されてるし強いから、たぶん、言うこと聞いてくれると思うんだ」

クレア:「なんで……野戦……する?」

ホコツ:「帝国も反乱軍もホワイトランを欲しがってるのは、
     ホワイトランの経済的価値なんだろ?この地方の中央にある街だ。
     間違いなくでかい収入源になる。
     でも、相手は投石機を持ってくるんだぜ?
     篭城なんてしたらせっかく味方になった街がぶっ壊されちまうぞ?」

クレア:「野戦でも……投石……危ない……同じ……」

ホコツ:「野戦は相手を倒すのが目的じゃない。相手の欲を壁に使うためだよ」

クレア:「欲?……壁?……」

ホコツ:「帝国がホワイトランの経済的価値が欲しいなら相手だって同じさ。
     投石で街を破壊するのは相手が篭城して、そうせざるを得ないからだ。
     でも、相手が野戦を挑んできて……しかも、負けて逃げ帰るとしたら?
     いやでも頭をちらついてしまうだろ?
     『ホワイトランを乗っ取ることができるかもしれない』って欲がさ。
     そうなったらもう破壊なんてできねぇよ。
     投石なんてやめて、かかってこいよベネット。」

クレア:「ベネ……ット……?」

ホコツ:「いや……ごめん。今のは忘れてくれ^^;
     (しまった。ミカエルじゃなかった)」

ホコツ:「ま、相手に欲をかかせて城内に引き入れる。
     そうすれば投石は止まるさ。相手を閉じ込めて逃げられなくすれば再開させることも、
     止められるだろう。
     その状態で敵を一気にたたく。
     こうすれば街への被害も少なくてすむ。
     戦う方はちょっとしんどいけどな」



クレア:「ホコツ……お前……」

ホコツ:「いいタイミングで俺とミカエルが城内に逃げるから、
     クレアも一緒に逃げて欲しいんだ。
     俺達、雑魚だけが逃げればクレアの伏兵を疑われて突入が甘くなる。
     投石を止めさせるには相手の将校クラスを誘い込みたいからな。
     帝国一の武勇を誇るクレアが逃げたとなれば、ガチの撤退だと思うさ」



ホコツ:「そういうことで、一つ。よろしく」



ホコツ:「じゃ、ソリチュードに帰ろうぜ。
     あとは帝国から兵士とか送られてくるだろうから、
     ストームクロークもすぐには手を出してこないだろう」

ミカエル:「そうですね。クレアさん、帰りましょう」

クレア:「お、おう……。ソリチュード……帰る。
     お前ら……がんばった……。ご飯……たくさん。
     私……おごり……」

ミカエル:「ク、クレアさんからのご褒美だーっ!」

ホコツ:「キミの病気は日に日に悪化していくな……。
     ん?クレア?どうした?」



クレア:(やっぱり……ホコツ……帝国……必要……)


この戦いにより帝国とホワイトランの共同軍と
反乱軍ストームクロークとの戦いが激化することとなる。
帝国か……ストームクロークか……。
袂を分かったスカイリムの2つの勢力がぶつかり、
再び統一へと向かう戦いが幕を開けるのであった。


ホワイトランの戦い編。完。
スカイリム再統一編へ続く。
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はたホコ ~第17話~

2013年10月05日 | はたホコ


ミカエル:「ホコツさん。あなたが喧嘩を売ってきたんですから、
      ちゃんと戦ってくださいよ?
      この間みたいに、傍でガン見なんてギャグは通用しませんからね」

ホコツ:「ばっきゃろー。新魔法を覚えたって言ったろ?
     今度はバッチリだぜ」

ミカエル:「いや、だからそれがアテにならないんですってば。
      どうせ口の中に氷作ったり、ちょっと涼しい風が吹くくらいなんでしょ?」

ホコツ:「どっかのキノコヘッドと一緒にすんな。俺が覚えたのは召喚魔法だ」

クレア:「おお、お前……がんばった……。
     えらい……えらい……」

ミカエル:「すごいじゃないですか。たしかに召喚魔法なら、
      術者がポンコツでも役に立ちそうですね^^」

ホコツ:「ポンコツ言うな!」

ミカエル:「でも、今度は篭城戦になるでしょうから。
      出番はなさそうですけどね」



ホコツ:「え?篭城すんの?
     相手は投石機、持ってくるんだろ?」

クレア:「ホワイトラン……頑丈……。少しだけ……もつ……。
     首長……増援……待つ……言った……」

ホコツ:「いやいやいや、せっかく覚えた俺の魔法が役に立たないじゃん!」

クレア:「それ……次回……。お前……安心する。私……ちゃんと……待つ……」

ホコツ:「いやいや、クレアさん。モノは相談なんだけど……」



ホコツ:「ごにょごにょごーにょ。ごにょごーにょ」

クレア:「ふむふむふーむ。ふーむふむ……」

密談する二人。クレアの顔色が変わった。



クレア:「ホコツ……お前……」



ホコツ:「そういうことで、一つ。よろしく」

ストームクロークはホコツ達が戻って、すぐに攻め込んできた。
バルグリーフの斥候の情報どおり、投石機を導入しホワイトランへと攻撃を開始したのであった。



ミカエル:「クレアさん!篭城しないで野戦なんて、大丈夫なんですか!?」

クレア:「ミカエル……がんばる……」

ミカエル:「頑張ります!超頑張ります!!」

クレアはバルグリーフに篭城をせず、野戦を仕掛けることを提案した。
帝国一の戦士であり、数々の戦場を戦い抜いてきたクレアの進言とあり、
バルグリーフはその提案を受け、ホワイトランの目の前で、
今、ホワイトランの兵士とクレアたちの共同軍が戦っていたのである。
その頃……



ホコツ:「くそっ!投石器で火のついた弾を撃ち込んできてるのか」



ホコツ:「調子に乗りやがって……。見てろよ!」



ホコツ:「クレア、ミカエル。待たせたな!!」

ミカエル:「ホコツさん!今までなにやってたんですか!!」

ホコツ:「すまん、すまん。ちょっと準備してて」

ミカエル:「なんの準備ですか!さっさと戦ってくださいよ!!」

ホコツ:「準備の成果を見せてやるぜ。いくぜ、俺の新魔法」



ホコツ:「光と闇、神と悪魔。その狭間にありて混沌を喰らいし者……。
     我が血と汝が名の下、結びし契約に従いて今、願い奉る……」



ホコツ:「出でよっ!我が、従順なる下僕!!」



ホコツ:「……」

ミカエル:「……」

クレア:「……」



ミカエル:「ねぇ……ホコツさん。どうするんですか。これ。
      13話から散々、引っ張ってきて、ウサギですか。
      どう使うんです?さっそく使ってみてくださいよ。ねぇ、ホコツさん。
      ねぇ……」

ホコツ:「あ、あの。ミカエル?あんまり、近寄らんとってくれる?
     なんか、今日のミカエル。怖い……」

ミカエル:「怖いに決まってるでしょ。怒ってんだから」



クレア:「ウサギ……かわいい……」

ミカエル:「ですよねー☆ボクもそう思ってましたー!!」

ホコツ:(この娘もたいがいやな……)

ストームクローク兵A:「おい、なんだあれ。ウサギとか出して手品でもやってるのか?」

ストームクローク兵B:「とんだポンコツ兵士がいたもんだ。あいつらからやっちまえ!」

ミカエル:「ちょ、ちょっと!ホコツさん、こっちに敵がっ!どうしてくれるんですかっ!
      そのウサギ。見た目はウサギだけど超強いとかないんですか」

ホコツ:「た、たぶん。ただのウサギだと思う。や、やばいな。これ……」

ミカエル:「ホコツさん……」

ホコツ:「ミカエル……」



ホコツ:「逃げろーーーーーーーーっ!!」

城内に逃げ込むホコツと後を追うミカエル。



クレア:「ま、待て!お前ら……隊……乱れる!!」

ストームクローク将兵:「さすがのクレアも部下に恵まれなかったようだな
           チャンスだ。追えっ!!
           投石中止だ!一気に城内に攻め込むぞ!」



ホワイトランにいっせいになだれ込むストームクローク達。
そのとき……

???:「今だ!門を閉めろーーーっ!!」



掛け声と共に跳ね橋が上がり、門が閉じられた。



ストームクローク兵:「お、おい。あいつら……」



ホコツ:「へい、らっしゃい」



ストームクローク将兵:「貴様……」

ホコツ:「ホワイトランはスカイリム地方の中央にある経済の要所。
     欲しいはお互い様ってことだよ。
     ストームクロークだってチャンスとあれば、破壊なんてせずに手に入れたい。
     投石を止めてでも……な」

ストームクローク将兵:「我々を誘い込んだのか。城門前のは芝居かっ!
            くそっ!弓兵、信号を……」

ホコツ:「いや、城門前のはガチだよ?」

ミカエル:「あんた、ホントに使えねーな!!」

将兵は合図を送ろうとするが

ホコツ:「おっと、ハメられて頭にくるのは分かるが、ちょっと冷静になってくれよ?
     今度の投石はちゃんと壁だけを狙ってくれ。
     お前達だって、巻き添えで死にたくはないだろう?」

ストームクローク将兵:「ぐっ……」

ストームクローク将兵:(いや、たしかに奴の言うとおりだ。
            それに、冷静になれ。元々、敵は少数。
            頼みの綱はクレアだけ。雪崩れ込んだ数はこちらの方が上なんだ)



ストームクローク将兵:「や、奴らを殺せ!数は我々の方が上なんだ!
            罠にはめたことを後悔させてやれ!!」

ホワイトランへ襲い掛かるストームクローク兵。
しかし、彼らは目の前にたたずむ美しい女神が、
鬼神のごとき強さを誇る帝国一の使い手であることを再認識させられることとなるのであった。

ホコツ:「え?女神って俺?」

ナレーション:「違うわ。ボケ!!」




第18話につづく。
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はたホコ ~第16話~

2013年09月24日 | はたホコ


ホコツ:「さて、ホワイトランまで戻ってきたことだし、首長に報告に行きますかね」



ミカエル:「報告って……分かってるんですか?
      ウルフリックに喧嘩を売ってきたってことなんですよ?」

ホコツ:「だって、そういう目的だったろ?
     帝国と組むってことは反乱軍に喧嘩売るって意味だって、
     ウルフリックも言ってたじゃん」

ミカエル:「そ、それはそうですけど。てか、あんた否定してませんでしたっけ?
      だいたい、もっと言い方とかあったんじゃないですかね。
      それに、本来はクレアさんに任せておけばいいのに、
      勝手に先走ったのはホコツさんですからね!」

ホコツ:「誰がしゃべっても結果は変わんねーよ。
     バルグリーフには『あんたの予想通りになった』って答えるだけだし」

ミカエル:「え?予想通りって?」



ホコツ:「全部、分かってやらせたんだよ。
     ウルフリックが斧を返すことも、俺たちを無傷でホワイトランに返すことも、
     全部、バルグリーフが想定したとおりさ」

ミカエル:「えっ?えっ?」

ホコツ:「たしかに帝国につけって持ちかけたのは帝国だ。
     ウルフリックに対して帝国が使者を立てろって言い分は分かる。
     でも、それは俺たちを通じて帝国に持ちかける話で、
     俺たちに直接、申し入れることじゃない。
     本来なら、使者を立てるように将軍に伝えろって伝言を頼んで、
     ソリチュードに返すのがスジだ」

ミカエル:「た、たしかに……」

ホコツ:「それに、俺たちを勝手に使者にして俺たちが処刑されたり、
     監禁されたりなんてことがあってみろよ。
     反乱軍とは敵対関係、帝国にはメンツがたたねぇ。
     中立どころか、どっちも味方になってくれなくなるぜ?」



ホコツ:「バルグリーフは近々、反乱軍が武力をちらつかせて、
     ちょっかいかけてくることは分かっていたのさ。
     そしてウルフリックがそれに気がついていないことも知ってた。
     だから、俺たちが使者として訪問しても、なにもせずに返すって踏んでたのさ。
     ホワイトランを脅すつもりが、実はもう帝国とつながってましたなんて、
     編成の見積からやり直しだよ。ヘタすりゃ計画は中止だ。使者にかまってる場合じゃねぇ」

ミカエル:「それとボクらを使者に立てることと、どんな関係が?」

ホコツ:「俺たちがウィンドヘルムに行ってる間に、
     とっくに帝国には別の使者が行ってるはずだ。
     帝国につくから、ホワイトランに援軍をよこせってな。
     俺たちにウルフリックの足止めさせてる間に、
     帝国を呼び寄せて、援軍にきた帝国軍を侵攻してきた反乱軍にぶつけようってことだろう。
     うまくいけば帝国軍と反乱軍が鉢合わせでそのまま両軍だけで戦闘が始まるかもしれないからな。
     ま、そうはいかねぇよ。俺がウルフリックに喧嘩を売ってきたのは想定外。
     ホワイトランもきっちり巻き込まれてもらうぜ。
     まったく……素直に協力して反乱軍に立ち向かいましょうでいいのに、
     小細工するから……」

ミカエル:「あの……ホコツさん?
      あなた、本当に何者なんですか?」



ホコツ:(バルグリーフの目論見はクレアだって気がついていたはずだ。
     でも、あのウィンドヘルムでの様子はなんだ?)



ホコツ:(まるで自分のすべてを隠そうとしているかのようだった。
     クレアは帝国一の兵士として反乱軍にも十分に知られているはず、
     そんなことをする必要がどこにある?)



ミカエル:「ホコツさん。なに、柄にもなくシリアスな空気だしてるんですか。
      行きますよ。クレアさん、そこ段になってますから気をつけてくださいね」

クレア:「ありがとう……。私……気をつける……」

ホコツ:(例えば……、今は帝国にも反乱軍にも知られていないが、
     反乱軍にはすぐに気がつかれてしまう何か……か……。
     まさか……ね……)



バルグリーフ:「反乱軍は投石器も持っているらしい。
        城門や城壁は耐えられるのか?」

イリアス:「強度が衰えている部分は大至急、修復にあたらせています」

バルグリーフ:「まったく……、帝国の使者め。ウルフリックには帝国との協力関係になったということだけを
        伝えてくればいいものを……。余計な真似を……」

ホコツ:「おいおい、なに『どの艦娘が一番かわいいか談義』で盛り上がってんだよ」

ミカエル:「やってねーよ!!」

ホコツ:「そういうことはな……」



ホコツ:「ドリクラ(※1)でやれよ!!」

ミカエル:「なんでだよ!!」



ホコツ:「受付さんこそ、至高だろうがっ!」

※1 D3パブリッシャーの名作「ドリームクラブ」のこと。
受付さんとはその名のとおり、ゲームに登場する受付さんで、名前はないが、
なぜかゲームに登場する名前ありのメインキャラクターの要素をいい感じに分配したら、
受付さんになるのではないかと思われるほどの黄金比率で構成されたルックスと、
抜群の歌唱力で、ゲームの表紙にも載ってないのに凄まじいまでの人気を誇るキャラである。


ミカエル:「す、すいません。ちょっと悪い発作が出たみたいで、
      この人、こういう病気なんです気にしないでください。
      会議の邪魔して、すいません。先にすすめてください」

バルグリーフ:「お前達がウルフリックに余計なことをしてくれたせいだぞ。
        あいつら、ホワイトランを攻めるつもりだ」

ホコツ:「なに言ってんだよ。分かってたくせに……」

バルグリーフ:「なんだと?」

ホコツ:「帝国に全部、放り投げるつもりだろうが、
     そうはいかねぇよ。協力する以上、ホワイトランにも働いてもらうぜ?」

バルグリーフ:「何を言って……」

ホコツはバルグリーフに囁いた。

ホコツ:「モンスターの巣って話も狂言なんだろ?
     ここに来て一度もモンスターの話なんて出てこなかった。
     あんた、反乱軍がホワイトランを攻める準備をしているのは知ってたんだ。
     そこで帝国からを理由をつけて人を呼び寄せて使者にし、
     帝国につくとウルフリックに伝えて足止めさせる。
     その間に、帝国に使者を飛ばして帝国軍と反乱軍がぶつかるように調整しようとした。
     うまくいけばホワイトランは戦わずにすむかもしれない。
     帝国が優勢なら帝国につけばいい。反乱軍が優勢なら反乱軍に味方すればいい。
     なにせ、反乱軍に伝言を伝えたのは俺たち帝国兵なんだからな。
     そんなところか?」

バルグリーフ:「き、貴様……」



ホコツ:「まぁまぁ、そう怒らずに、これから一緒に戦っていく仲間なんだから、
     仲良くしようぜ。俺のこと『ほこっち』って呼んでいいからさ」

ミカエル:「また、そうやってすぐ流行に乗っかろうとするんだから……」

ホコツ:「さぁ、ホワイトランと帝国連合軍の始めての共同作業といこうか」






第17話につづく……
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はたホコ ~第15話~

2013年09月22日 | はたホコ
ミカエル:「あの……ホコツさん。バルグリーフ首長に頼んだのって、
      このホワイトランの衛兵の装備ですか?
      なんで私が、これを着ないといけないんですか?」



ホコツ:「今からホワイトランが帝国の味方につくって宣言をしにいくのに、
     帝国の人間だけで行ったら嘘かと思われちゃうだろ。
     クレアは帝国の人間として面が割れてる。
     その点、ミカエルはまだ帝国兵として知られてないだろ?」

ミカエル:「ホコツさんだって、そうでしょう!!」

ホコツ:「俺がホワイトランの装備なんて着れるわけないじゃん。
     俺が服を着たら、ホコツじゃなくなっちゃうぜ?
     そしたら、『はたらくホコツさま!』じゃなくなっちゃうじゃん。
     いまさら、タイトル変えるの?」

ミカエル:「また、そういうメタいこと言う……。
      だいたい、タイトルを書いたの第0話だけですよね?
      それ以降、全部、略称だからタイトル知ってる人いないと思いますよ?
      もういいんじゃないですか。
      『はたけで取れた新鮮有機野菜のパスタ、ホコツ風』。略して『はたホコ』で」

ホコツ:「これ、なんの話だよ。
     あと、それ実際に店員が略すときは『野菜パスタ』だから。
     『はたホコ』なんて略さないから」



ホコツ:「まったく。ああ言えば、こう言う。ミカエルにも困ったもんですなぁ。クレアさん?」



クレア:「え……?あ……。お……、おう……」

ホコツ:「クレア?大丈夫か?
     ウィンドヘルムに行くことになってから、様子がおかしいぞ?」

クレア:「だ……、大丈……夫。問題……ない……」



ミカエル:「クレアさんは我々のことを心配してるんですよ。
      これから会う、相手はあのウルフリック・ストームクローク。
      いくらクレアさんとはいえ、ヤツが相手では我々をかまってる暇なんてありませんよ。
      自分の身は自分で守ってくださいね」

ホコツ:「え?ウルフリックって、そんなにヤバイ奴なの?」

ミカエル:「ヤバイってもんじゃありませんよ。
      噂では声で相手を殺すことができるとか……」



ホコツ:「な……なんだよ。それ……。チートじゃねーか……」



ミカエル:「どれほど恐ろしい相手か、ホコツさんも分かったようですね。
      いざとなったら、ボクは自分の身は自分で守りますが。
      ホコツさんもクレアさんの足だけは引っ張らないように……」

ホコツ:「声で人を殺せる……だと?それってつまり……」



ホコツ:「CV.大塚明夫ってことじゃねーか……」

ミカエル:「ちげーよ!!
      それ、殺すの意味が変わっちゃうだろ!
      あの人のセクシー&ダンディボイスで虜にされちゃう方の意味になっちゃうから!!」



ホコツ:「え?じゃあ、CV.森山周一郎ってこと?」

ミカエル:「飛ぼうが、飛ぶまいが豚は豚だろうがっ!」

ホコツ:「お前、ひどいな」



ホコツ:「ま……行ってみない事にはわからんな。とりあえず、会ってみようぜ。
     その、ウルフリックって奴に……」

ミカエル:「ホント、大丈夫かな。この人」



ホコツ:「ここがウィンドヘルムか……。でかい門だな。
     頼むぞ。クレア、お前だけが頼りだ」

ミカエル:「いきなり頼り切ってますね」

クレア:「……」

ホコツ:「クレア?」



クレア:「え?あ……」



クレア:「お、おう……。私……任せろ……」

門をくぐり、城へと通されるホコツ達。
ホワイトランからの使者と言うこともあり、ウルフリックへの謁見はすぐに許された。



ミカエル:「いよいよ、ウルフリックとご対面ですね」

ウルフリック側近:「使者よ。前へ」

ミカエル:「クレアさん。呼ばれましたよ。クレアさん。
      ……クレア……さん……?」



クレア:「あ……う……」

肩を震わせ、そこから一歩も動くことができないクレア。

ホコツ:「クレア……」



ミカエル:「ちょ……ちょっと!!ホコツさんっ!!」



ホコツ:「お初にお目にかかります。ウルフリック様。
     このたびは謁見の機会をお与えくださり、まことにありがとうございます」



ウルフリック:「ふん……帝国の使者は皆、そのような格好なのか?
        それとも俺をからかっているのか?」



ホコツ:「ウルフリック様はこの城の王。
     王との謁見において、武装解除は当然の礼儀かと……」

ミカエル:「いや、あなたの場合、解除してるのは武装だけじゃないから!
      もういろいろ解除しまくって逆に失礼になってるパターンだからっ!!」

ウルフリック:「で……?用件はなんだ?」

ホコツ:「私は帝国とホワイトランの連合軍の使いとして、
     ホワイトランのバルグリーフ首長よりウルフリック様に重要な伝言を
     お伝えする任を与えられ、やってまいりました……」



ウルフリック:「連合軍……?伝言……だと?」

ホコツ:(ミカエル。斧。バルグルーフ首長からもらった斧、貸して)

ミカエル:(え?あ、はい……)



ホコツ:「この斧がバルグリーフより賜ったメッセージにございます。
     このタムリエルにおいて、斧を贈ることの意味……お分かりのことと思います」



ウルフリック:「なるほど!いいだろう。
        ホワイトランの覚悟、確かに受け取った。
        このウルフリック・ストームクロークの敵となった以上、
        もはやホワイトランは中立国としては生きられぬ。
        我等の力で蹂躙し、民は皆殺し。火の海と変えられても文句は言えぬということを
        思い知らせてくれる」

ミカエル:「そ……そんな……。
      ま、待ってください。いきなり戦争だなんて。
      は、話せば分かりますよ。話し合いは愛と平和。
      アヘ顔ダブルピースって言うじゃないですか!!」

ホコツ:「ウルフリック様。恐れながら、一つ、誤解をされておられるようです」

ウルフリック:「なんだと?」



ホコツ:「ホワイトランはストームクロークの敵になったのではありません。
     帝国の味方となったのです」

ウルフリック:「それがどうした。同じ意味であろう」

ホコツ:「帝国は味方となったものを決して見捨てはしません。
     ホワイトランを攻めるのであれば、我々、帝国は全力をもってホワイトランを守るということを
     お忘れなく」



ウルフリック:(ほう……、この程度の脅しは通じぬか……)



ウルフリック:「もう、よい。分かった。
        そのような下らぬ報告を受けて気分が悪くなった。
        その斧をバルグリーフに返せ。
        斧を返すことの意味、分かっているだろう?」

ホコツ:「分かりました。ウルフリック様のご返事、必ずお伝えいたします」



ホコツ:「……しかし、ストームクローク兵はツワモノ揃いと聞いておりましたが、
     この雪深いウィンドヘルムでも平気で軽装で任務につくとは、
     その強さの一端を垣間見た気がします」

ミカエル:(全裸ですごしてるアンタの方がすげぇよ)

ウルフリック:「日ごろの訓練の成果だ。軟弱な帝国兵とは違う」

ホコツ:「なるほど。訓練ですか。この雪深い中でも軽装ですごせる訓練を積んでいれば、
     ここよりも温暖なところに攻め入る際にも荷が少なくてすみますな。
     例えば……」



ホコツ:「ホワイトラン……とか……」



ウルフリック:「何が言いたい……?」

ホコツ:「おっと、失礼。これではまるでウルフリック様がホワイトランが帝国につくのを
     待っていたように聞こえてしまいますな。
     申し訳ございません。ミカエルの独り言と思ってお忘れください」

ミカエル:「な……なんでボクがっ!?」

ホコツ:「それでは失礼いたします」

無事に外へと出た。ホコツ達。

ミカエル:「ホコツさん。なんなんですか。最後のは!
      あれじゃ、完全にウルフリックに喧嘩をふっかけてるようにしか見えませんよ」

ホコツ:「ようにじゃねーよ。ふっかけたんだよ」

ミカエル:「え?」

ホコツ:「ホワイトランに急いで戻るぞ。あいつら、すぐに攻め込んでくるぞ」

ミカエル:「わ、分かりました」

ホコツ:「ミカエル、あともう一つ……」

ミカエル:「な、なんですか?」



ホコツ:「ラブ&ピースとアヘ顔ダブルピースをかけたトコな……。
     イマイチやと思うで?

ミカエル:「うるさいな!ハズしたことくらい分かってますよ!
      いちいち、蒸し返さないでください!!」







……………………
…………………
………………
……………
…………
………
……




ウルフリック:「ふん……。帝国に少々、めんどうなのが入ったようだな……」




第16話につづく
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はたホコ ~第14話~

2013年09月15日 | はたホコ


ホワイトランの城へとやってきたホコツ達。



クレア:「バルグリーフ首長……クレア……来た」



バルグリーフ:「いつもすまんな。クレア。早速だが……」

クレア:「首長……私……話……ある」

バルグリーフ:「ほう、珍しいな。何だ?」



クレア:「ホワイトラン……帝国……味方……宣言する……お願い」

バルグリーフ:「クレアよ。ホワイトランは中立を宣言している。
        それはこれからも変えるつもりはない」



ホコツ:「バルグリーフはぁん。それはもう通りまへんで。
     今日こそは帝国につくか、反乱軍につくかはっきりさせてもらいまっせ!」

ミカエル:「そうですよ。さぁ、帝国につくって宣言してください。
      クレアさんの身体には指一本、触れさせませんよ」

クレア:「お前ら……下がる……私……話し……する」



バルグリーフ:「クレア。いくらお前の頼みとあっても、
        ホワイトランは中立を保つことで戦火から免れ、
        市民は安全な暮らしをおくることができている。
        帝国につくと宣言すれば、すぐに反乱軍が押し寄せてくるぞ」

クレア:「帝国……ホワイトラン……守る……約束する」

バルグリーフ:「私はホワイトランの首長だ。帝国軍に100%勝ち目があるなら宣言もしよう。
        分かってくれ。博打で市民の命をかけるわけにはいかんのだ。」



ホコツ:「バルグリーフはぁん!ワシらもガキの使いで来とるんとちゃいまっせ!!
     うちのクレア姉さんがここまで頭下げとんのですわ。
     姉さんにここまでしてもろて、ワシら手ぶらで帰るわけにはいかんのですわ。
     手ぶら言うてもアレでっせ?手でお乳をかくすヤツとちゃいまっせ?
     違うか?はははははははっ!
     まぁ、ここはワシらの顔を立てる思て、黙ってうなずいてもらえまへんやろか。
     悪いようにはしませんよってに」

バルグリーフ:「ちょっと、君らだけ世界観おかしない?」

クレア:「ホコツ……私……話す……」



ミカエル:「そうやってゴネて、代償にクレアさんにイタズラする権利がでるまで、
      粘るつもりでしょうけど。そうはさせませんよ!!」

バルグリーフ:「君もさっきから何を言うてるんや」

クレア:「ミカエル……私……話す……」



ホコツ:「ホワイトランが危のうなったら、ワシらがスパーン駆けつけて、
     反乱軍なんんかピャーっとかたして、グワーッ丸めて、道頓堀に放り込んだるさかい」

バルグリーフ:「いや……道頓堀……って……なに?」



クレア:「イラッ……」



ホコツ:「顔はやめてっ!」



ミカエル:「つ、ついにボクもクレアさんにお仕置きしていただけるんですね。
      はぁはぁはぁ……お、思いっきりお願いします」



クレア:「…………」



ホコツ:「俺かよっ!!」



バルグリーフ:「クレアよ……。そもそもこの内乱は帝国が招いたことではないか。
        弱体化した帝国はサルモールの言いなりとなり、
        今回のストームクロークの反乱も先にノルド達を裏切ったのは帝国ではないか」



クレア:「ノルド……怒る……当然……。
     でも……今のやり方……間違い……。
     帝国に……復讐……分かる。
     市民……攻撃……間違い」

バルグリーフ:「たしかに、今のストームクロークは帝国への復讐という名目で、
        帝国の名のつくものには暴虐の限りを尽くし、人々を力ずくで支配しようとしている」

クレア:「反乱軍……止めたい……。
     帝国……ホワイトラン……協力……必要」



バルグリーフ:「プロヴェンタス。どう思う?」

プロヴェンタス:「いまやストームクロークは自分達の意に沿わないものは、
         すべて帝国の味方として攻撃をしかけております。
         帝国の言うとおり……いつまでも中立というわけにはいかないのかもしれません」

バルグリーフ:「そうだな。我々も意を決するときが来たのかもしれん。
        プロヴェンタス。斧をクレアに渡すのだ」



クレア:「えっ……?」

バルグリーフ:「これをストームクロークに届けてもらいたい。
        ノルドにとって斧を贈るということがどういうことか分かっているだろう?」



クレア:「……私……届ける?
     ……どうして……?」

バルグリーフ:「この話は帝国が持ちかけてきた話だ。
        我々は危険を覚悟の上で、帝国につくのだ。
        メッセージを届けるのは、お前達が行うのがスジではないか」

クレア:「そ……それは……」

ミカエル:「むちゃくちゃだ!帝国兵の我々が反乱軍の本拠地に乗り込んで、
      ホワイトランが敵につくというメッセージを届けろですって!?」

バルグリーフ:「ストームクロークも使者をいきなり切り捨てるような真似はせんだろう。
        この話が受けられないのであれば、ホワイトランは帝国にはつかん。
        中立という姿勢を変えることはできんな」

ミカエル:「ク……クレアさん……」




クレア:「わ……分かっ……た……。私……斧……届ける……」



バルグリーフ:「では、頼むぞ……」

クレア:「分かった……」

ミカエル:「大丈夫かなぁ……」

ホコツ:「あ、首長に一個、お願いがあるんだけど……」

バルグリーフ:「なんだ?」



第15話につづく……
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はたホコ ~第13話~

2013年09月08日 | はたホコ
ソリチュードへとやってきた早馬。
それはホワイトランからの救援要請であった。



リッケ特使:「クレア。ホワイトランの首長が、あなたをご指名よ」

ホワイトランとはソリチュードから離れた場所にある、城塞都市である。

クレア:「ホワイトラン…どうした……?」

リッケ特使:「どうやらモンスターが洞窟に巣を作り始めたようね。
       近くに村もある。増え始めたら襲われる危険があるわ」

クレア:「分かった……私……巣…潰す」



リッケ特使:「クレア。今回は手を貸す前に首長に会って話をしてきてほしいの」

クレア:「話……?」

リッケ特使:「返答しだいではあなたは何もしなくていい。そのまま帰ってきていいわ」



クレア:「……?」

リッケ特使:「帝国が手を貸す条件は、
       『ホワイトランは帝国側につくと宣言する』ことよ。
       ホワイトランは今まで『帝国寄り』ではあったけど、中立を宣言してきた。
       これから帝国と反乱軍の戦いは激化していくわ。
       もう中立などと言っている場合ではない。
       どっちにつくのかはっきりさせてもらうわ。
       もし、帝国に協力できないというのなら、
       ホワイトランは帝国の敵と判断します」

ミカエル:「そ、そんな交渉をクレアさんにさせるんですか!?
      アナタが行けばいいでしょう!

リッケ特使:「えっ?いや……ちょっと待って?……あれ?
       私、キミよりずっと上の立場の人間なんやけど。
       気のせいかな?めっちゃ上からモノ言われてない?」

ミカエル:「どっちにせよ。交渉ならもっと口のうまい人がいるでしょう。
      それに本当にホワイトランが敵に回ったらどうするんですかっ!」

リッケ特使:「だから、クレアなのよ。
       今までクレアは何度もホワイトランを助けてきた。信頼は厚い。
       その本人が直接、交渉の場に立てば断れやしないわ」



ミカエル:「そんなこと言って。
      いざとなったらクレアさんに身体を使って交渉させる気なんでしょう!?
      エロ同人誌みたいに!!

リッケ特使:「はぁ!?」

ミカエル:「いくらなんですか……」

リッケ特使:「いや、キミ……なにを言うてんねや……」



ミカエル:「そのムービーはいくらで売ってくれるんですかって聞いてるんです!
      媒体は!?ブルーレイで出るんですか!?
      初回特典に抱き枕カバーはついてくるんですか!?」



リッケ特使:「クレア。悪いんだけど、こいつも連れて行ってくれる?
       そして交渉の成否に関係なく、こいつをホワイトランの病院にぶち込んできて」

そのとき……

ホコツ:「いや、お待たせ。やっと鼻血止まったわ」



一同:「お前、誰だーーーーーっ!?」



ホコツ:「いやー、なかなか鼻血が止まらなくて、いろいろやってもらったんだよ」

ミカエル:「いろいろやられすぎですよ!!
      保健室でいったい、なにがあったんですか!?
      ていうか、なんで途中で気がつかないんだ。アンタ!」

ホコツ:「いやー、よく効くなぁ。コレ」

ミカエル:「『コレ』って言われても、もう、
      ただ、『自分には使ってほしくない何か』ってことしか分かりませんよ!!」

リッケ特使:「……すぐ……元に戻してもらってちょうだい……」



ホコツ:「で?なんの話?」

リッケ特使:「今、ホワイトランから救援の要請が来たの。
       クレアとミカエルにホワイトランに行ってもらうわ」

ホコツ:「あー、ミカエルってホワイトランの吟遊詩人だったんだっけ。
     土地勘もあるだろうし、そりゃいい」

リッケ特使:「そうね。ミカエルには土地勘って言うか、
       私はもう、土地、そのものになってもらうつもりよ」

ホコツ:(え?ミカエル、埋められるの?俺がいない間になにがあったの?)

クレア:「特使……」

リッケ特使:「なに?」



クレア:「ホコツも……連れてく……」

リッケ特使:「そうね。ここに残ってもホコツに割り当てられる作業は、
       今週末のポートボール大会で使うライン引きの石灰の詰め替え作業しかないし……」

ホコツ:「内戦中なんだから、もっと緊張感持てよ。帝国……」

ミカエル:「全裸の人に緊張感とか言われたくないでしょ……」

こうしてホコツ、クレア、ミカエルの3人はホワイトランへと向かうのであった。

その道中……



ミカエル:「ホワイトランは平和な街ですよ。帝国にも悪い印象を持っている人は少ない。
      今回は戦うこともないからホコツさんも安心ですね。ね?クレアさん」

クレア:「今回……戦う……必要ない……」



ホコツ:「クレアもミカエルもバカだなぁ。
     俺が弱点をそのままにしておくと思うか?
     たしかに俺の肉体魔法は武器を持った相手に正面からぶつかることはできないが……。
     だったら、他の手段を使えばいいだけのことだ」

ミカエル:「え?それってまさか……」



ホコツ:「そう……。俺はここにきて……新しい魔法を覚えたよ」



ミカエル:「その口調でアピールするのやめてもらえません?
      嫌な予感しかしないんですよ。
      ひょっとして甘いものが食べたくなったり、
      肌寒くなったりする魔法じゃないでしょうね?」

ホコツ:「ふ……いずれお目にかけることになるだろう」

ミカエル:「ま、あまり期待はしてませんよ」

ホコツ:「ちぇ……頑張って覚えたのにさ。クレアも期待してないのか」



クレア:「そんなこと……ない。
     努力……とても……大事。
     ホコツ……頑張る……。私……応援……」



ホコツ:「神様ー!ええ子や!この娘、ほんまにええ子やでぇぇぇぇぇ!!」

キャンプで夜をすごし、ホコツ達はホワイトランへと歩みを進めていった。
そして……



ホコツ:「ここがホワイトランか……」



ミカエル:「首長はあの一番、大きい建物にいますよ。行きましょう」

一向はホワイトランの中へと入っていった。





第14話につづく
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はたホコ ~第12話~

2013年09月02日 | はたホコ
無事に山賊から砦を奪還した、ホコツとミカエルとクレア。
特使は笑顔で彼らを待っていた。



リッケ特使:「報告は聞いたわ。30人もの山賊をたった二人で倒すなんて、
       なかなかの成果じゃない」



ホコツ:「あ、ありがとうございます」

ホコツ:(砦に入ったときは、30人もいなかったと思うんだけどなぁ……)

リッケ特使:「聞くところによると、
       ミカエルは洞窟でゾンビや低級バンパイア相手にブイブイ言わしてたそうじゃない。
       ただのストーカーじゃなかったってわけね。
       ホコツも思いのほか活躍したと聞いているわ」

ホコツ:(ブイブイ?)

ミカエル:「ストーカーってトコ、取り消してもらえます?」

ホコツ:(いや、事実やん)

クレア:「うん。こいつら……がんばった……」



リッケ特使:「クレア。一応、確認しておくけど、
       あなた、彼らに手は貸してないでしょうね?
       あなた、すぐに世話を焼いちゃうからね」



クレア:「わ、私……手伝う……しない。
     ぜ、全部……こいつら……やった……」

リッケ特使:(なんかやったわね……)



リッケ特使:「まぁ、いいわ。これで試験は合格。
       ホコツとミカエルの入隊を認めます。
       これからは二人とも戦力として期待して、前線に……」

クレア:「待って……」



クレア:「ミカエル……戦う。問題ない……。
     ホコツ……戦う……無理……」

ミカエル:「え?でも、ホコツさんも山賊を倒しましたよ。
      ボク、ちゃんと見ましたし」

クレア:「今から……証明……する……」

ホコツ:「え?」



クレア:「お前……私……攻撃……しろ」

ホコツ:「えっ!?やだよ!
     半殺しにされるじゃん!!
     っていうか、前回、帰りの途中でボコボコにされたし!!」

クレア:「あれ……お前らが……悪い……」

ホコツ:「いや……まぁ、その。ごめんなさい」

クレア:「許す……」

ホコツ:(優しっ!)

ホコツ:「でも、絶対、ボコボコにされるの分かってるのに攻撃しろって言われても……」

クレア:「お前……攻撃……だけ。
     私……反撃……しない……」



ホコツ:「ま、まぁ、それなら」

クレア:「……ように……がんばる……」

ホコツ:「お願いだから、今の気持ちを忘れないで!!」



ホコツ:(クレアは剣士って聞いてたのに、素手も全然、隙がないな)

ホコツ:「い、いくぞっ!」

クレア:「……どこからでも……いい……。お前……技……見せる」

ホコツ:「えっ?」



ホコツ:(どこからでも……?)



ホコツ:(どこから……でも……?)



ホコツ:「……」

リッケ特使:(警戒しているわね。それだけクレアの力量を分かっているということ)



そのとき、ホコツに電流走る!

リッケ特使:(……ついに、仕掛けるかっ!?)



ホコツ:「保健室、行ってきます」

リッケ特使:(鼻血かよっ!!)

ミカエル:「エロいこと考えるから……」

クレア:「お、おい……。ハンカチ……使うか?」



ミカエル:「あの……クレアさん?今のは……」

クレア:「見た……とおり……」



ミカエル:「見るってどこ!?
      開始から51行の間で、参考になるくだり、一個もなかったんですけど!?
      今、思春期の小学生みたいな理由で出て行ったんですけどっ!?」



クレア:「あいつの……技……敵の隙……必要……」

ミカエル:「そういえば、確かに。
      戦闘態勢の敵と正面を切った戦いはしてないですね。
      必ず背後をとるか。非戦闘状態の敵に先に仕掛けるという戦法でした」



リッケ特使:「なるほど……。
       冒険者ならそれでいいかもしれないけど。
       うちの隊員としては無理というわけね。
       常に敵の背後を取れるわけじゃない。
       正面を切った戦いが出来ないのであれば、
       これからの大きな戦いには参加させられないわ。
       試験に合格したところ、悪いけどホコツには……」



クレア:「ま、待って……」

リッケ特使:「クレア?」

クレア:「私……今は……前線無理……言った……だけ。
     もう少し……様子……見たい。
     私……あいつ……預かる……」

リッケ特使:「クレア……あなたの面倒見がいいのも、いい加減に……」



ミカエル:「待ってください。ボクもクレアさんと同意見です」

リッケ特使:「え?」

ミカエル:「確かにホコツさんは頼りになるのかならないのか。
      まぁ、9割頼りにならないんでしょうけど……。
      でも、うまくは言えないんですけど、なんというか……。
      これからの帝国の戦いに必要な人のような気がするんです。」

リッケ特使:「クレアもそう思っているの?」

クレアは黙って頷いた。



リッケ特使:「あれが……帝国に必要って言われてもねぇ……。
       せめて何か着てくれれば……」

ミカエル:「そこ重要ですよね。ていうか、
      鎧とか着れば正面からでも戦えるんじゃないですかね?
      とか言ってみたり……」

クレア:「あ……」

ミカエル:「いまさら、そこが問題なの!?」



このとき……一頭の早馬がソリチュードへと到着していた。
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はたホコ ~第11話~

2013年08月25日 | はたホコ


ホコツ:(さぁ、私の交渉を断ったことを後悔させてやるぜ)

ミカエル:(交渉って、ビックリマンシールじゃないですか。
      そんなんで出て行くわけないじゃないですか)

ホコツ:(ヘッドだぞ!?キラシールだぞ!?)

ミカエル:(そういう問題じゃないんですけど……)

今、まさに山賊長にホコツたちが襲いかかろうとしていた頃、
外で待っているクレアは……



なんか、そわそわしていた。

クレア:「……あいつら……遅い……。私……不安……。
     迷子……なってないか……?
     でも……特使……助けるダメ……言った。
     私……我慢……」

心配するクレアの目の前に想定外の出来事が起こる。



クレア:「……あれは……」



山賊1:「いやー、今日はいい感じで出たわー」

山賊2:「やっぱあの店のスロットはいいですねー」

山賊3:「いいもなにも。店長脅して無理やり放出させてんだけどなw」

山賊4:「ひっでーwww」

実は砦には一部の山賊しか残っていなかった。
遊びに出ていた山賊たちが帰ってきたのである。

山賊5:「おい、なんか中がやけに静かじゃねーか?」

山賊6:「昼寝でもしてんじゃねーの?」



クレア:「……まずい……。数……多い……。
     特使……助けるダメ……言った。
     でも……助けないと……あいつら……死ぬ。
     もっと……ダメ!」

山賊たちが遊びから帰ってきた頃。
再び中では……



ホコツ:(しつこいな。だから、シャーマンカーンは第2弾のヘッドなんだよ!
     キラシールなの!貴重なの!)

ミカエル:(テレビシリーズでもほとんど活躍がなくて、
     キラシールなのに全然、人気なかったじゃないですか!)

ホコツ:(戦闘キャラじゃないから!参謀的役割の人だから!
     派手な演出とかなかったから!)

なぜかシャーマンカーンの人気について談義が行われていた。

ミカエル:(もういいから、やっちゃってくださいよ!
      ていうか、どうしてボクらはバレないんですか!
      この山賊長、バカなんじゃないですか?)



ホコツ:(やってやるぜ!!)



ホコツ:「俺の怒りを思い知れ!」

山賊長:「なっ!?」



ホコツ:「肉体魔法。ジャーマンスープレックス!」



ホコツ:「あらよっと」



ホコツ:「これで無事に片付いたな。あれ?ミカエル、なにやってんの?」

ミカエル:「見たところ、こいつらの装備は帝国の新兵に支給されるものより、
      いいものですね。せっかくですからボクがもらっていきます。
      いい装備があればもっと活躍して、クレアさんに……うふっ……
      うふふっふふふふふふふふ……」

ホコツ:「……ちょいちょい危ないな。こいつ……」



ミカエル:「どうですか。帝国から支給される革鎧より、
      こいつらの使っていた鉄製の鎧の方がずっと頑丈ですよ」

ホコツ:「そ、そうか……。よくわからんけど、いいんじゃない?」



ホコツ:(あいつ、次回から誰かわからへんのちゃうかな……)

ホコツ:「じゃ、クレアに報告に戻るか」

このとき、ホコツとミカエルは知らなかった……。
外には帰ってきたばかりの山賊たちが待ち構えて……



いるはずであった。

ホコツ:「あのさ……ミカエル?
     山賊って、こんなにいたっけ?」

ミカエル:「そ、そうですね。ボクもこんなに斬った覚えは……」



クレア:「お前ら……遅い……」

ホコツ:「あ、クレア」

ミカエル:「クレアさんっ!ボクを待っていてくれたんですか!」

ホコツ:「あ、あのさ。クレア。
     そこに転がってる山賊って……」



クレア:「こ……これ……。全部……お前ら……やった。
     わ、私……知らない……」

ホコツ:「そ、そうだったかなぁ……」



クレア:「そ、それより……お前ら……よく……がんばった。
     特使……喜ぶ。
     お前ら……上出来……ぐっじょぶ……ぐっじょぶ……」

ミカエル:「ク、クレアさんに褒めてもらえるなんて、今日は最高だー」

ホコツ:「あんまりはしゃぐなよ。お前、撃たれたんだから」

ミカエル:「こんなの撃たれたうちに入りませんよ」



クレア:「お前……撃たれた……?
     傷……見せる……」

ミカエル:「ク、クレアさんがボクの傷を!?
      あ、あイタタタタ……、急にあちこち痛み出した」

ホコツ:(こ、こいつ……)

クレア:「どれ……」

クレアがミカエルの傷に触れようとしたとき、一枚の紙がミカエルの懐から落ちた。



クレア:「……これ……なんだ……?」

ミカエル:「あ、これ。この間、撮ったんです。綺麗に撮れてるでしょう?
      ボクが撮ったんですよ」

クレア:「ほう……」

ミカエル:「ホコツさんとその写真で盛り上がっちゃいまして。
      やっぱりクレアさんは綺麗ですよねー」

クレア:「お前ら……遅い……そんなこと……してた……」

ミカエル:「ホコツさんもこのクレアさんの芸術的なヒップラインにメロメロみたいで^^
      さっそく、焼き増ししてポスターにする約束もしたんですよ」

ホコツ:「あ、あの……ミカエルくん?その辺にしておいた方が……」



クレア:「私……すごく……心配……してた……」

ミカエル:「ホコツさんと盛り上がってたところを、うっかり撃たれちゃいまして^^;」

ホコツ:「ミカエル!逃げるぞ!」

ミカエル:「え?なんで!?クレアさん?なんで怒ってるんです?
      あ、でも怒ってる顔もセクシー☆」



クレア:「お前ら……コロス……」

ホコツ:「うわあああああああっ!逃げろー!!」

ミカエル:「えーっ!?なんでー!?」

この3人がタムリエルの内戦を終わらせる鍵となるのは、
これからもう少し、先の話である……

第12話につづく









とりあえず、エピソードとしてはいったん区切り。
帝国内戦クエストの一番、最初のクエでした。
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はたホコ ~第10話~

2013年08月24日 | はたホコ


ホコツ:「実は俺も最初は自信がなかったんです……。
     自分にはうまくできないんじゃないかって」



ホコツ:「でも、今時の女性が男性に求めているものって、
     やっぱり『逞しさ』だと思うんです。
     そんな時、このテキストと出会って、
     俺も始めてみようって思ったんです」



ホコツ:「ゴッチ式」

ホコツ:「俺も素人だったから、始めた頃はどうしたらいいか分からなかったんだけど」



ホコツ:「赤パン先生の懇切丁寧な指導で、こんな俺にもあんなに綺麗なジャーマンが。
     それからはもう女の子にもモテモテで、
     ゼミで一緒のあの子も最近、俺を見る目が違うなって分かるんです」



ホコツ:「あなたも始めてみませんか?まずは30日間の無料テキストから……」



ミカエル:「はいはい。あなたの肉体魔法がすごいのは分かりましたから。
      だいたい、スープレックスがWINDOWS8.1に対応してどうなるんですか。
      それにあの赤パン先生もパイルドライバーやラリアットの人でしょう」

ホコツ:「アホか。1回転+キックボタンでジャーマン出せるわ!」

ミカエル:「コマンドで会話すんな。コマンドで!
      さっきの話じゃ、実在の人物って扱いだろうが!」



ホコツ:「しょうがないだろう。1パートに1回はボケないと死んじゃう身体なんだよ」

ミカエル:「めんどくさい人だなぁ。もう敵の砦の中に入ってるんですよ。
      尺の長いボケはやめてくださいよ。敵に見つかったらどうするんですか」



ミカエル:「ねぇ?あなたもそう思いませんか?」

山賊F:「え?俺?
     ていうか、お前らっ……!!」



ホコツ:「させるかぁ!!」

山賊F:「み、皆、侵入……うおっ!」



ホコツ:「イヤーッ!」

山賊F:「グワーッ!」



ホコツ:「ミカエル。ここはもう敵地のど真ん中だ。油断するなよ!」

ミカエル:「あんたが一番、理解できてないと思いますよ?」



砦の奥へと進むホコツ達。

ホコツ:「あっ!アイツは!!」



山賊G:「よう、さっき交渉に来て追い出されたやつじゃねーか。
     今度はもっとマシな条件を持ってきたんだろうな?
     言っておくが」



山賊G:「『シャーマンカーン』なんて何枚、持ってきても俺達は出て行かないぜ?」



山賊G:「せめて、『十字架天使』か『ビーナス白雪』を持ってくるんだな。
     そうすれば考えてやっても……」



ホコツ:「うるせぇ!もう交渉は決裂だぁぁぁぁ!!」

山賊G:「グワーッ!」



ホコツ:「よし、あとはあの山賊長だけだ」

ミカエル:「ホコツさん。後でどんな交渉してきたか教えてもらえますかね?(怒」



第11話につづく
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はたホコ ~第9話~

2013年08月23日 | はたホコ
山賊をバッタバッタと倒し続けた、ミカエル。
しかし一瞬の隙を突かれ、どこからともなく放たれた矢に倒れてしまう。



ホコツ:「いやぁぁぁ!どこっ?どこっ?どこから撃つのか。
     黄金バーーーーーット!?」

ミカエル:「ホ……ホコツさん。上、上からです。
     どこか……屋根のあるところへ……」



ホコツ:「屋根っ!?」



ホコツ:「屋根っ!!」



ミカエルを支えて、建物の影に逃げ込むホコツ。



ミカエル:「ホコツ……さん。落ち着いて……。
      ク……クレアさんを……呼んで……ください……」



ホコツ:「バカヤロウ!
     俺がパンと牛乳と漫画を買って、クレアを連れてくるまでの間に、
     お前がやられちまうかもしれないだろうがっ!!」

ミカエル:「あの……寄り道しないでもらえます?」

ミカエル:「そんなことを……言ってる場合じゃないんです。
      このままでは二人ともや、やられてしまう。
      それに……」



ホコツ:「ヤツは増援なんて呼ばねぇよ」

ミカエル:「え?」



ホコツ:「味方がバッサバッサとやられている間も、
     じっと気配を殺して、こっちの隙を伺ってたヤツだ。
     その剣士も矢を受けて負傷。すぐには動けない。
     もう片方はその様子を見て、ギャーギャー泣き喚くだけの腰抜野郎だ。
     つまりヤツは今、圧倒的に有利な立場にある」

ミカエル:「……」



ホコツ:「ノーリスクで仲間を殺しまくった敵を一人で討ち取るチャンスなんだぜ?
     だったら、待つさ。プレッシャーに負けた腰抜けが、そこの出口に逃げる瞬間をな。
     てことはだ、ヤツの視線はここと、そこの出口までってことになる。
     じゃあ、こっちは回り込んでヤツを背後から襲うだけの簡単なお仕事だ。
     まさか、さっきの腰抜けが回りこんで自分を襲いに来るなんて思ってもいねーだろ」



ミカエル:(え?じゃあ……さっきのは……)



ミカエル;(故意と……?)



ホコツ:「じゃ、ちょっと行ってくるわ」

ミカエル:「ちょ……行ってくるって……」

ホコツ:「このバシネットに搭載されたステルス機能を使ってな!!」

ミカエル:「ステルス機能!?」

ホコツ:「こいつのステルス機能は姿を消すわけじゃない。
     影を薄くする効果があるのさ」



ホコツ:「飲み会が終わって会計のときにだ。
     『今日は皆、ありがとねー。あ、一人3500だから。
      今から徴収しまーす。あ、△△ちゃん。ぴったりだね。ありがとー。助かるー(^v^)
      あ……○○君も……って……
      ○○君、いたの!?
      もー、いるならいるでもっと皆に絡んでいかないとー。
      全然、気がつかなかったよー(^v^;)
      あ、3500、ぴったりね。ありがとー。あーーっ!××ちゃーん!
      今日はおつかれさまー☆』ていうくらい、影を薄く……」

ミカエル:「おい、なんか悲しくなるからやめろ」

ホコツ:「じゃ、行ってくるわ」

ミカエル:「いや、でも、近づいたところでどうやって倒すんですか?
      武器も魔法も使えないんでしょう?」

ホコツ:「さっき、思い出したんだ。一つだけ、秘薬がなくても使える魔法がある。
     かなり接近しないと使えない魔法なんだが。
     ま、近づくのは簡単だ。さっき交渉に来たときに見てきたから、
     この砦の外側の構造だけなら頭に入ってる」

ミカエル:(え?じゃあ、交渉に行ったのは……砦の構造を探るため……?)

ホコツ:「待ってろ。ヤツは俺が仕留めてきてやる」

そろそろと歩みを進めるホコツの背中を見つめるミカエル。



ミカエル:「……まったく……役に立つんだか、立たないんだか……。
      不思議な人だな」



ホコツ:「あのやろー。ミカエルが焼き増しできなくなったら、どうしてくれるんだ!」



ホコツ:「つーかまえたっ!」

山賊:「え!?こ、こいつ!?いつの間に!?」

魔法……。
それは魔力のこめられた文字を刻む。または発することで奇跡を起こす術である。
つまり、魔法とは一つの言語なのだ。



言語には様々な種類が存在するが、
もっとも原始的な言語、それはボディーランゲージと呼ばれる肉体言語である。
魔法とは言語であり、そしてその言語に肉体言語と呼ばれるものが存在するのであれば、



肉体魔法もまた存在するのである。
原始的ゆえ、秘薬を用いずとも使用可能なホコツが体得した肉体魔法。
それが、この



ジャーマンスープレックスなのだ!

ホコツ:「シャーオラー!スッゾオラー!ドッコラー!」

雄たけびをあげるホコツを見つめながら、ミカエルは思った。



ミカエル:「いや……ジャーマンは魔法じゃねーだろ……」


第10話につづく
コメント (2)
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