昨日、風爺ぃ氏邸を訪問した後に、このブログにもちょくちょくコメントをくれるK氏とながの氏と飲んだのである。その時にK氏が、私が昨年10月に行った台湾旅行の話をブログで書いて欲しいとリクエストしてきた。当時はまだブログを始めておらず、友人数人にメールで旅行記を送っただけだった。しかも、古いメールはとっとと削除してしまう私は、その旅行記もきれいさっぱり削除してしまっていたのである。「書きたくてももう書けないべよ」とK氏に泣きを入れたのだが、K氏はご丁寧にも、送りつけたメールを保存しておいてくれており、ついさっきまとめて送り返してくれた。せっかくなので、一部加筆訂正、写真も入れるなどしてご披露させていただく。では、本編どうぞ。
~「嵐の前の…」~
今年の5月に生まれて初めて飛行機に乗ったばかりだというのに、5ヶ月経ったら今度は初海外だ。どんな旅になるか見当もつかない。
4日朝、4時起きで5時20分出発である。成田空港に7時30分集合ということなのだが、一番早い渋谷発6時13分の成田エクスプレスに乗って、空港第2ビルにつくのが7時27分だから、かなりギリギリだ。実際、集合場所に着いたのは7時30分を少し過ぎていたのだが、そこには誰もいなかった。とりあえず所定の手続きを済ませた後に付近をうろついて同士を探してみるが、それらしい人間は全く見当たらないまま、我々は機上の人となった。
飛行機というのは何度乗っても落ち着かないものだ。離着陸の時には無意識のうちに足腰にグッと力が入っている。心配したらきりがないのはわかっているのだが、ペシミストの私はいつも悪い方向に考えが行ってしまう。我ながら困ったものだ。そういう思考を封じるべく、機内サービスのビールで早々に頭を酔わせて寝てしまうことにする。
現地時間12時10分、無事に台北・中正国際空港に着陸。出口には、各旅行社の添乗員たちがすずなりだ。めいめい旗を持って出迎えをしている。我々の添乗員はどこにいるんだと、目を皿のようにして見回すと「ウエポンサーン!」と言う声がする。いたよいたよ、「LOOK WORLD」の旗を持った台湾人添乗員が。およそ添乗員には見えず、親戚を迎えに来たような感じのおばちゃんだ。名前を晴美さんという(以後、晴美おばちゃんと呼ばせていただく)。父上が日本の教育を受けていたので日本名のような名前を付けられたそうで、妹さんは「ゆきえ」さんというそうだ。そして、晴美おばちゃんと一緒にいたのが、メガネをかけてちょいと大柄な、見るからにいい人なおっちゃん。ほほう、この人が一緒のツアー客さんか。我々のトランクを持ってくれて親切な人だ。「じゃ、行きましょー」晴美おばちゃんたちと自動車乗り場の方に歩いていく。母が何気なく晴美おばちゃんに尋ねた。「他のお客さんたちはもう待ってるんですか?」すると、とんでもない答えが返ってきた。
「え?お客さんアナタたち2人だけヨ!」
はぁ!?ということは、あのおっちゃんは…実はドライバーだった(キュウさんという)。ちなみに、このツアーの最小催行人数は2人であった。我々がキャンセルしていたらこの旅行自体が潰れていたのだ。ツアーは大人数で行くものだという偏った固定観念を持っていた私にとってはいきなりのカウンターパンチである。おまけに、「お客さん、台湾初めてですカ?」「ええ、そうなんですが」
「普通のお客さん、始めは『台北市内』だけの人多いデス。いきなり一周するお客さん、珍しいヨ」
この表現は、何も日本語が片言なだけでこうなったわけではない。こっちはもともと言葉といい、文字といい、表現がド直球なのだ。そこがまた面白いんだが。
それはともかく、高速道路で2時間半かけて台中に向かう道すがら、何とも不気味な幕開けになったもんだと思ったのだった。
※冒頭の写真はキュウさん(左)と晴美おばちゃんです。
(次回に続く)
~「嵐の前の…」~
今年の5月に生まれて初めて飛行機に乗ったばかりだというのに、5ヶ月経ったら今度は初海外だ。どんな旅になるか見当もつかない。
4日朝、4時起きで5時20分出発である。成田空港に7時30分集合ということなのだが、一番早い渋谷発6時13分の成田エクスプレスに乗って、空港第2ビルにつくのが7時27分だから、かなりギリギリだ。実際、集合場所に着いたのは7時30分を少し過ぎていたのだが、そこには誰もいなかった。とりあえず所定の手続きを済ませた後に付近をうろついて同士を探してみるが、それらしい人間は全く見当たらないまま、我々は機上の人となった。
飛行機というのは何度乗っても落ち着かないものだ。離着陸の時には無意識のうちに足腰にグッと力が入っている。心配したらきりがないのはわかっているのだが、ペシミストの私はいつも悪い方向に考えが行ってしまう。我ながら困ったものだ。そういう思考を封じるべく、機内サービスのビールで早々に頭を酔わせて寝てしまうことにする。
現地時間12時10分、無事に台北・中正国際空港に着陸。出口には、各旅行社の添乗員たちがすずなりだ。めいめい旗を持って出迎えをしている。我々の添乗員はどこにいるんだと、目を皿のようにして見回すと「ウエポンサーン!」と言う声がする。いたよいたよ、「LOOK WORLD」の旗を持った台湾人添乗員が。およそ添乗員には見えず、親戚を迎えに来たような感じのおばちゃんだ。名前を晴美さんという(以後、晴美おばちゃんと呼ばせていただく)。父上が日本の教育を受けていたので日本名のような名前を付けられたそうで、妹さんは「ゆきえ」さんというそうだ。そして、晴美おばちゃんと一緒にいたのが、メガネをかけてちょいと大柄な、見るからにいい人なおっちゃん。ほほう、この人が一緒のツアー客さんか。我々のトランクを持ってくれて親切な人だ。「じゃ、行きましょー」晴美おばちゃんたちと自動車乗り場の方に歩いていく。母が何気なく晴美おばちゃんに尋ねた。「他のお客さんたちはもう待ってるんですか?」すると、とんでもない答えが返ってきた。
「え?お客さんアナタたち2人だけヨ!」
はぁ!?ということは、あのおっちゃんは…実はドライバーだった(キュウさんという)。ちなみに、このツアーの最小催行人数は2人であった。我々がキャンセルしていたらこの旅行自体が潰れていたのだ。ツアーは大人数で行くものだという偏った固定観念を持っていた私にとってはいきなりのカウンターパンチである。おまけに、「お客さん、台湾初めてですカ?」「ええ、そうなんですが」
「普通のお客さん、始めは『台北市内』だけの人多いデス。いきなり一周するお客さん、珍しいヨ」
この表現は、何も日本語が片言なだけでこうなったわけではない。こっちはもともと言葉といい、文字といい、表現がド直球なのだ。そこがまた面白いんだが。
それはともかく、高速道路で2時間半かけて台中に向かう道すがら、何とも不気味な幕開けになったもんだと思ったのだった。
※冒頭の写真はキュウさん(左)と晴美おばちゃんです。
(次回に続く)