76年 選抜高校野球1回戦・宇部工 0-1 岡崎工

　東海大会で優勝しチャンスでの集中打が持ち味の岡崎工と中国大会
ベスト4の宇部工の対戦。
　宇部工は秋季大会のチーム打率が,344と県岐阜商に次いで 2位、
しかもエースの西村は防御率0,98で中国地区少年野球大会で優勝と
実績もあって初出場ながら前評判はよかった。

　秋季大会の数字では上回る宇部工は1回裏に2アウトから3番・石田が
センター前ヒットで出塁すると、4番・清重もレフトへの 2ベースでつないで
2アウト2,3塁のチャンス。
　ここで期待された5番の竹本だったが、初球のボール気味の球に手を
出して2塁フライでチャンスを逃す。

　更に3回には9番の山本が四球で、4回にも石田がノーアウトで出塁するが
3回は牽制で、4回はヒットエンドランを仕掛けるが空振り三振し盗塁も刺さ
れチャンスを潰す。

　一方の岡崎打線も6回まで5安打を放つものの散発で、西村の粘りの
前に持ち前の集中打が出ない。
　迎えた7回に1アウトから8番の市川がレフト前ヒット、ここで 9番の黒田が
カウント0-1からライト前ヒットで1,3塁とチャンスを広げる。
　このチャンスにノーヒットだった1番の成瀬がフルカウントからカーブを
センターに打ち返した犠牲フライで岡崎工は待望の先取点。

　実は西村は3週間程前から肩を痛めていてストレートが本調子でなく、
カーブでかわす投球をしていたが3まわり目の7回には慣れられカーブに
的を絞られていたのだ。
　それでも上位打線は2番・榊原の1安打のみに抑えていたが、5番以降
に7安打されていて下位に捉まった形になった。

　宇部工打線は西村より評価が低かった岡崎工の左腕・山内に的を
絞れず、5回以降は1安打のみでチャンスらしいチャンスもなく4安打
完封負けを喫した。

　ちなみに昨年夏は愛知代表の国府と山口代表の柳井商が対戦し、
8回表に1アウト3塁で牽制で誘い出されたランナーが3塁手の深追いに
助けられた決勝点で柳井商が1-0で勝っているが、2季連続の対戦で
今度は愛知代表の岡崎工が同じ1-0のスコアで山口代表にリベンジした
事になる。
　歴史というのは皮肉なものだ。

　岡崎工　０００　０００　１００　１
　宇部工　０００　０００　０００　０