ネオプリマートを見た日

唐突にまた、お見苦しい「うり坊絵日記」で、失礼いたします。。。

ずいぶん前のことなのですが、立日橋の南詰付近で、ネオプリマートの人をお見かけしたのでした。。。

ええ、さようでございます。。。

かの、デ・ローザが誇るクロモリロードの名車：ネオプリマートでございます～。

デ・ローザといいましたら、天下のデ・ローザなのでございます。

デ・ローザのバイク１台につき……「1デローザ（ひゃくまんえん）」「2デローザ（にひゃくまんえん）」というように、財産を表すときの単位になっているくらいのものでございますから、もう、自転車ブランドの域をはるかに超えていることは、周知の事実なのでございます。。。

ネオプリマートはクロモリフレームでございますので、さすがに、「1ネオプリ」あたり、「ひゃくまんえん」ということはございませんけれど、それにしましても、フレームだけで27万1950円という定価には、目玉が飛び出して、どこかへ転がってしまうくらいの迫力があるのでございます。

もちろん、最新のカーボンバイクにお乗りの方々からすれば、驚愕には値しないかもしれません。

ですが、材質がクロモリでございますからね。

言葉はよくないでございますが、クロモリなのに、27万円でございますのよ～。

さすがは、デ・ローザ……。ただ事ではないのでございます。

そして、そして、わたくしが、このネオプリお兄さんの何に衝撃を受けたかと申しますと、これだけのバイクに乗りながら、かぎりなく地味に振舞っていらっしゃったところなのです～。

一見、とてもじゃございませんが、フレームだけで27万円もするバイクには、お見受けしないのでございますよ～。

同じクロモリロードの対抗馬で比較してみますと、かの、友人Ｋのスーパーコルサ。

これはもう、太陽王のオレさま登場！という感じでございましょう？

とにかく目立つのでございますよ。

なんと申しましても、メッキラグでございますからして、人目を引くこと、この上なし。

もう、ピッカピッカなのでございます～！

ところが、この、ネオプリマートという自転車は、そのようなスター性を、一見、感じさせないのでございます。

それも、そのスター性を、自らは意識しつつ、周囲には、わざと隠蔽している……そんな確信犯的な匂いが漂っているのです。

それはあたかも、江戸時代の大店の若旦那が、地味な細縞の着物に、真っ黒な長羽織をひっかけていたのに、お茶屋で羽織を脱いでみたら、羽織の裏生地がものすごい奇抜な色で染められていて、しかも、めちゃくちゃ派手な絵が描かれていた……みたいな、そんな感じ……。

どうでイ、粋だぁろ？

そんな勝ち誇った感じが伝わってくるバイクなのでした。

（ちょっと、大げさかもしれませんが……汗）

ちなみに、イターリアのクロモリロードと申しますと、もうひとつ、コルナゴのマスター・エックス・ライトを抜きにしては語れません。

こちらは、ある意味、チネリのスーパーコルサ以上に輝いてしまっているのです。

ＣＡＡＤ9少佐でふらふら走っていて、うっかりマスター・エックス・ライトに出会ってしまおうものならば、

「ああ！前方から、スーパー・ノヴァがやってくる！　ああ！　わたくしの命もこれまでか！」　……と、思ったところ、よく見たら、それは、マスター・エックス・ライトだった……というくらい、それくらい、ハレー彗星なロードバイクなのでございます～。

わたくし、どういうわけか、マスター・エックス・ライトとの遭遇率が非常に高く、2007年の初頭、まだ、ロードバイクといったらＣＡＡＤ9少佐しか識別できなかった頃に、すでに和田峠で、コバルト・ブルーなマスター・エックス・ライトに追い越された経験がございます。

その後も、多摩川ＣＲの福生付近で、真っ赤なマスター・エックス・ライトをお見かけしたこともございました。

それらの経験から申し上げますと、コルナゴのマスター・エックス・ライトは、迫力という点では、もっとも押し出しの強い印象なのでございます。

なにしろ、シートステイも、チェーンステイも、銀メッキ加工。

そしてあの、カタクナなまでに一直線なフロントフォークにいたっては、フォークの部分が２本まるごと銀メッキでございますよ～。

スーパーコルサは、後方から眺めると、とっても人目を引くのですが、前から見ると、わりと地味でございます。

しかしながら、マスター・エックス・ライトともなりますと、前から見ても、後ろから見ても、まごうかたなき、マスター・エックス・ライト。「ぬぉぉぉ！　マスター・エックス・ライトさまのお出ましだぁぁぁ！！！」という感じなのでございます。

……では、デ・ローザのネオ・プリマートは、どうなのか……

前から見ても、後ろから見ても、ある意味、無味無臭。

「あり？」っていう感じなのです。

ですが、そこはかとなく、高貴なオーラが漂っている……なにやら、ただ者ではない気配……そして、よくよく見てみると……

「ギャアアー！　やられた～！　ネオプリマートさまだったぁぁぁ！！！」

と、バッサリやられるのでございます。

とくに、立日橋でお見かけしたネオプリ兄さんに限りましては、服装が、ダンガリーシャツにＧパンでございますからね。

いえ、別にダンガリーシャツが安物っぽかったということを指摘したいのではございませんの（汗）

ジャージとレーパンではなくて、普段着だったことに驚いたのでございます。

しかも、どうみても、大学生にしか見えませんでしたからね。

あの若さで、あの素朴さで、ネオプリマートのさりげない凄さを見抜いていらっしゃるのですから。。。

「おぬし、デキルな！」って感じだったのでございます～。

自転車というのは、実に奥の深い趣味であることよ……と、しみじみ感じた体験でございました。