乗鞍岳への自転車道

40歳で突如、自転車乗りになろうと発心して早15年。CAAD9少佐と畳平へ駆け上がる日はくるのでしょうか。。。(汗)

家族の肖像 ~オートキャンプ場にて~

2014年06月26日 | 野営

おやじソロキャンプにあこがれて、GWの満員御礼ファミリーキャンプ場に潜入したわたくし。。。
あくまで、おやじソロキャンプへの第一歩として、練習の気分で足を踏み入れたオートキャンプ場でしたが、、、
しかし、そこで私が目撃したものは、なんとも衝撃的な光景の数々だったのです。
おやじソロキャンプからは脱線いたしますが、
その様相が興味深かったので、そこで観てきたことをご報告させていただきます。

本題に入ります前に、まずは、テントサイトの配置図をご覧ください。
今回、私が訪れたのは、下記の図のように、テントサイトが整然と区画整理され、
区画の中に駐車スペースが配置してある分譲地タイプでした。
一区画は、だいたい100㎡くらいでしょうか。

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↑このように、わたくしたちのテントサイトの対面は、
カマドが設置されているタイプのログキャビンだったのでした。
ちなみに、図中の黄色い三角形は、友人Kの視野角です。

それでは、主な登場人物をご紹介いたします。
①友人K・・・ハイエースに、山のようにキャンプ道具を積んでやってきたBe-PAL世代のおやじキャンパー。同伴者は、うり坊。とにかく荷物が多く、スノーピーク、ユニフレーム、MSR等々のキャンプ道具を、親のかたきのように持ち込んでいる。いわゆるファミリー向けオートキャンプ場に泊まるのは今回が初めてだが、道具の扱いには慣れているし、もちろん道具のセレクトにはこだわっている。焚き火が大好きで、焚き火台の前に陣取って、ビール片手にずっと火の番をしている。

②サトー部長(仮名)・・・キャンプ場にはめずらしく、スポーツセダン(マークX)で登場。同伴者は、奥さんと子供一人(小学低学年男子)。外資系サラリーマン風の洗練された雰囲気で、年齢は40歳前後。道具の扱いがなっていないことから、アウトドアにはまったく縁のない人生を送ってきたと思われるが、物にはこだわるタイプ。なぜなら、新品のコールマンのガソリンランタンを、到着後すぐ、箱から出していたからである。

③かまじい(仮名)・・・サトー部長一家とは、家族ぐるみのお付き合いをしている。40代半ばくらいか。同伴者は、奥さんと子供二人(小学高学年女子と低学年男子)。おとなしそうな、もっさりした印象。キャンプ場に着くなり、ログキャビンのかまどの前にしゃがみ込んでしまい、以後、そこから一歩も動かない。したがって、こちら側からは、彼の背中しか見ることができない。

     *     *     *     *     *

【ガソリン・ランタンの火が安定しないサトー部長】
私にはとんと理解ができないのですが、ガソリン・ランタンという品物は、殿方にとって、あこがれのアイテムなのでしょうか。
アウトドアへの興味が薄いと推測される、お向かいのサトー部長ですが、ランタン選びにはこだわりを見せ、コールマン製のホワイトガソリン・ランタンを持ってきていました。
ところが、サトー部長は、ガソリン・ランタンの使い方について、あまり知識がないご様子なのです。
ガソリン・ランタンは、圧をかけるために最初に10~20回くらい、ポンピングしてから着火するものですが、サトー部長は、ポンピングせずに火を着けるものですから、すぐに火が消えてしまうのでした。

昨今は、スイッチひとつで明るく点るLEDランタンが、ホームセンターで安く手に入る時代です。
しかし、そんな安直な明かりは、彼にしてみれば無粋なのでしょう。
ちょっと危険なガソリン・ランタンで、キャンプの夜をレトロに演出することに、美意識を感じているのかもしれません。

できるか、俺に?。。。できるさ。
男の真ん中で居たいじゃないか

サトー部長のそんなつぶやきが聞こえてくるようです。
この思想に、友人Kは、いたく共感している様子でした。
友人Kもまた、私からみると、まったく合理性を欠いた道具類を愛でるヤツでございます。
たとえば、コストパフォーマンスに優れた灯油が使えることから、いまどきマナスルのストーブを使って炊飯をするなど、凡庸な私には理解できない、奇抜な趣味性の持ち主なのでした。

ですから、マークXで颯爽と乗りつけたサトー部長が、真新しいガソリン・ランタンを取り出したときから、友人Kは、彼に一目おいていました。
着火がうまくいかない、なんてのは、さしたる問題ではありません。
LEDランタンに日和るくらいなら、取説を見ながらガソリン・ランタンと格闘するほうが、よっぽど男らしいのだ!
↑友人Kとは、このように偏った思想を持つ男なのでございます。

その後、しばらく自らの焚き火の燃え具合に夢中になっていた友人Kでしたが、ふと、サトー部長のほうに視線を送ると、いきなり衝撃映像が目に飛び込んできたのです。

サトー部長が、キャンプサイトの隅で、ランタンのガソリンをこぼしているではありませんか!

いけません、部長! それだけは!(大汗)
すっ飛んで行きそうになる友人K。
しかし、時すでに遅し。
サトー部長は、ガソリンをこぼし終わり、燃料キャップのフタを締めて、再び火をつけようとしているのでした。
想像ですが、火が着かない原因を、燃料の入れすぎと思ったのかもしれません。
それで、少しガソリンをこぼして減らしたのではないでしょうか。
真相はわかりませんが、、、

【カマドの前から微動だにしない、かまじい】
ご説明が遅くなりましたが、サトー部長の隣りのログキャビンには、かまじいさんの一家が入居しています。
この一家のお父さんが、なぜ、“かまじい”なのかといえば、、、
彼は、キャンプ場に到着するなり、カマドの前にしゃがみ込んで、微動だにしないからなのでした。
私たちも、余所様のお宅をずっと観察しているわけではありませんから、たまたま視界に入ったときに、偶然に同じポーズをとっていただけなのかもしれません。
しかし、15時~18時ごろまでの長時間にわたり、ついに、私たちは、かまじいがカマドの前から動くところを一度も見ることはできませんでした。
友人のサトー部長が、ガソリン・ランタンと格闘している間も、彼は、カマドの前に背中を丸めて座り込んだまま、延々とカマドに火をくべる動作をくりかえしていた、、、このようにお見受けしております。

ログキャビンに備え付けのカマドは、おそらく、ダッチオーブンの料理を楽しむためのものでしょう。
かまじいは、ダッチオーブンで鶏の丸焼きとか、そんな大がかりな料理に挑戦していたのかもしれません。
ダッチオーブンは上火を使いますから、火がついた薪を、ダッチオーブンの上に乗せたり、下ろしたり、上火調節に奮闘していたのではないか、、、と想像したりしました。

【装備がバカ多い、友人K】
そんな、凝った料理に奮戦するかまじいを尻目に、私たち二人が何を作って食べたかと申しますと、、、
調理らしい調理は、チーズリゾット一品のみ
リゾットは、生米を入れて煮込むレシピなので、炊飯もしておりません。
率直に申しまして、ストーブ1コで出来ちゃう、簡単料理です(汗)
それなのに、今回、友人Kがハイエースに積んできた装備は、、、と申しますと、

*スノーピークの焚き火台Sサイズ
*EPIのガスヘッド&カートリッジ
*SOTOのカセットコンロ
*MSRの、ガスとガソリン両方使えるストーブ
*バーゴのチタン・ヘキサゴン・ウッドストーブ
*トランギアのアルコールバーナー
*ユニフレームのチャコスタ(火おこし用)
*オプティマスの123R
*オプティマスの8R

↑たかだか、チーズリゾット作るだけなのに、どんだけ熱源を持ってきてるっすか!
この感覚、、、尋常ではありません。
いえ、この際、はっきりいいましょう。狂っています!
しかも、たった1泊ですよ。
ひと月、山ごもりするわけじゃないんですよ。
道具好きの友人Kとしては、ここぞとばかり、「あれも使いたい」「これも使いたい」
そう思って、どっさり持ってきちゃったのでしょう。
しばらく使っていない道具の調子を、キャンプ場で動作確認しておきたかったというのもあるでしょう。

だけんじょ、友人Kよ、自転車パルよ。。。
正直、物が多すぎて、私は、何かひとつ出すのでも、捜索するのが大変だったよ!
だいたい、サイトごとにAC電源が設置されているような人工的なキャンプ場で、
オプティマスのガソリン・ストーブを、ゴーゴーうならせて、お湯を沸かすって、どうなんですか?(汗)
それに、結局、リゾットも海鮮焼きも、焚き火台で作ったのですからね。
あまりにも突っ込みどころが満載で、もう、わたくしは、お酒に逃げるしかありませんでした。

【サトー部長、まさかの炎上】
そうこうしているうちに、サトー部長のキャビン棟では、ふたたび事件が発生したのです。
なんと、今度は、サトー部長のランタンが火だるまに!
なにが起こったのですか! ぶ、ぶ、ぶ、ぶちょおおお~!!!(大汗)
燃えさかるランタンを、呆然と見守るサトー部長。
しかし、このハプニングが功を奏しました。
火だるまになったことで、ランタンはほどよくプレヒートされた状態。
再び、サトー部長が着火すると、いい感じにマントルが光りを放ち始めたのであります。
ここで、ポンピングさえすれば、炎は安定する!
友人Kは、手に汗を握り、(今です! 今、ポンピングしてください! サトー部長!)と、心の中でエールを送り続けるのでした。
しかし、、、友人Kの思いは届かず、、、部長のランタンの火は、再び弱まっていきます。
ほんの一瞬、炎が安定したことで、すっかり気をよくした部長は、そのままランタンを放置したのでした。
当然のことながら、ランタンの火は、ほどなく消火。
ガックリと肩を落とす友人K。。。
もう見ない。ぜったいに、お向かいさんの様子は、見ない!
そう、固く心に誓った友人Kでしたが、すぐにまた、衝撃映像を目撃することとなります。
友人Kの一瞬の隙を突いて、部長は、、、
また、ちょっとだけガソリンをこぼしたのです~!
ヒィィ~! 一度ならず、二度までも!
この瞬間、ガソリンが染みこんだ土中の微生物がぁぁぁ!
あまりの光景に、友人Kと私は現実から目をそらし、何も見なかったことにするしかありませんでした。
しかし、みなさま、、、サトー部長はおそらく、日常生活においては、けしてインモラルな人物ではないと思うのです。
ゴミの分別はもちろんきちんとやっているでしょうし、あらゆる社会ルールを遵守し、職場では身持ちのわるいOLの誘惑もスマートに退けているに違いありません。
ただ、アウトドアに関する知識だけが、スッポリ抜け落ちているだけなのです!
それが、ほんとうに残念なんです~!!!(涙)

サトー部長のサイトで、このような蛮行が繰り広げられていることを知ってか、知らずか、、、
隣接するログキャビンでは、あいかわらず淡々とカマドに火をくべる、かまじいの後ろ姿が。。。
やがて、あたりは暗くなりはじめました。
サトー部長は、とうとうガソリン・ランタンを諦め、LEDランタンを点つけました。
LEDも持っていたんですね(汗)
さすがはサトー部長、リスクヘッジも万全なのでございます。
そして、ついに、かまじいが動きました!
3時間かけて作ったごちそうを、テーブルの上に並べます。
場内の渓流で遊んでいた子供達も戻ってきまして、仲良し二家族(ただし、お父さんのタイプは違う)の、晩餐会の始まりです。
乾杯の一声はコレ↓です。
「渋滞おつかれさまでした~!」
↑夕食の時間帯、あちこちのテントサイトから、この同じ乾杯の音頭が聞こえてきましたよ。
いかにもゴールデン・ウィークらしいですね。
風物詩ですわ~。
たしかに渋滞は大変だったと思いますが、こうして楽しげに食卓を囲み、めでたし、めでたしです。
ほのぼのしちゃいました。

このキャンプ場において、私たちみたいなのはレア・ケースなのでありまして、周囲は、ほぼ100%子連れのファミリー層です。
うれしそうにはしゃぐ子供たちの声、おいしそうにビールを飲み、語らうお父さんとお母さん、、、みんな幸せそうです。

ところで、サトー部長は、夕食が済んでから、おもむろに自分ちの焚き火スペースに薪を投入しはじめました。
夕食後、焚き火の炎を眺めながら、家族でだんらんを楽しむという趣向でしょう。
しかし、思いのほか、大量の薪を保有していたようで、最初は小さな炎だったのですが、だんだん大きくなりはじめ、、、
しまいには、大人の背丈くらいの巨大な火柱に成長してしまったのです。
サトー部長、またも炎上(汗)
煌々と燃えさかるキャンプファイヤーを前に、仁王立ちするサトー部長
そのシルエットは、まるで、、、ダースベイダーの火葬シーンの、ルーク・スカイウォーカーみたいでした。
焚き火を囲んで、一家だんらんというよりも、なにかこう、、、炎の魔神を召喚する儀式みたいになっちゃってますケド・・・(汗)
それにしても、世のおじさんたちは、どうしてこう、火をいじることが好きなんでしょうね。
オニのようにストーブを持ちこむ友人Kといい、ダッチオーブンの上火調整に心血注ぐかまじいといい、ガソリン・ランタンにこだわり続けるサトー部長といい、、、
以上、ゴールデンウィークの、とあるファミリーキャンプ場で、
火あそび大好きおじさんたちの三つ巴の祭典が繰り広げられた、というお話でござました。