草むしりしながら

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ある日の夢

2018-07-16 22:14:13 | 日記
我が家で一番涼しい部屋は仏間である。家中の窓を開けると裏の竹林から仏間を通り抜け、心地良い風が仏間を吹き抜けていく。真夏の昼下がりの楽しみといえば、やはり昼寝だ。今日は仏間で昼寝としゃれこみましょうか。と寝たのはいいのだが……。
「こんな所で寝ているの」誰かの声が聞こえてきた。うん、誰かが立っている。「えっ、誰」驚いて目を開けると、姉が枕もとに立っていた。私が仏壇の前で寝ていたから姉も驚いたのだろうが、私の方がもっと驚いた。「姉さんお願いだら枕元に立つの、止めてもらえる」  
 こう見えて私は霊感が強い方だと思う。父母のみならず、親戚の亡くなった人の夢もみる。ある時我が家から他家に嫁いだ大叔母の夢を見たことがあった。夢の途中で電話が鳴って起こされた。電話は大叔母の息子からで、たった今大叔母が息を引き取ったという知らせだった。
 またある日不思議な夢を見たことがあった。あまりに不思議でリアルな夢だったので、目が覚めるすぐにどんな夢だったのかメモしておいた。そのメモをご覧いただきたい。

ある日の夢
 不思議な夢を見て目が覚めた。
 長い階段を上って雲の上に行くと、黒い家があった。それはよく見ると子供の頃の私の家で、黒いのは焼き板の色だった。
父は勤めに母は田圃だろうか、恐ろしいほど静かで誰も居ない。仕方なく家の中に入ると、中には見知らぬ夫婦がいた。乱雑にものが置かれ、表に上がることもできない。声をかけるのだが、返事もしてくれない。仕方なく三和土に立っている私を無視して、二人は楽しげに何か話をしている。 
 「ここは私の家ではない」私はとても悲しい気持ちになって、泣きながら外に出てみた。するとまた焼き板張りの、黒い家が見えて来た。そこは祖父が住んでいた隠居だった。中に入ると祖父が黒い一張羅の国民服を着て、ご飯を食べている。「ジィジ、ジィジ」声をかけるだが、祖父は何も答えてくれない。
 芋か何かの煮つけのようだ。醤油で煮つけたような茶色のものをおかずにご飯を食べていた。そんなものばかり食べていたら体に悪いと思っていると、祖父の友人らしき人が「お前、そんな茶色の物ばかり食べていたら体に悪いぞ」と注意している。
 すると祖父は照れくさそうに「これが美味くてなぁ」と友人と話している。私も会話に入ろうと二人に声をかけるのだが、二人とも私を無視する。私は胸が張り裂けるくらいに悲しくなり、もう家に帰ろうと思った。ところがどうしても帰り道が分からない。困って庭を見ていたら、赤い花が咲いていた。「あっ、この花は私が植えた花だ」と思った瞬間に目が覚めた。
 目が覚めてすぐに庭に出てみると、今しがた夢の中で咲いていたフロックスの赤い花が咲いていた。またいつか、懐かしい人たちに会いに行くかも知れない。帰り道が分かるように、庭にはいつも赤い花を咲かせていようと思った。