草むしりしながら

読書・料理・野菜つくりなど日々の想いをしたためます

晴れ 七人の若けぇし

2018-07-10 22:40:08 | 日記
 朝少し雨が降ったが、すぐに晴れた。心地良い風が一日吹いていた。

 大雨で川の水があふれ、水路の水の取り入れ口に石が詰まってしまった。このままでは田んぼに水がいかなくなる。今日は地区の若手七人で、水路に詰まった石をどけた。
 限界集落なので若手といってもみんな還暦過ぎの者ばかりで、いうなれば高年者の中で比較的若い人という意味である。この比較的若い人たちをもっと上の先輩、つまり親の世代の高齢者達は「若けぇし」と呼ぶ。
 この若けぇし。本当に若かった時からぼつぼつ敬老会のお誘いが来る年になっても、ずっと若けぇしと呼ばれている。つまり後継者がいないのだ。この年取った若けぇしばかり七人。各自に鍬や手持ちツルハシなどを持ち寄り、水路にびっしり詰まった石を半日かけてかきだした。
 後五年もすれば本当の高齢者になる。その時この水路はどうなるのだろうか。先のことを考えても仕方ない。できるところまでやるしかないのだ。七人それぞれ思う所はあるのだろうが。とにかく目の前の石をどけてしまわなければ今日が終わらない。今日が終わらなければ、明日が来ない。
 それにしても疲れた。腰をさすり足もひきずりながら、やっと水路から這いあがった時には昼少し前だった。もう水路なんて見たくもない、今度何があってももう知らん。などと思いっていたのだが、止めていた堰き手を外すと勢いよく水が流れ込み、どんどんと流れて行った。さっきの怒りは何処やら、晴れ晴れとした表情で流れる水を見守る七人であった。
 それにしてもハードな日だった。
 雨が少なからず多からず降りますように。猪や鹿が田んぼを荒らしませんように。ウンカが来ませんように。お米がたくさん採れますように。お米が高く売れますように。水の神様に祈った。