上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

市民会館の指定管理者制度への移行は止めて、直営で

2017-03-14 22:31:32 | 熊本市議会
3月14日の予算決算委員会総括質疑で、熊本市民会館の指定管理者制度への移行中止を求めました。
市民会館が、公立文化ホールとして果たしてきた役割、文化の拠点として果たしてきた役割を、直営によって継続していくことが必要です。

*「措定管理者制度」は、公共施設の管理運営を民間に丸投げすることです。

質問内容は、以下のとおりです。
【質問内容】
今回、条例案が提案されています「熊本市民会館の指定管理者制度への移行」について伺います。
第1に、市民会館は、長年にわたって、熊本の地域文化の拠点として大切な役割を果たしてきました。その役割について、市長はどのようなご認識をお持ちでしょうか。
第2に、市民会館の管理運営は、会館の管理及び舞台の運営、自主文化事業など多岐にわたりますので、指定管理にあたっては、様々なノウハウを併せ持った事業者が業務を請け負うことになります。他都市におけるホールの指定管理の状況を見た場合、本市の現代美術館が財団法人「熊本市美術文化振興財団」によって運営されているように、公益財団で運営されている場合が多く見受けられます。熊本市民会館の指定管理にあたっては、公益財団による運営は想定されているのでしょうか。また、民間企業が指定管理者となる場合、指定先の事業者はいくつくらいが考えられるのでしょうか。その場合、地元の事業者による管理運営ができるのでしょうか。
第3に、市民会館では、条例の定めるところにより「運営委員会」や「審査会」が設置されています。指定管理となった後は、「運営委員会」「審査会」は継続して設置されるのでしょうか。
第4に、市民会館は、大ホール・大会議室など、ホール機能がその主要な部分となっています。舞台業務は、音響・照明その他の舞台設備などを扱う極めて専門性の高い仕事です。指定管理になった場合、これまで市民会館で、長年培われてきたその専門性はどのように継承され、今後も確保されていくのでしょうか。
第5に、市民会館で行われてきた自主文化事業は、どのように実施されていくのでしょうか。
以上、1点目を市長に、それ以外は担当局長に伺います。

(答弁)

 市長も述べられましたように、市民会館は、本市の文化芸術の拠点として、市民の文化力の向上に大切な役割を果たしてきました。
 しかし、一方では、指定管理者制度に移行した時に、どのような団体が候補となるのか、これまで果たしてきた役割がきちんと継承されていくのか、ただいまの答弁では極めて不透明です。
そこで、お尋ねいたします。
 第1に、指定管理者制度への移行は、どのような場で、どのように検討がすすめられて来たのでしょうか。検討の経緯と、議論の中で出されたメリット、デメリット等についてご説明ください。
第2に、指定管理者制度になった後も、施設利用者はじめ、文化関係者や学識経験者等の意見を施設運営に反映させることや、利用の公平性・透明性を確保することは極めて重要であると、答弁されました。それはどのような形で具体的に行われるのでしょうか。
第3に、これまで施設運営に大切な意見をいただいてきた運営委員会の方々に、指定管理者への移行についてはどのように意見を聞いてこられたのでしょうか。
 経済観光局長に伺います。

(答弁)

 ただ今、検討の経緯等について説明がありましたが、とても十分に検討されてきたと思える内容ではありませんでした。メリットでは、「民間事業者の能力やノウハウの活用による住民サービスの向上」と言われましたが、最初の答弁にありましたように、どんな事業者が参入してくるのかも不透明な中で、何が向上していくのか、見当がつきません。具体的にはどのような点が向上するのでしょうか。局長に伺います。

(答弁)

・・・・・・・
 もう1点、局長に伺います。
 「費用対効果の向上」と言われましたが、指定管理にした場合、どういうところで費用が安くなっていくと考えられるのでしょうか。

(答弁)

 指定管理者制度も含め、公共施設の運営を民間にゆだねる場合、何が安くなるのか、それは人件費です。厚生労働省の調査でもそれは示されています。人件費が抑制されていくと、長続きしない、経験が積み重ならない、サービスの質が低下していくという悪循環となります。昨日の総括質疑で市長は、「雇用の質の向上は、重要と認識している」と答弁されていました。そのことを考えても、直営施設を民間にゆだねる指定管理者制度の導入はすべきではありません。
 さらには、指定管理者にどのような事業者が参入してくるのかわからない中で、貸館としての業務はできても、市民会館の大きな存在意義である「文化の拠点」としての役割が果たしていけるでしょうか。
 まず、運営委員会がなくなります。県文化協会はじめ、子ども劇場やユニセフ協会など、文化芸術の振興に関して識見のある方々がメンバーとして名を連ね、さまざまな意見が交わされてきました。また、自主文化事業は、文化事業協会と連携し、地域文化の創造として、地元の人材を活かし新たな舞台芸術を生み出す取り組み、舞台文化を次世代へとつなぐ取り組みとして、高校演劇に取り組むなど、商業演劇だけではできない貴重な取り組みが行われてきました。高校演劇では、照明・音響等、舞台技術の習得を目指すという目的も持って実施されてきました。
 先ほどの答弁では、指定管理者制度への移行について、条例案が可決された後、事後承諾のような形で、運営委員会に報告すると言われました。
 そこで、市長に伺います。
 第1に、これまで市民会館の運営にあたり専門的な立場から、あるいは市民の意見を反映させる場として開かれてきた運営委員会の意見も聞かずに、指定管理者への移行先にありきですすんでいいのでしょうか。運営委員会のみなさまにも、移行そのものの是非について、意見を伺うべきではないでしょうか。
 第2に、今回の指定管理者制度移行は、ほとんど内部検討のみです。しかし、市民会館が文化の拠点として果たしてきた役割や、多くの市民が利用し文化を享受してきたことを考えると、業務を民間に委ねるということについて、市民の意見を聞くべきではないでしょうか。

(答弁)

 運営委員会や市民のみなさんの意見を聞かずに、指定管理者制度への移行先にありきですすめていくことには大いに問題があると思います。
 特に、私が強調しておきたいことは、業務の専門性です。
 市民会館のような大ホールのある施設では、舞台設備は施設の心臓であり、舞台機構をどのようにうまく機能させていくのか、一番重要な部分です。指定管理になっても、民間が担っていくので大丈夫とお考えのようですが、そう簡単なことではありません。ホールを持つ施設で、すでに指定管理者制度に移行している「男女共同参画センター・はあもにい」や「国際交流会館」、そして「森都心プラザ」、いずれも舞台の設備・音響・照明等、専門的な技術・知識や経験を必要とする業務については、指定管理者が再委託を行っています。要するに、現在ホール管理に参入してきている事業者では、舞台も含めた会館の管理を行うのは困難だということです。市民会館でも、舞台を担当してきた職員は、他の施設を含め、舞台業務に関わってこられた年数が、長い人で35年、舞台関係の総人員11名のうち、20年以上の経験を持つ人が6人です。このように、経験を積んだ方々がおられて舞台が滞りなく運営されています。私は、劇団等の舞台技術を担当し、40年以上現場で働いてきた方のお話を聞く機会がありました。劇団等が各地のホールを利用する場合、どんなに専門職の技術者が劇団側から入っていっても、そこに専門職の舞台担当職員がいなければ、舞台は回らないと言われていました。昨年の運営委員会では、「最近は各ホールにおいて、常勤の舞台技術者が少なくなっており、音響・照明のプロも高齢化している」と指摘されていました。指定管理になれば、原則5年の公募です。そのホールの舞台機構に慣れた頃には、指定管理期間の期限が来てしまいます。採算重視の民間ではできない、技術の蓄積・継承こそ、公立文化ホールがその役割を果たすべきところではないでしょうか。そういう意味で、専門的な業務である舞台技術を含めたホールの管理に、指定管理者制度はなじみません。雇用の問題、文化の拠点としての役割、その他、採算だけでは測れない公立文化ホールの役割を考えるときに、十分な論議も行わないままに提案されている市民会館の指定管理者制度への移行は、認められません。
 「芸術文化」は、コスト論では測れません。人々に感動や生きる喜びをもたらし、人々の暮らしと人生をどれだけ心豊かにできるのか、そのための場の提供や人材を育てていく、人が育っていくところです。指定管理者制度は、そういう文化分野に「費用対効果」というコスト論を持ち込むものであり、全く異質な考え方です。原点に立ち、かけがえのない文化の拠点として、市民会館がその果たすべき役割を十二分に発揮するためにも、市民会館の直営施設としての継続を強く要望いたしまして、質疑を終わります。
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