『金瓶梅』 笑笑生 作 万暦38年(1610年)か。
『金瓶梅』(きんぺいばいi)は、明代の長編小説で、四大奇書の一つ。
著者は蘭陵の笑笑生(ということになっている)。
万暦年間(1573年 - 1620年)に成立したと考えられている。
序にあるように猥書すなわち官能小説として知られ、しばしば発禁処分をうけた 。
タイトルの『金瓶梅』はストーリーの中心となっている3人の女性、潘金蓮、李瓶児、春梅(龐春梅)の名前から1文字ずつ取ったものである。
『金瓶梅』は『水滸伝』の 第二十三話から二十七話までの武松のエピソードを拡張、詳細にしたもの。
『水滸伝』からのスピンオフ作品である。
『水滸伝』の武松の虎退治のエピソードを入り口とし、そこに登場する武松の兄嫁の潘金蓮は姦通した後殺されずに姦夫の西門慶と暮らし始めるという設定となっている。
ストーリーが『水滸伝』から分岐した後は、富豪の西門慶に、金蓮も含めて6人の夫人やその他の女性がからみ、邸宅内の生活や欲望が展開してゆく。
『水滸伝』同様に北宋末を舞台とするが、綿密かつ巧みに描写されている富裕な商人の風俗や生活には、明代後期の爛熟した社会風俗が反映している。
『金瓶梅』は当時の俗文学がそうであるように、様々な文章からの引用やそのパロディが非常に多く使われており、李開先や屠隆の文章もそうした素材に過ぎないかもしれないとのこと。
『水滸伝』を含む白話小説で描かれるのは男の世界であり、男同士の紐帯が重要なテーマになっており、女性に対しては嫌悪の目を向けているともいえる。
しかし『金瓶梅』の作者は、作者自身が男性であるらしいにもかかわらず、このような男同士の絆に冷めた視線を向け、さらに崇禎本の改定者は第一回に西門慶とその仲間たちの義兄弟の契りを描くことでその方向をより推し進めている
『金瓶梅』は『西遊記』『水滸伝』『三国志演義』とならんで四大奇書。
『新編金瓶梅』滝沢馬琴
馬琴は江戸時代の『金瓶梅』の読者の一人である。
馬琴は『金瓶梅』は筋立ても面白くなく、勧善懲悪も不十分(西門慶が武松によって殺されなかったのが淫書であると評した。
とはいえ、馬琴は『新編金瓶梅』という『金瓶梅』の翻案小説を書いている。
しかし本人が書いているように、ほとんどオリジナルの『金瓶梅』生原型をとどめていない。
馬琴は『水滸伝』的な波乱万丈のストーリー展開を描くストーリーテラーであり、『水滸伝』にインスピレーションを得た『南総里見八犬伝』は馬琴の代表作となったが、典型的な話本とは性質の異なる『金瓶梅』の翻案である『新編金瓶梅』の方は失敗作となったとのこと。
ウィキペディア引用