Denkikanで、「名張ぶどう酒事件」で死刑判決を受け、無罪を訴え続けてきた奥西勝氏の50年を描いた映画「約束」が上映されていました。
自白だけが証拠で、決定的な理由にならないと、一審は地裁で無罪判決を受けながら、高裁で一転し有罪の「死刑」という極刑判決、最高裁も追認、死刑確定から50年以上がたっています。その間、国民救援会の方々の支援によって、7次にわたる再審請求が行われ、自白を覆す物的な証拠が次々と出されたにもかかわらず、再審の扉は開きません。一度だけ、再審が認められますが、これも司法の判断によって覆されました。すでに、奥西さんは86歳の高齢、弁護団・支援者の方々と無念の涙を何度も飲んできました。
映画は、検察や司法が誤った判断をしても、それがなかなか正されない仕組みや体質を描いていきます。あってはならない冤罪が官によって作り出され、一人の人生が狂っていく様には憤りを覚えずにいられません。
生きているうちに無罪をと、奥西さんの再審を求める運動は続いています。
映画館の入り口でも、熊本の国民救援会の方が署名活動に取り組んでいらっしゃいました。私も、すでに署名済みでしたが、あと何筆かでも署名を集めて送りたいと思いました。皆さんもご協力ください。
*署名は、「奥西勝さんを死刑台から取り戻す全国ネットワーク」で取り組まれています。
【連絡先】
「奥西勝さんを死刑台から取り戻す全国ネットワーク」
〒 514-0033 津市丸ノ内33番26号城北ビル4階・日本国民救援会三重県本部
℡ 059-229-9881 FAX 059-229-9882
*「三重・名張ぶどう酒事件」とは、
(事件の概要)
1961年(昭和36年)3月28日、三重県名張市葛尾の公民館において開かれた三奈の会(三重県葛尾と奈良県葛尾の生活改善クラブ)の年次総会終了後、懇親会の席上に出されたぶどう酒を飲んだ女性5名が死亡、12名が重軽傷を負うという事件が発生しました。ぶどう酒から有機燐系農薬(テップ剤)が発見されたため、名張警察署は、殺人事件として捜査を開始。ぶどう酒を公民館に運んだ奥西勝さん(当時35歳)が、事件の翌日から連日の取調べを受けて、5日目の深夜に自供したことにより4月3日逮捕され、4月24日、妻と愛人(いずれも事件で死亡)との三角関係を清算するための計画的殺人として起訴されました。
1審の津地方裁判所は、1964年(昭和39年)12月23日、唯一の物証とされたぶどう酒ビン王冠の歯痕は奥西さんのものとは断定できず、また奥西さんの自白や奥西さんの犯行を裏付ける関係者の(ある時期一斉に検察主張に沿うように変更された、ぶどう酒が届けられた時間経過などの)証言は信用できないとし、無罪判決を言い渡しました。しかし、名古屋高裁は、1969年(昭和44年)9月10日、自白では有罪認定できないとしながら、王冠の歯痕は奥西さんの歯形と一致するという松倉鑑定などを根拠に、一転して死刑の判決を宣告。奥西さんは、2審逆転死刑判決に対して事実認定を争う場を奪われたまま、1972年(昭和47年)6月15日、最高裁第1小法廷の上告棄却により、死刑判決が確定しました。以来、奥西さんは、獄中から何度も再審請求を行ってきました。第5次の再審請求審から日本弁護士連合会の支援を受けています。現在、第7次の再審請求を行っています。
第7次請求審では、弁護団が提出した新証拠でぶどう酒に入れられた農薬がニッカリンTではなかったことも明らかにされました。自白にもとづいて確定死刑判決が認定した農薬=凶器が違っていたこと明らかになったのです。事件当時、ぶどう酒に入れられた毒物の鑑定人が、検査結果を正しく見ずに、勝手に歪めて結論を出したことによる誤鑑定でした。
このため、名古屋高裁(刑事1部)は2005年4月に再審開始の決定を出しました。ところが同じ名古屋高裁(刑事2部、門野博裁判長)はこれを取り消してしまいました。理由は、「飲み残しのぶどう酒からも不純物が出ていたのに見落としたかもしれない」「自白があるから」というものでした。
これに対して、最高裁は「科学的知見にもとづいた判断をせよ」と命じて、決定を取り消し、もう一度名古屋高裁に差し戻しました。(最高裁は、差し戻しなどせずに、直ちに再審開始をするべきと、広く批判されました。)
差戻しの審理では、あらためて鑑定がおこなわれ、毒物がニッカリンTではなかったことが再度確認されました。ところが裁判所(下山保男裁判長)は、この鑑定を無視、検察官も主張しておらず、証拠上も科学的な知見からもいっさい根拠のない推論(空想)で、「毒物はニッカリンTかも知れない」「自白があるから」として、あらためて再審開始決定を取り消し、再審請求を認めませんでした。科学の解明により、確定死刑判決の認定が根本的に崩れたのに、真理に謙虚にならず、勝手な空想で「何が何でも死刑」というのでは、裁判の名に値しません。最高裁は、直ちに再審開始を行うべきです。
自白だけが証拠で、決定的な理由にならないと、一審は地裁で無罪判決を受けながら、高裁で一転し有罪の「死刑」という極刑判決、最高裁も追認、死刑確定から50年以上がたっています。その間、国民救援会の方々の支援によって、7次にわたる再審請求が行われ、自白を覆す物的な証拠が次々と出されたにもかかわらず、再審の扉は開きません。一度だけ、再審が認められますが、これも司法の判断によって覆されました。すでに、奥西さんは86歳の高齢、弁護団・支援者の方々と無念の涙を何度も飲んできました。
映画は、検察や司法が誤った判断をしても、それがなかなか正されない仕組みや体質を描いていきます。あってはならない冤罪が官によって作り出され、一人の人生が狂っていく様には憤りを覚えずにいられません。
生きているうちに無罪をと、奥西さんの再審を求める運動は続いています。
映画館の入り口でも、熊本の国民救援会の方が署名活動に取り組んでいらっしゃいました。私も、すでに署名済みでしたが、あと何筆かでも署名を集めて送りたいと思いました。皆さんもご協力ください。
*署名は、「奥西勝さんを死刑台から取り戻す全国ネットワーク」で取り組まれています。
【連絡先】
「奥西勝さんを死刑台から取り戻す全国ネットワーク」
〒 514-0033 津市丸ノ内33番26号城北ビル4階・日本国民救援会三重県本部
℡ 059-229-9881 FAX 059-229-9882
*「三重・名張ぶどう酒事件」とは、
(事件の概要)
1961年(昭和36年)3月28日、三重県名張市葛尾の公民館において開かれた三奈の会(三重県葛尾と奈良県葛尾の生活改善クラブ)の年次総会終了後、懇親会の席上に出されたぶどう酒を飲んだ女性5名が死亡、12名が重軽傷を負うという事件が発生しました。ぶどう酒から有機燐系農薬(テップ剤)が発見されたため、名張警察署は、殺人事件として捜査を開始。ぶどう酒を公民館に運んだ奥西勝さん(当時35歳)が、事件の翌日から連日の取調べを受けて、5日目の深夜に自供したことにより4月3日逮捕され、4月24日、妻と愛人(いずれも事件で死亡)との三角関係を清算するための計画的殺人として起訴されました。
1審の津地方裁判所は、1964年(昭和39年)12月23日、唯一の物証とされたぶどう酒ビン王冠の歯痕は奥西さんのものとは断定できず、また奥西さんの自白や奥西さんの犯行を裏付ける関係者の(ある時期一斉に検察主張に沿うように変更された、ぶどう酒が届けられた時間経過などの)証言は信用できないとし、無罪判決を言い渡しました。しかし、名古屋高裁は、1969年(昭和44年)9月10日、自白では有罪認定できないとしながら、王冠の歯痕は奥西さんの歯形と一致するという松倉鑑定などを根拠に、一転して死刑の判決を宣告。奥西さんは、2審逆転死刑判決に対して事実認定を争う場を奪われたまま、1972年(昭和47年)6月15日、最高裁第1小法廷の上告棄却により、死刑判決が確定しました。以来、奥西さんは、獄中から何度も再審請求を行ってきました。第5次の再審請求審から日本弁護士連合会の支援を受けています。現在、第7次の再審請求を行っています。
第7次請求審では、弁護団が提出した新証拠でぶどう酒に入れられた農薬がニッカリンTではなかったことも明らかにされました。自白にもとづいて確定死刑判決が認定した農薬=凶器が違っていたこと明らかになったのです。事件当時、ぶどう酒に入れられた毒物の鑑定人が、検査結果を正しく見ずに、勝手に歪めて結論を出したことによる誤鑑定でした。
このため、名古屋高裁(刑事1部)は2005年4月に再審開始の決定を出しました。ところが同じ名古屋高裁(刑事2部、門野博裁判長)はこれを取り消してしまいました。理由は、「飲み残しのぶどう酒からも不純物が出ていたのに見落としたかもしれない」「自白があるから」というものでした。
これに対して、最高裁は「科学的知見にもとづいた判断をせよ」と命じて、決定を取り消し、もう一度名古屋高裁に差し戻しました。(最高裁は、差し戻しなどせずに、直ちに再審開始をするべきと、広く批判されました。)
差戻しの審理では、あらためて鑑定がおこなわれ、毒物がニッカリンTではなかったことが再度確認されました。ところが裁判所(下山保男裁判長)は、この鑑定を無視、検察官も主張しておらず、証拠上も科学的な知見からもいっさい根拠のない推論(空想)で、「毒物はニッカリンTかも知れない」「自白があるから」として、あらためて再審開始決定を取り消し、再審請求を認めませんでした。科学の解明により、確定死刑判決の認定が根本的に崩れたのに、真理に謙虚にならず、勝手な空想で「何が何でも死刑」というのでは、裁判の名に値しません。最高裁は、直ちに再審開始を行うべきです。
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